
冬眠願望
9月、電車が夕焼け空を横切って走り去る音を聞きながら、「嗚呼、またあの季節がやってきそうだ…。」と溜息を吐く。こんな時は必ずNulbarichを聴きたくなる。あの独特なリズムと歌声が、秋の始まりの私の心に沁みる。私は所謂、「自称冬季うつ」というやつだ。
心の中の怪物
秋の始まりに現れる焦燥感
自分でも予測できない、秋のとある瞬間に毎年突然現れる、謎の焦燥感。初めは気のせいかとも思える程のものだが、それは次第に心の殆どを埋め尽くす程に大きく成長し、最終的には心の中で爆発して一生住み付く。まるで悪性腫瘍のように厄介で怖ろしい、心の中に現れる怪物と言って良いだろう。その怪物の最大の恐ろしさは、原因不明なため「解決方法が自分ですら分からない」というところにある。一度その怪物に出会ってしまうと、何をどう足掻いても、毎年必ず同じ時期に私の心に現れるのだ。
焦燥感の正体
焦燥感とは何なのか―――。最近気が付いたのは、私の言う焦燥感は、あくまで私自身の中で生まれているものであって、実態はないということだ。
例えば、「明日までの宿題が終わっていない」・「卒業が懸かったテスト前で緊張している」・「親に怒られて気分が落ち込んでいる」などの具体的な理由がある上で感じる焦燥感には実態がある。つまり、実態がある焦燥感は明確な理由により発生するため、解決方法や終わりが分かる。しかし、私が感じる実態がない焦燥感は、不明瞭な原因により発生するため、解決方法も終わりも見えない、怪物のように怖ろしい存在なのだ。
焦燥感をより具体的に表現するならば、文字通り「焦り」となるが、焦燥感が大きくなるにつれ、動悸・めまい・脱力感・異常な手汗・胃腸の不具合など、身体的症状も発生する。私の場合、その身体的症状もまた心に負荷を与え、最悪とも言える負の連鎖が誕生した。
焦燥感の原因
焦燥感と3年間程付き合った後、社会人になりようやく心療内科を受診したことで原因が分かった。結論、私の焦燥感の原因はうつ症状だ。「うつ病」というわけではないが、様々な症状の中の一つがうつ症状で、その症状により焦燥感のようなものも感じてしまうのだそう。精神疾患を発症する原因は様々だが、何かしらの強いストレスが原因で発症することが多い。ここで原因を明言することは控えるが、私のうつ症状の原因は解決が難しいもので、これまで感じていたストレスを何かしらの行動によって根本的に消すことは出来そうにもない。そのため、現在は薬物療法と、生活習慣や自分自身の考え方の癖を変える努力をすることで、寛解に進む予定だ。
怪物の撃退法
焦燥感は当たり前じゃない
焦燥感を感じて何らかの不調を感じることは当たり前ではなく、それを「日常」と捉えてはならない気がする。焦燥感を「日常」と捉えることで、自分の人生を振り返ったときに「焦燥感に駆られていた日々」が「日常」となり、人生が不幸の連続のように思えてしまうからだ。特に、実態のない焦燥感を少しでも感じて苦しんでいるのであれば、それは「非日常」的出来事であり、イレギュラーな感情と言える。何度も繰り返すようだが、焦燥感に駆られるのは心身の調子が悪いイレギュラーなことだ。
幸せになるには
ここから先は
¥ 300