中山大障害2020
いよいよ中山大障害の季節がやってきました。
絶対王者はアクシデントにより不在、
昨年の覇者は残念ながらターフから去ってしまいました…。
しかし、それでも歴戦の名脇役や新星が揃いました。
2013年以来のフルゲートですが、今年のフルゲートは大きな意味を持っています。
全馬全力を尽くし、温かい拍手に包まれますように。
2020年中山大障害予想
それでは予想にまいります。
■本命
⑫ブライトクォーツ
昨年の大障害2着、今年のグランドジャンプ3着と、
いつ順番が回ってきてもおかしくない実力馬です。
叩きと思われた前走では、直線でオジュウチョウサンを含む2頭を
離れた後方からまとめて交わして2着でした。
昨年の大障害では最終コーナーで落鉄のアクシデントもあり、
善戦マンの立場で終わる馬ではないのです。
西谷誠騎手
デビュー年から障害に騎乗し、今年で26年目。
大障害3勝、グランドジャンプ1勝。
2016年以降の成績はやや低迷気味ですが、
大一番では絶対王者をも負かしにいく攻めた騎乗が期待できます。
嫌いな食べ物はセロリ。
■対抗
⑭メイショウダッサイ
昨年の大障害3着、今年のグランドジャンプ2着馬です。
馬券外は置き障害の新潟だけで、昇級後は全て馬券内と、
スタミナタイプで抜群の安定感を誇ります。
森一馬騎手
最近では珍しくキャリア2年目から障害に騎乗し、
昨年のJRA賞最優秀障害騎手(今年もきっと)と若手のホープ。
昨年の大障害では勝負どころで周りに遠慮して一度下げてしまい、
今年のグランドジャンプは馬場が悪すぎて周りがこれなかっただけで、
今回は強気の騎乗ができるかがカギ。
平沢騎手と仲良し。
■単穴
①シンキングダンサー
大障害は3年連続4着。19年のグランドジャンプ2着が障害GI最高着順。
ここ3戦も連続で4着と4着が定位置になっています。
オジュウチョウサン、アップトゥデイトの4着と実力は高いのですが、
何かが一つ噛み合わず善戦続きです。
今回は去勢明け初戦ということで期待と不安が混じる一戦となりますが、
よい方向に転がってほしいと思います。
五十嵐雄祐騎手
キャリア19年目のイケメンで、2018年のJRA賞最優秀障害騎手です。
大障害1勝、グランドジャンプ1勝。
冷静な騎乗をし、本人いわく中山が得意と一発を秘めています。
趣味はボートレース。
■特注
⑨ビッグスモーキー
重賞での馬券内はありませんが、固定障害での安定感を持っています。
前走が初重賞でオジュウチョウサン、ブライトクォーツとはタイム差なしの4着。
飛越も上手なので、後はスタミナが持つかどうかにかかっています。
植野貴也騎手
デビュー27年目で障害騎乗は5年目から。
ここまで障害GIは大障害・グランドジャンプともにマイネルフィエスタの7着が最高。
シゲル馬への騎乗が多く、2019年はシゲルヒノクニで京都HJを制覇。
手品が上手い。
■連下
⑪タガノエスプレッソ
デイリー杯2歳S、京都JSを制した二刀流です。
前走は絶対王者のオジュウチョウサンに黒星をつける大金星。
平地での戦績的にハードルタイプかと思いきや、
固定障害でも安定して高い成績を残す優等生です。
平沢健治騎手
デビュー20年目で障害騎乗は3年目から。
障害GIは大障害のハッピーティア、タイセイドリームの2着が最高。
2013年に美浦から栗東に移籍してからメキメキと勝ち星を伸ばし、
障害競走におけるセンスは現役屈指(新路談)。
お酒に弱い。
余談
ここからは余談です。
冒頭で今年の中山大障害のフルゲートには大きな意味があると述べました。
話は2010年10月に出津騎手が引退されたことにまで遡ります。
出津騎手の引退により、平地免許を持たない障害専門騎手はいなくなりました。
そこでJRAに沸き上がったのが「障害廃止論」です。
売上も低いし、コースの維持費用も掛かる障害競走は廃止してしまおうという話です。
(ただし、これは一部の競馬週刊誌のみで取り上げられたソースに乏しい話です)
その時に言われていたとされるのが「向こう10年での障害廃止」でした。
つまり今年の大障害はその10年目にあたるのです。
では何故、障害競走は生き残ったのでしょうか。
2010年以降、中京競馬場の改修により襷コースの廃止や、
障害騎手不足による2場での障害開催廃止など苦難の連続だったのにも関わらず。
それには勇気を見せた騎手たちの存在があるのです。
植野騎手、北沢騎手、西谷騎手、林騎手が2011年に、
平沢騎手が翌年2012年、金子騎手がその翌年2013年に平地免許を返上しました。
文字通り、障害競走にしか騎乗できないということです。
こうなると、JRAも障害競走を簡単には廃止できなくなります。
廃止した瞬間に障害専門騎手を失業させることになるからです。
騎手たちにとっては最後の抵抗、覚悟だったのです。
もしもここで免許返上をしていなかったとしたら、
「廃止しても平地で乗れるのだから問題はない」という結論に達していたかもしれません。
先にソースに乏しい話とは記載したものの、
すぐに行動に移された騎手が4名もいたということ、
インタビューにおいても、廃止論というワードにこそ触れていませんが、
免許返上には相当の葛藤があったと述べられていることから、
決して噂レベルではなかったのだろうと考えずにはいられません。
廃止論から10年経った2020年にも大障害が開催されること、
そして、その大障害がフルゲートであることを思うと、
先陣を切った4騎手、続いた2騎手には感謝の言葉ではおさまりきりません。
馬の実力を完全に抜きにした私情だけであれば、
今年は植野騎手、西谷騎手のどちらかに勝っていただきたい大障害です。
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