好きな本を知るは、その人を知る
「自分の人生を変えた本」ってありますか?
そしてそれを、誰かに紹介したことはありますか?
わたしはミステリー小説大好き人間なのですが、そういう意味では「おもしろいと思った本」を人に勧めることはよくします。
でも、「自分の人生を変えた本」てあまり人に勧めたことはありません。
正直なはなし、そこまでの堂々の1位がないからというのもあります。
しかし、わたしは友人から、「その人の人生を変えるくらい好きな本」を勧られたことがあって、それがすごく印象に残っています。
相手を深く知るには、その人の本を知るべきだなと思ったエピソードです。
ある日、高校の同級生と話している中で、「おすすめの本を紹介しあおう」ということになりました。
そのときわたしは、悩んだ末にわたしの中のNo. 1ミステリー小説である「ブルックリンの少女」をおすすめしました。
↓よければ読んでみてください。感想もらえたら泣いて喜びます。笑
https://honto.jp/netstore/pd-book_29090984.html
一方の彼は、「僕は勉強ができない」という本を勧めてきました。
https://honto.jp/netstore/pd-book_27268508.html
わたしはそれを読みました。
すごくよかったです。
文章がすごくきれいで、今まで自分でも感じながらもうまく言語化できなかったようなことが、すごく上手に言語化されていて、主人公の考えや発言を通して、すっとわたしの中に入ってきました。
ちょっと達観した主人公とともに、高校生の青春も感じられながら、でも社会人の自分にも刺さる物語となっていました。
作者のうまさが存分に感じられる、すばらしい作品でした。
本を読み終わったわたしは、友人に感想を送ろう思い、LINEを開いてテキストを作成しました。
でも、ちょっと気恥ずかしくなって、結局感想のLINEは送らなかったんです。
なんだか自分だけがこんなテンションで感想を送っても、「そんなまじめにかえされるとは笑」という温度感の差を想像してしまったんです。
結局、その彼と次に会ったのは本の勧めあいをしてから、たぶん10ヶ月後くらいだったと思います。
久しぶりに会話をする中で、会話が途切れたタイミングで、わたしは切り出しました。
「そう言えば勧めてくれたあの本、めちゃくちゃよかったよ。」
すると彼は、
「ええぇ!!ほんまに!?読んでくれたん!!?ありがとう!!」
と、めちゃくちゃ嬉しそうに返してきました。
あまりにも彼が嬉しそうにするので、さらに感想の内容も詳しく伝えました。(携帯に残していたメモをチラ見しながら)
「うわ、うれしいわ。えーーそっかぁ、うーーわめっちゃうれしいわぁ」
そんなに?笑
こっちが少し恥ずかしくなるくらい、喜んでくれます。
「実は、この本、もっと前に読み終わっててん、で、感想も送ろうとしたんやけど、なんか恥ずかしくなってやめた。笑
そんな喜んでくれるんやったら、もっと早く伝えてあげればよかったね」
わたしは本当のことを伝えます。
「いやそんなんは全然いいねん。あの本を読んでくれたことがうれしい。
あの本は、俺の人生を変えてくれた特別な本やねん。」
そうして、彼は、その本のどこの部分が、初めてその本を読んだときの彼にどんな影響を与えたのかを教えてくれました。
その本は、当時、悩みを持っていた彼を、救ってくれたそうです。
「この本のおかげで、今の自分がある」
そう言っていました。
彼は、あるシーンを取り上げて、話してくれました。
セリフもしっかり覚えていました。
正直わたしは、そのシーンにそこまで特別な感情を抱いわけではありませんでした。
そのときの彼の環境や思っていたこと、その上でそのシーンがどのように彼には感じられたかを話してくれて、わたしは、自分では感じることのできなかったそのシーンの深さに気づきました。
そう言うメッセージが込められていたのか。
もちろん、物語の解釈に、正解はないと思います。
(作者の方が、そんなつもりで書いてない!!と言わない限り笑)
でも、その話を聞いて、感じ方の世界が広がったような気がしました。
彼は、読んでくれてありがとうとすごく喜んでくれましたが、わたしとしては、そんな世界を教えてくれて、こちらこそありがとうという感じでした。
そしてこの話を聞いたとき、その彼のことを、より深く知れた気がしました。
人の価値観や、考えていることって、普段の話の中でもみえる部分はあるけど、全ての角度からそれを見れるわけじゃないから、その全てを知ることって難しいと思うんですよね。
そんな中で、好きな本について、どのシーンについてどんなことを思った、どいういう風に感じた、そんなことを聞けたら。
ちょっと変わった角度から、それまで見えなかった部分について、見えるようになると思います。
しかも、それは、よっぽど本質的なことだと思うんです。
その人のことをもっと知りたいと思った時、「好きな本」を聞いてみてください。
そしてその本について、ぜひ、なぜその本が好きか、特にどのシーンが好きかを話してみてください。
きっとその人は、もっともっと深い関係になれると思います。
なかなか、ここまで深い部分まで話せることって簡単なことではないかもしれませんが、それでも、その人のまた新たな一面を発見できることは間違いなしです。
わたしが保証します。笑
好きな本をシェアするって、こんなにも尊いことだったんだなと、気づかせてくれた友人とのお話でした。
さて、わたしも、自分の人生を変えた本第1位を考えてみよう。
(好きな本たちのふりかえりになって楽しそう。)
わたしを知ってもらえるよう、いつでも、誰とでもそんな話ができる準備をしておかなくちゃ。