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自分を大切にしてね

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 パニックになると机や壁に頭を思い切り打ち付けてしまう子がいます。自傷行動と言います。イライラすると自分の腕を血が出るほど噛んでしまう子も。自傷行動は力ずくで止めます。本当に必死で止める。子どもも全力で抵抗するので、経験を積んだ療育士でも叩かれて痣を作ったり、自分が噛まれてしまうなどの怪我をすることがあるくらい。
#10代、20代に多く見られる自傷行為とは似て非なるものです

 パニックになった時に自分を噛んだり、頭を机に打ち付けたりしてしまうのは、自分の存在を確認している行為、と言われることがあります。見通しが立たないことで恐怖に陥り、自分が「今、ここに存在する」認識が崩れそうに感じてしまう。するとパニックに陥りながらも、自分が自分として「ここ」にいることを確認するために自傷行動が出る、というわけです。

 自傷行動とは異なりますが「自分を傷つけてしまう」という点で見過ごせないのが、「感覚鈍麻」です。「感覚過敏」という言葉はよく聞きますが、「感覚過敏」とは真逆の感覚が鈍い事(人)のことを指します。感覚鈍麻だと痛みを感じにくいので怪我をしやすい傾向にあります。例えば火のそばにいても熱さを感じず、気づいたときには火傷を負っている、なんてことも。この感覚鈍麻の子が自己刺激をしているうちに加減がわからずエスカレートしてしまい、結果怪我をすることがあります。爪噛みがどんどんエスカレートし、挙げ句皮膚まで噛み始めて血が出てきてやっと気づく、そんな嘘みたいな話が結構あるのです。

 一方、痛くない程度に頭を打ち付けて大人に心配してもらう事を目的にしている場合もあります。この場合は、怪我をしないかどうかをよく見極めることが大切です。注目引きで自傷行動をする場合、周囲が本当に注目してしまったらその行為は収まりません。これは何も言わずに黙って止めます。本人にはなるべく関わらず、叩くもしくは打ち付ける対象となっている壁などの間に立ってふさいだりもします。別の遊びを始めて気を引くときも。

 あの手この手で自傷行動を止めますが、最終的に伝えたいのは『あなたがとても大切な存在である』ということ。保育園や幼稚園、子どもと関わる仕事をしていると、他害であれ自傷であれ、はたまた事故であれ、子どもが怪我をすることにとても過敏になります。無傷で親元にお返ししたい。でもあまりに無傷(身体的な)にこだわると、大切なことを見落としそうになる。

 どうして自分を傷つけてほしくないのか。それは、あなた(子ども)が大事な存在だからです。傷が残るからじゃない。手当が面倒なわけでもない。怪我をさせると保護者に謝らなくてはいけないからじゃない。
「あなたは大切な存在だから、自分を大事にしてね」
これに尽きると思うのです。どこまで通じてるのかわからないまま、それでもいつも伝えます。パニックで自傷の子にも、感覚鈍麻でやりすぎて血を出させてしまった子にも
「こんな風になるとあなたの体が可哀想だな。大切な体なんだよ。あなたの体はあなたが大事にしなくちゃなんだよ」

 かけっこやジャングルジムに果敢に挑戦して転んだり、滑ったりして怪我をするのとはわけが違います。
#大きな怪我にはもちろん気をつけて
 子どもの挑戦を
「あなたは大切な存在だから怪我しないようにチャレンジはしないでね」
なんて決して言いません。


 今、体を動かさない楽しみ方が増えています。
#YouTubeとかね
 ジャングルジムなどの遊具が公園から消え、木登りをしたことがない子どもが大半だと言います。
 実はこういった遊びは子どもの神経系の発達に大きく関わっています。近くのタブレットばかり見ている子は視覚認知(視力ではないですよ)が育たず、板書が苦手になる場合もあるそうです。
 そんな話もまた今度。


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