見出し画像

勝手に上場企業の営業戦略・戦術描いてみたvol.1「株式会社ハルメクホールディングス法人事業部様」

株式会社Cquick代表取締役の荒井です。私はこれまでメドレー社、LegalForce社の事業会社でインサイドセールスの立ち上げ・マネジメント・新規事業立ち上げをしてきました。2年ほど前に株式会社Cquickを立ち上げ、「事業を最短・最速で上がり続ける仕組み・組織を創る」をコンセプトに営業企画代行として多くの企業を支援してきました。
これまでは弊社ではベンチャー企業、上場企業子会社などの営業戦略・戦術・実行支援をしてきたのですが、どんな営業戦略・戦術になるのかわからないという声をいただくことも多かったため、今回上場している企業かつ公開されている情報から勝手に営業戦略・戦術を描いてみることにしました。

今回は、株式会社ハルメクホールディングス様(東京証券取引所グロース市場)IR情報、決算説明資料、ウェブサイト、採用情報などを確認し、独断と偏見で営業戦略・戦術を描きました。なお、公開されている情報をベースにして描いてることやCquickのこれまでのノウハウから描いているため、事実とは異なる可能性もございますのであくまでも「Cquickの営業企画支援イメージ」としてお考えください。


株式会社ハルメクホールディングスとは

50代以上の女性を対象に、雑誌「ハルメク」をはじめとするメディアやカタログ通販、ECサイト、店舗販売などを通じて幅広いライフスタイル関連商品・サービスを提供する企業です。シニア女性の健康、ファッション、美容、趣味、旅行など多岐にわたるニーズに応え、豊かな生活をサポートしています。

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部について

ハルメクホールディングスの法人事業部は、シニアを対象としている企業向けのマーケティング戦略の立案・実行をトータルで支援するB2B事業を展開しています。特に、シニア層や女性への効果的なマーケティングを得意としており、企業の製品・サービスの認知度向上や購買促進をサポートします。主要な業務には、広告キャンペーンの企画・運営、データ分析、コンサルティングなどが含まれ、クライアント企業の成長に貢献しています。
なお、今回は弊社がBtoBの企業をご支援することが多いため、株式会社ハルメクホールディングス法人事業部にフォーカスを当てて描いております。

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部の営業戦略の結論

先に結論を申し上げると
中堅・大手企業の
「B群:エリア非依存型の趣味・旅行・習い事などを提供する企業」
・「C群:非日常×支払い金額が大きい投資・不動産・相続に関するサービスを提供する企業」
を営業対象とするのが良いのではないかという仮説がございます。下記表にターゲット別の「特徴」「想定される課題」「訴求点」を整理しております。

営業対象先企業群と訴求点

営業対象先企業群と訴求点

なお、訴求点は1つだけではなく、ターゲット群によって異なるため、ターゲット別に分けて考えることが重要です。営業先を中堅・大手企業に絞った理由は、一定のマーケティング予算を出せる会社でないとLTVが合わない、もしくは単発案件の可能性が高いためです。また、株式会社ハルメクホールディングスが上場していることもあり、取引先は比較的安心感をもって発注してもらえると思ったためです。なお、可能であればマーケティング予算を年間○百万円以上使っている会社に絞るとさらに効果的です。

営業戦術のイメージ

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部では、すでに既存顧客が一定いることやマーケティングコストもかけているため、B群、C群の企業リストを一覧化した際に下記のように分類されていくかと思います。

営業戦術のイメージ

例えば、B群の企業リストの80%以上が商談化されているのであれば、再度アポイントを提案することや、前回の提案内容と別のフックを提供することで、商談数が最大化し提案の幅も広がります。B群の企業リストの20%が未商談である場合は、分類別に施策を回し、リード獲得およびマーケティング関連部署(営業対象先)との接点を取れるように施策を継続します。

以下に、本戦略の背景を整理します。

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部の課題と方向性

決算説明資料の中で大きく3つの問題点を挙げています。

売上・利益が減少見込み

2024年3月期実績(法人事業部)
売上:1,246百万円(前年同期比+10.6%)
EBITDA:102百万円(前年同期比+48.3%)
利益率:8.2%

一方で2025年3月期予想(法人事業部)
売上:1,100百万円(前年同期比 -11.8%)
EBITDA:100百万円(前年同期比 -2.0%)
利益率:9.1%(前年同期比 +0.9%)

大口クライアントの離脱

大口クライアントの離脱が発生しており、これにより売上や利益の減少が懸念されます。

市場の変動

健康食品業界など一部市場で広告支出の縮小が見られ、これに対応するための新規市場開拓が必要となっております。

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部のニーズの要件定義

課題

大口クライアントが減少しているため、シニアもしくは女性向けにマーケティングをしたいと考えている企業の開拓と1社あたりのLTVの最大化が必要です。

解決策方針

①法人事業部として注力営業すべき企業の明確化(ターゲット選定)
②ターゲット別の提供価値・訴求点の見直し
③ターゲット企業に対する適切な営業施策

それでは1つずつ解決方針を細かく見ていきます。

①法人事業部として注力営業すべき企業の明確化(ターゲット選定)

ターゲット選定では、「誰に」「何を」を明確にします。ハルメクホールディングス法人事業部のモデルは以下の通りです。

法人事業部のビジネスモデル

ハルメクホールディングス法人事業部は、プレシニア〜シニアのデータ(購買データ・属性データ等)を活用したマーケティング支援(認知・購買促進・テストマーケティング)を法人向けに提供しています。法人事業部として営業優先先企業は大きく3つに分類されます。「A群:日常×支払い金額が小さい」「B群:支払い金額が中間」「C群:非日常×支払い金額が大きい」。特に「C群:非日常×支払い金額が大きい」「B群:支払い金額が中間」の中の「エリア非依存型」が効果的な営業アプローチ先と考えます。優先順位として、広告予算が比較的あり、認知活動を長期間行う必要がある群はLTVが高くなります。

法人事業部として営業優先先企業すべき企業の明確化

なお、「法人事業部として注力営業すべき企業の明確化」するにあたって2つの軸で考えてみました。
1つ目がシニアのお金の使い道と頻度」という軸。
2つ目が「1つ目の分類からその分類にサービスを提供している会社の傾向」という軸
です。
(少し内容のボリュームがあるので、②に飛んでいただいても読めるようになっています)

①-1シニア女性のお金の使い道

株式会社ハルメクホールディングスのメインユーザー層である「 シニア女性」がどの項目にお金を使うのかを分解していきます。
「1サービスについて支払う金額が大きい」とサービス提供社側はマーケティングコストもかけられることも多いので重要な観点です。
また、使う金額の大きさも重要ですが、頻度も重要です。なぜなら利用頻度が多いサービスはたしかに認知がされれば購入される可能性は高いですが、それだけ競合もいるということでもありますので、認知活動ではなく、見せ方の工夫も必要になってきます。

シニア女性のお金の使い道と頻度

※本来は統計データも参考にするのですが、あくまでも仮説で進めます。

①-2シニア女性へサービス・商品提供会社の分類

「シニア女性のお金の使い道」が明確になったところで、「そのサービスを提供している会社」に分類してみます。
A群:日常×支払い金額が小さい
B群:支払い金額が中間
C群:非日常×支払い金額が大きい
と3つに分かれます。またその特徴を下記で整理してみました。

法人事業部として注力営業すべき企業の明確化


A群:日常×支払い金額が小さい

・A群にサービス提供する会社(特にFMCG/Fast Moving Consumer Goods)の課題として、サービス単価が低いこともあり、量の販売をする必要があります。そのため、可能な限り即購入につながる「販売促進」目的の予算・即効性が求められます。また、A群の中には「店舗販売主導型」、「オンライン販売主導型」にもわかれますので少し異なります。
 ・店舗販売主導型例:お菓子メーカー、飲料メーカーなど
 ・オンライン販売主導型例:ECで購入できるサプリメントなど

B群:支払い金額が中間
 ・B群にサービス提供する会社はいわゆる娯楽・趣味領域でサービス展開をする会社です。「エリア依存型」「エリア非依存型」にも分かれ少し特性が異なります。
 ・エリア依存型例:高級レストラン、(スポーツ観戦、音楽鑑賞)、店舗型旅行代理店
 ・エリア非依存型:オンライン完結型旅行代理店・サイト、オンライン英会話
「エリア依存型」はどうしても店舗を構えている関係で集客の幅に限界があり、エリア内での認知・購買促進が必要となります。一方で「エリア非依存型」はオンラインで全国から集客でもビジネスが成り立ちます。「エリア非依存型」は店舗を持たないかつ全国から集客が可能なため、広告予算をかけられる可能性が高いです。

C群:非日常×支払い金額が大きい
 ・C群にサービス提供する会社は、1サービスの単価が高いため、比較的広告予算をかけられる会社が多いです。また、「広告」だけでは購入にいたらず、商談が必要なサービスが多いです。A群、B群とは大きく性質が異なり、悩みが発生した時に第一想起がとれるかどうかつまり「認知」が重要になってきます。

今回、ターゲットを分けてみましたが、「C群:非日常×支払い金額が大きい」「B群:支払い金額が中間」の中の「エリア非依存型」が営業アプローチ先として良いのではないかと仮説を立ててみました。その背景としては、広告予算が比較的ありかつ認知活動は長く行う必要がある群は、LTVが高くなるのではないかという点です。この2つを優先度「高」として話を進めていきます。

②ターゲット別の提供価値・訴求点の見直し

特に優先度の高い「B群:支払い金額が中間」の中の「エリア非依存型」と「C群:非日常×支払い金額が大きい」に対して、提供価値と訴求点を見直します。表にターゲット別の「特徴」、「想定される課題」、「訴求点」を一度整理をしてみました。

ターゲット別の訴求点

・「B群:支払い金額が中間」の中の「エリア非依存型」
新規ユーザー獲得の施策:効果的な広告キャンペーンとデータ分析によるターゲティング、テストマーケティング支援。
リピート促進:定期購入プランやロイヤルティプログラムの提案。

「C群:非日常×支払い金額が大きい」
高単価サービスの認知向上:特別パッケージの提案とクロスマーケティングキャンペーン、商談支援。
季節イベントと連動した広告戦略:効果的なシーズナルキャンペーンの実施。

③ターゲット企業に対する適切な営業施策

最後にターゲット別の訴求点が明確になったため、営業施策に移行していきます。営業施策を考える上でターゲット別にどれだけの企業リスト数があるのか、商談済み、未商談の割合はどうなっているのかを明確にすることで具体的な施策に移していくことができます。

ターゲット企業の分布
ターゲット企業の可視化イメージ

例えば、B群の企業リストの80%以上が商談化されているのであれば、再度アポイントの提案しにいくことや前回の提案内容と別のフックをするということができれば、商談数が最大化しますし、提案の幅も広がっていきます。
なお、B群の企業リストの20%が未商談なのであれば、分類別に施策を回していくことで、リード獲得及びマーケティング関連部署と接点を取れるような施策を回し続けていく必要があります。

最後に

株式会社ハルメクホールディングス 法人事業部の営業戦略の結論

中堅・大手企業の
「B群:エリア非依存型の趣味・旅行・習い事などを提供する企業」
・「C群:非日常×支払い金額が大きい投資・不動産・相続に関するサービスを提供する企業」
を営業対象としていくことで売上が最大化する可能性があります。

いかがでしたでしょうか。
今回初めて「勝手に上場企業の営業戦略・戦術を描いてみた」を実施してみました。本来は提案資料にまとめるのですが、仮説ベースで進めたためこのようなまとめ方になりました。ぜひ、私のX(Twitter)にコメントやDMをいただけると嬉しいです。営業企画やインサイドセールスに関するリソースが不足している企業の方はぜひご連絡ください。また、インサイドセールス代行会社を立ち上げたい、マネジメントしたいという方やインターン生も募集していますので、ぜひ情報交換させてください。
よろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?