【AI小説】１００のキス/Gemini２.0（4）

この物語は、ARATAのオリジナルプロットをもとに、小説を現行のいろんなAIと共作してみようという試みです。
まず手始めは、Gemini 2.0（Google AI Studio:Gemini Experimental 1206）バージョン。
プロットや設定、プロンプトは後日公開します。色々想像してみて下さい。
第一章から読む

第4章：心を映す不思議な瞳

4-1. 覚醒の予兆

ネオン瞬く夜の渋谷。
いつものように、私たちは「100キス」の被写体を探して、雑踏の中を歩いていた。

「あのカップル、いい雰囲気じゃない？」

ヒナが指差した先には、寄り添いながら歩く若い男女の姿があった。
男性は、女性の肩を優しく抱き寄せ、女性は、はにかんだ笑顔を浮かべている。

「確かに。ちょっと声をかけてみよう」

私は、そう言ってカメラを構え、ファインダーを覗き込んだ。
その瞬間だった。

突然、頭の中に、様々な感情が流れ込んできたのだ。

喜び、愛情、そして、ほんの少しの不安と、戸惑い。
それは、まるで、ファインダー越しのカップルの感情が、
直接、私の心に流れ込んでくるような、不思議な感覚だった。

「…どうしたの、アカリ？」

異変を感じ取ったヒナが、心配そうな表情で私を覗き込んだ。

「ううん、なんでもない。ちょっと、びっくりしただけ」

私は、動揺を隠しながら、そう答えた。

一体、何が起こったのだろうか。
一瞬、頭が混乱したが、
今は撮影に集中しなければと、自身に言い聞かせた。

その後も、撮影を続けるたびに、同じような現象が何度も起こった。
カメラを向けると、被写体の感情が、まるで自分の感情のように流れ込んでくるのだ。

最初は戸惑い、混乱した。
しかし、次第に、その感覚を受け入れ、
撮影に活かせるようになっていった。

この不思議な現象は、私に新たな視点を与えてくれた。
ただ見た目だけでなく、被写体の心の奥底にある、本当の感情を感じ取ることができるようになったのだ。

その感覚は、まるで、自分の中に眠っていた、もう一つの瞳が開いたかのようだった。

この「瞳」は、私に何を魅せてくれるのだろう。
どこに導いてくれるのだろう。

この時の私は、この新たな感覚が、自分にとって何を意味するのか、
まだ、はっきりと分かっていなかった。

そして、この「瞳」と、どう向き合っていくべきなのか、
自問自答を始めたばかりだった。

ただ、この能力が、自分とヒナとの関係にも何らかの影響を及ぼすであろうことは、薄々感じ始めていた。

4-2. 光と影の狭間で

ある日の撮影でのこと。
私たちは、公園のベンチで寄り添うカップルを撮影していた。

男性は、女性の髪を優しく撫で、女性は、男性の肩に頭を預け、穏やかな表情を浮かべている。
どこからどう見ても、幸せそうな二人だった。

私は、いつものようにカメラを構え、ファインダーを覗き込んだ。
その瞬間、流れ込んできたのは、意外な感情だった。

喜びや愛情だけでなく、深い悲しみと、不安が混じり合っている。
それは、先ほどまでの幸せそうな雰囲気とは全く異なる、ネガティブな感情だった。

「…アカリ？大丈夫？」

ヒナが、心配そうな声をかけてきた。
どうやら、私の表情の変化に気づいたらしい。

「うん、大丈夫。ちょっと、考え事してただけ」

私は、平静を装って、そう答えた。
内心、大きな動揺を感じながら。

撮影を終え、カップルに別れを告げた後も、
私の心は、ざわついたままだった。

なぜ、あんなにも幸せそうに見えたカップルから、
悲しみや不安といった、ネガティブな感情が流れ込んできたのだろう。

人の心は、見かけだけでは分からない。
どれだけ幸せそうに見えても、
その裏には、様々な葛藤や悩みを抱えているのかもしれない。

他人の感情を知ることは、難しい。
そして、同時に、大きな責任を伴うことなのかもしれない。

「ねえ、ヒナ…」

私は、意を決して、ヒナに話しかけた。

「実は、最近…」

しかし、言葉が続かない。
この不思議な現象を、ヒナにどう説明すればいいのか、
うまく言葉にできなかった。

「…やっぱり、なんでもない」

結局、私は、本当のことを言い出せなかった。
ヒナは、それ以上何も聞かず、
ただ静かに、私の隣を歩いていた。

その横顔は、いつもと変わらず穏やかで、
でも、どこか寂しげに見えた。

4-3. 心の距離、その隙間に

「100キスプロジェクト」を始めてから、どれくらいの時間が経っただろう。

私たちは、数えきれないほどのカップルを撮影してきた。
そして、私は、いつの間にか、被写体の感情を読み取ることができるようになっていた。

でも、不思議なことに、ヒナの感情だけは、読み取ることができない。

他の人の感情は、あんなにも鮮明に流れ込んでくるのに、
ヒナの感情だけは、いつも、ヴェールに包まれたまま、
はっきりと分からないのだ。

「ねえ、ヒナは…」

ある日、私は、ヒナに尋ねてみた。

「どうして、そんなに、自分の気持ちを見せないの？」

ヒナは、一瞬、驚いたような表情を浮かべた後、
すぐに、いつもの穏やかな笑顔に戻った。

「そうかな…？私は、いつも通りだよ」

ヒナは、そう言って、はぐらかした。
でも、私は知っている。

ヒナは、いつも、自分の本当の気持ちを隠している。
その瞳の奥に、何かを秘めている。

私は、ヒナの心の内を知りたいと、強く願うようになっていた。
それは、単なる好奇心からではなく、もっと深い、別の感情からだった。

ヒナと一緒にいると、心が温かくなる。
ヒナと過ごす時間は、私にとって、かけがえのないものになっていた。

私は、いつしか、ヒナに対して、特別な感情を抱くようになっていた。
でも、その感情が何なのか、自分でもはっきりと分からない。

友情なのか、それとも、愛情なのか。
曖昧なまま、言葉にできずに、時間だけが過ぎていく。

私たちの距離は、プロジェクトを始める前よりも、
ずっと近くなったはずなのに、
なぜか、心の距離は、遠くなったように感じる。

その隙間を埋めるように、今日もまた、渋谷の街に繰り出し、
私たちは、シャッターを切り続けるのだった。

この「100キスプロジェクト」が、自分たちをどこに連れて行くのかも知らずに。

（続く）