見出し画像

ずっと「反生成AI」に対して違和感を覚えている件

 画像生成AIを問題視する人達が現れ始めた頃から
「もしそんな風に絵が描けるんなら、俺だって使いこなしてみたいよ」
と思い続けてましたが、いざ使ってみたら楽しいのなんの、てのは以前書きましたね。スキ!も多く頂き、反応の多さに正直驚いてます。

 それだけに、こちらのnoteでも反生成AI側の言動にほとほと参っている方々の文章をよく見かけますが、あれは一体何なのでしょうか。ああいう考え方で、本当にクリエイター側に寄り添ってるつもりなのか、と。

 どこぞの出版社が、「ウチの出版物には文章にしても絵にしても生成AIが関わったものは受け入れません。何故なら、生成AIは楽するためにあるからです(キリッ!)」みたいなのを見ると、そういえば大昔に「マンガをデジタルで描こう」とか、「カブラペンは紙に引っかかることが多いし、そもそもすぐいい感じに線が引けなくなってしまうから、ミリペンを使って描こう」とかいう動きを漫画家側が始めたら、何故か具体的に作画作業をしない編集者のほうが、「それは手抜きだ!俺が主宰するマンガ誌ではそういうマンガは一切載せない!」と主張し、実際に嫌がらせまでもしてきたことを思い出した。
 いつの時代も変わらないね。 日々AIを使ってる立ち場から言うと、AIというのは「やらなきゃいけない作業を少しでも効率良く処理するためにあるのであって、それは本質的には楽することではない」と思ってる。楽するというのは、まったくやらないで済むことですよ。
 正直自分はエディターと称する編集者とは大方相性が合わないけど、本当に彼らの考え方はよくわからんです。

 これ、特撮とVFXも同じようなもので。特撮だとミニチュアやセットの作り込みが凄いと「リアルだ」と評されますが、VFXもそれと同じことをCGでやっている。例えば建物一つ作ってそれを破壊しようものなら、どう壊れるか? までも考えて作らないといけません。この場合、ミニチュアは一発勝負な要素もありますが、ならCGはそれが無いから楽か、というとそんなことはない。物理演算まできちんと考えてからレンダリングしないと、見るからに変な崩れ方をするので即ボツに。また作り直しです。

 で、この時に「CGなんだから、ちょちょっといじればいいんでしょ?」と思ってしまう人もいるでしょう。ところがどっこい、なのです。

「本当にモノを作ってモノを壊して、全てのパーツを物理演算にかけて……現実世界と同じなんですよ。物理の世界で本当に重力を与えてやって、それが良いか悪いかで判断する、っていう感じなんです。
 だから『やってみないと分からない』。で、やってみるまでの時間が、多分実写よりもかかってるんですよ。
 ……よくね、『コンピューターでいいよね』って言われるけど、そんな簡単なもんじゃない。やっぱ一個一個の部品を作るのでも、一生懸命手作りでやってるから。ただ、やり直しが何度も出来る、てのと少ない人数で大規模なスタジオが要らない、てのは効率的でいいんですよ」

 デジタルでありながら、こだわり方はアナログとさして変わらないんですよ。ただ使うツールが違うだけ。

 以前も記したように、絵でも何でもデジタル化されてる昨今、例えそこにAIが導入されようと「こだわり」を持って挑める人が新たなクリエイター層になるのではないかと。なのに、そこまで旧来の方法を死守して、新たな技術を否定するのはやはりおかしい。
 極端な言い方かもしれませんが、そんな主張では「自分のこだわりはAIに負ける」と認めたようなものではないですか? 使っている側を盗人や罪人の如く扱うのは、つまり「大してこだわりも持ってない側が、上手な絵を描くなんてズルい」と言いたいわけでしょう?

 ……自分はね、AIで絵を描き始めてから「もっと絵を上手く描けるようになれたらいいな」となおさら思えるようになりましたよ。

 AIイラストで参考にしてるチャンネルですが、ここの方が公開してるショート動画を観た時に、衝撃を受けましたね。AIの描いた絵を手直ししてるんです。それを観て、そうか、この方は元々絵が上手い方なんだ、と。上手い人がAIを使ってさらに楽しく絵を描いてるようで、何とも羨ましく思えたものです。
 なら、どうやれば上手くなれるのか? いくら便利なツールがあっても、その後の「こだわり」で非常に難しさを覚えるんですよ。だとすると、元々その「こだわり」を持って描いてた人の方がずっと上手く使いこなせるのではないか、と。

 だからこそ、クリエイターの人が生成AIを否定してしまうのは悲しいし、勿体ないな、と思えてならないのです。

戸惑う初音ミクさん

 この絵だって手が変です。AIの画像修正を幾度となく掛けてみましたが、なかなか思ったようには行かず……となれば自分の手で修正するしかない。
 直すのは大変だろうな、とは思いますが、より良い絵を納得いくまで描きたいのなら、避けて通れない道なわけで。

 なにはともあれ、描くしかないのだなぁ。

いいなと思ったら応援しよう!