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ドイツで金縛り

今日はドイツに引っ越して間もない頃に体験したことについて書こうと思います。


引っ越した最初の頃は全てのことが新しく、見える景色が日本とは違って、私外国に住んでいるんだと毎日が新鮮だったのですが、

だんだんとその生活が当たり前になってくると、次第に心が日本を求めるようになりました。

近所を散歩している時は遠くにあるスーパーの白い外壁との木造の茶色い屋根が、日本のファミリーレストランに見えて仕方なく、近づくほどにそれが幻想だったと気づかされ悲しくなったりもしました。


そうして何となくドイツに馴染めない日々を送っていたのですが、自分の住むアパートでもあまり落ち着くことができず、特に寝室で夜寝るのが怖かったのを覚えています。

寝室の窓の外にはシャッターがあり、夜になるとシャッターを閉めて真っ暗闇の中で寝ていました。
外からの音は聞こえなくなるので、静かな環境で寝られるはずなのですが…

ベッドに横になり目を瞑ると、なぜか遠くの方で話し声が聞こえるのです。
シーーンとした寝室なので、その小さな声のようなものがとても際立ち、気になってずっと眠れませんでした。
どうしようもなくなったある日、夫に「ほら、聞こえるでしょ?」と聞いてみたのですが、彼には聞こえないようですぐに夢の世界に行ってしまいました。

それから暫くしたある日のこと、やっとの思いで眠れたと思ったら、突然身体が固まり動けなくなり目が覚めました。

咄嗟に寝室のドアの外に誰かいる、と感じた瞬間、何者かが『ドンドンドンドン!!!!』とドアを開けようとしているのです。

それでも身体は全然動かず、また声も大きく口を開けても音が思うように出ず、
「ゃややーめーてぇえええ!!!」と絞り出すのがやっとでした。

数分後、いきなり身体が軽くなり動けるようになったのですが、それまでの出来事自体が夢のような現実のようなよく分からない感覚で
再び眠りについたのでした。


これを金縛りというのかは分かりませんが、とにかくとてつもなく怖かったです。
そして実際に扉の向こう側にいた人は見たわけではないのに、すごい怨念のような強い感情をもった女性だという確信があったのも余計に怖かったです。


それから一切このような体験はしていませんが(夢は見ていませんが)、眠る時はよっぽど疲れている時は別として、片耳にイヤホンをして動画を流さないと眠れなくなりました。

約10年が経った今も同じアパートに住んでいるのですが、イヤホンをつけて寝るのが習慣になっています。


しかし、人間どんな環境にも適応できるようで今は声が聞こえることにも慣れました。
一昨日も朝4時頃に目が覚めたとき上から話し声が聞こえてきたのですが、上に住んでいる人が昼夜逆転の生活をしているんだと思うことにして再びぐっすり眠れました。


ドイツでは幽霊や心霊現象といった概念が存在しないので、こちらでの生活に慣れてきた今となっては、変わった現象も気にせずに済むようになりました。


次回は、少し悲しい不思議な現象/体験について書いてみようと思います。



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