病院勤務③
わが家のレモン。
今年は何個か採れそうだ。
花はたくさん咲いて、実もそこそこ生って。
実はジューンドロップで落下し続け
いまは10個ほど残っている。
去年は最終2個の収穫だった。
今年はもっと残りそうだ。
さて、病院勤務を始めて半年。
秋になって、大学へ卒業証明を取りにいった。
学部の事務室には知った顔があった。
大学封鎖のためボクらには卒業試験が無かった。
卒業式はもちろん卒業証書ももらえなかった。
活動家シンパだったので、それを非難する気はまったくなかった。
学園封鎖から1年後に卒業証書をもらいに行く行為に
気恥ずかしさがあった。
そこに顔見知りの、というか、かって活動家だった親しい先輩に
学部の事務所で出会えたことが嬉しかった。
「学士入学をしたいので卒業証明書が欲しい」。
そういう意味のことを告げると、
先輩も穏やかな顔で応対してくれた。
書類を探しに行って戻ってきた時の先輩の顔。
とても申し訳なさそうだった。
「キミな!卒業できてないよ。
単位は十分取れている。でもな、必須の語学が2単位足らない」
「2単位、今年取りなさい。来年3月は卒業できるから」
「2単位なら3000円。学生証も出すよ」
先輩のそんな説明を聞いたような。
ボクは先輩の言うに任せて大学を出た。
卒業試験はすべてレポートだった。
そのせいで?必須の2単位が取れてない。
それはフランス語であった。
確か何かの仏文和訳を提出したような。
病院に戻り、どうするかを考えるしかなかった。