遊休農地でサツマイモ栽培~農福連携の干し芋加工も
干し芋は秋の季語ですが、食べるのは四季を問わずです。カリウムやビタミンなど栄養価もあって、おやつにもってこいです。
■遊休農地でサツマイモ栽培
4月23日にJAグループ愛知の記者会があり、愛知県岡崎市、幸田町の遊休農地で栽培する「おかざき幸田さつまいも☆プロジェクト」を知りました。生産者3人が、2・3㌶で栽培しています。
メンバーの一人、内藤成一郎さんは、元JAあいち三河の職員。荒廃していく地域の畑を憂えて、2021年3月にプロジェクトを発足させました。全体の農地に占める遊休地の割合は、愛知県内が7%で、岡崎市と幸田町は15%と高くなっています。
食料生産を増やすことも目的のひとつ。栽培は苗の定植時に環境負荷が少ない生分解性マルチを使います。
■キュアリング処理
サツマイモを市場に出荷するのには、キュアリング処理が欠かせません。
収穫後、温度30~35度、湿度90~95%で4~7日間置く工程。その後、温度13~16度に落として貯蔵しておきます。
この処理で病原菌の侵入を防ぎ、寒さへの耐性を高め、甘みも増します。JAが水稲の育苗のために4~5月中下旬だけ稼働させる催芽機をサツマイモ用に活用できないか、試験中です。
■福祉施設との連携
収穫したサツマイモの袋詰めや干し芋へ加工する作業は、JAあいち三河管内にある福祉法人アルクスに依頼しています。施設利用者が作業を担い、農福連携の実を上げています。栽培面積を2028年(令和10年)までに5㌶に拡大する目標を立てており、障がい者の作業協力が不可欠です。
■成果
メインの作物は夏秋ナスです。7月から11月が出荷時期。最盛期と重ならず、比較的栽培しやすいサツマイモを選んだことで成果が上がっています。非耕作者から農地を活用してほしいという問い合わせが増えており、「地域農業を守りたい」というプロジェクトメンバーの思いが通じつつあります。
■課題
サツマイモ栽培には耕運機や収穫する機械が必要です。同プロジェクトでは「多くの投資が必要だが、投資に見合うだけの収穫はまだ得られていない」といいます。新規就農としてサツマイモ栽培に入るのは難しいため、プロジェクトの3人が協力し合って栽培を続けていくことになります。
■干し芋
内藤さんは、他のメンバーの収穫した規格外のサツマイモも集めて、干し芋に加工しています。JA記者会で試食しました。見た目も飴色で、甘みもありました。JAあいち三河の産直施設で、1袋580円(税込み)で販売されています。
5月にサツマイモの畝たて、マルチ張りを終え、6月に苗挿し、10月中旬に収穫が始まります。地元園児とのサツマイモ収穫体験も予定しています。干し芋加工は翌1~3月。
「おかざき幸田さつまいも☆プロジェクト」は、遊休農地活用の参考になります。
(2024年5月27日)
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