熱田まつり3年ぶり~今年は「3年ぶり」が流行語大賞?
名古屋に夏を告げる熱田まつりは6月5日本番を迎え、熱田神宮の東、西、南の三つの門に灯りがともされる献灯巻藁が闇に浮かび上がりました。提灯は全部で377個で、1年365日と12カ月をあらわしています。
熱田まつりを彩る花火は、国道19号線のすぐ脇にある神宮公園で打ち上げられました。市街地の中心で上がる花火は珍しく、大音響とともに目の前で夜空の大輪を見ることができました。小雨でしたが、3年ぶりの彩をそえてくれました。
6月の夏祭りの季節を迎えて、各地の新聞の見出しには「3年ぶり」が目立つようになりました。気分が高まるのも3年ぶりです。
長野県塩尻市では3日から5日、3年ぶりに「木曽漆器祭・奈良井宿場祭」が開催されました。地元地域版の記事には、県内外の漆器ファンがお椀や箸を求めて詰めかけたとあります。
滋賀県大津市の近江神宮でも5日、五穀豊穣を願う流鏑馬神事が3年ぶりに営まれました。石川県金沢市では4日、加賀藩祖・前田利家公の金沢城入城を再現した「百万石行列」が3年ぶりに挙行されました。約34万人(主催者発表)が訪れたそうです。
広島県北広島町の農耕行事「壬生の花田植」は6月5日、3年ぶりに開催されました。2011年に国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録。伝統の継承をと開催されました。
広島三大祭りといわれる「とうかさん」も3日から5日、広島市中区の円隆寺の大祭として3年ぶりに帰ってきました。1620年に始まったとされ、今年が403回目。
3年ぶりの田植え交流もありました。群馬県桐生市の小中学校と東京のインターナショナルスクールの児童らと桐生市内の田んぼで田植えを楽しみました。
岩手県平泉町の中尊寺では8月、「中尊寺薪能」が開催されます。観客は例年の半分の400席に減らしますが、3年ぶりの開催となります。狂言には人間国宝の野村万作さんと孫の裕基さん、能は萬斎さんという野村家3代がそろい踏みします。
和歌山県高野町では6月12日、真言密教の聖地・高野山を開いた弘法大師空海の生誕を祝う「青葉まつり」が開かれます。3年ぶりとなります。
5日に中国地方最高峰の大山(1729㍍)で営まれた夏山開きの神事も3年ぶりでした。
伝統行事は続けていくことが大切です。コロナ禍では観光客が集まるイベントを開くことが難しかったのですが、ようやく主催者も見学者もコロナとの付き合い方がわかってきたといえるのでしょう。
ただ、熱田まつりは、私が思っていた以上に人出が多く、熱田神宮に向かう数百メートルの歩道は、縁日の屋台の前に立ち止まる人、行く人、来る人で身動きが取れませんでした。大半は10代、20代の若い人でしたが、整然と列に並んでいました。その表情は、祭りのにぎわいのなかに身を置けるという幸福感に満ちていました。
しばらくは新聞の見出しに「3年ぶり」が目立つことでしょう。気が早いのですが、今年の流行語大賞にエントリーしておきましょうか。
名古屋弁で「やっとかめ」というのは、八十日も会っていないということで、お久しぶりの意味です。それをはるかにしのぐ3年ぶり。はたして名古屋弁でなんと表現したら良いのでしょう。こちらは、新語大賞に期待しています。
(2022年6月5日)