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「いっしょにいたいだけ」なのに、その気持ちが言葉にしても態度にしても伝わらない悲しさたるや。「silent」と「MONSTER LOVE」

「silent」は、TVerでの見逃し配信が歴代ダントツトップというネットニュースになり、一方「MONSTER LOVE」は、放送のたびにTwitterが騒然とするクロちゃん連載企画第3弾ということで話題となっているので、気になって見てみたら、心のざわつきが止まらない。。

この2つの作品が同じタームで放送されている奇跡たるや…!

最初は「ジャニーズ若手が主演だからどうせジャニヲタが盛り上げてるんだろなって思っていました

見る前から勝手な決めつけをしてごめんなさい。
まず、Snow Manの目黒蓮くん素敵でした。
日本シリーズで放送が遅くなってしまった時のメッセージも好きすぎる。


そして、脚本含め、演出も、演技も、そして何より髭男の主題歌が最高。

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても
夢中になればなるほどに 
形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が そこに託された想いが
君の胸を震わすのを諦められない
愛してるよりも愛が届くまで

Official髭男dism「Subtitle」

豊川悦治と常盤貴子の「愛していると言ってくれ」(北川悦吏子脚本)
妻夫木くんと柴咲コウの「オレンジデイズ」(北川悦吏子脚本)
の系譜というか、聴覚に障害を持つ主人公のラブストーリーにおいて、定番のようでもあるけれど、

「好き」という“言葉”を伝えても「好き」という“想い”は伝わらない、こともある。

逆に言葉では伝えられなくても、他の方法で伝えられることもある。

言葉が万能のものでないとみんな薄々わかっているけれど、どうしても言葉が欲しいときや、逆にどうしようもなく言葉を信じられないときもある。

伝えたい伝わらない その不条理が今 キツく縛りつけるんだよ
臆病な僕の この一挙手一投足を

Official髭男dism「Subtitle」

言葉はコミュニケーションの手段の一つにすぎない。
私たちは言葉に依存してしまっているけど、言葉はすごく不確かなものであることを痛感させられるドラマだと思う。

そしてやっぱり、髭男の藤原さんが歌詞の締めくくりにもってきた

言葉など何も欲しくないほど 悲しみに凍てつく夜でも
勝手に君のそばで あれこれと考えてる
雪が溶けても残ってる

Official髭男dism「Subtitle」

とあるように、たとえ言葉は記憶から消え去ってしまっても「想い」は永遠に消えないことを私たちは知っている。というか、願っている。

人生の中でその時の強い感情は残酷にも(幸運にも)忘れていくのが人間ではあるけれど、それでも「いつかこの恋をきっと思い出す」と思っていたい。ドラマのように、高校生時代のパートナーと再会したときに「忘れかけていた『想い』が動き出す」ことに憧れてしまうのは私だけ?

一見対極にあるような2つの作品なんだけれど

「silent」における「好き」という言葉と態度をめぐり、人間関係が変化していく様に感情移入せずにはいられない。

一方、「MONSTER LOVE」ではクロちゃんは、参加者から「好き」という言葉、「好き」という態度をもらい続ける。言葉や態度を試聴している限り、本当に好かれている、はずである。

ところが、これは「水ダウ」であり、「バラエティ」であり、「笑い」を提供している番組である。「MONSTER HOUSE」や「MONSTER IDOL」のように、番組に裏切られることは容易に想像できる。

「クロちゃんのことが好き」という前提の参加者が集められたはずであるのに、脱落者は現在のところ誰一人としてクロちゃんのことが好きではない。2話のオチはバラエティとしても秀逸な演出であった。

お決まりの流れであるが、クロちゃんは残っている参加者のことも信じられなくなってしまっていく…。言葉も態度も嘘ならば何を信じればいいのか。

何度騙されても、「愛」を信じ続けるクロちゃんに、どうか幸せになって欲しい。


「MONSTER LOVE」1話における「咀嚼している時の口の中をみる」というクロちゃんのフェチと、それを実践する映像や、2話における「目隠した女性に息を吹きかける」は、本当に心ざわつく。ゾワッとする。

衝撃的すぎる。気持ち悪い。生理的に無理。

見ていて悲鳴をあげる映像はこのシリーズを除いて他にない。
半ば強制的に心をギュッとさせられる。

でもこれはクロちゃんだからこそできることで、これが仮に目黒蓮くんであれば、同じ行動をしたとしてもここまで心をざわつかされることはない。ただのコントである。


それでも見たいと思うのは

「愛されたい」というMONSTERの欲望がどこに着地するのか。
それを見届けたいのだ。

ルッキズムであり、差別的でもあるが、クロちゃんは醜い。
だけれども、その醜さは、容姿や言動によって際立っているが、おそらく人間誰しもが少なからず持っている醜さである。水ダウの演出の藤井さんは過去にこんなツイートをされていた。

こんなにも醜くて、異常なフェチ(性癖)を持っていて、世間的にはモテるはずのないクロちゃん。

自分が「愛される」ことを信じ続けることをやめないMONSTERに、どうしても期待してしまう。クロちゃんが愛される世界線を目にしたときに、愛し/愛されるという関係が真だと証明される。

もはや大人気コンテンツと言っても過言はないであろう、水ダウのクロちゃんシリーズであるが、大人気になったが故に、そして芸人であるクロちゃんは、求められている姿を演じているようにも思える。

3話の衝撃的な最後、泣き喚くクロちゃんの姿はやはり愛を叫ぶ獣そのもので、私はドン引きしてしまうけれども、本当に愛に飢えているリアルさを感じてしまった。あれほど愛を求め、叫べることは羨ましすぎる。

恋愛リアリティショーが、全然リアルじゃなくて、台本とか演出があるように、「MONSTER LOVE」はテレビ番組としての作品だからフィクションだと思って見ているけれども、だからこそ【LOVE】と銘打った今回こそは、MONSTERの“真実の愛”を見せてほしい。

クロちゃんのことが本当に好きという出演者も、退場したとて、それがほんとかどうかは本人しか知らないけど😂

願わくば、今回見事パートナーを見つけ出し、その後、愛を育む姿を捉えつつも、その裏でまた醜い行動をとるクロちゃんが見たい。

「トゥルーマン・ショー」を超える名作とならんことを。

Wikipedia 「トゥルーマン・ショー」

最後に

いずれ、2022年に震えたこの2作品のこともどうせすぐに忘れてしまう。
「トゥルーマン・ショー」の最後のカットように、観客は次の興味に移る。
それでも、心動いた事実は、確かにここにあったわけで、その“想い”はきっと消えない。だからnoteに書き残したかったです。

あー、やっぱクロちゃん好き。

かしこ


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