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コミケ戦利品紹介:Ⅰ『空耳アワー辞典 1992-2023』

 コミケ102の戦利品紹介はこの一冊から。二日目にアーリー入場してまずここのブースを尋ねてみると、既に列が形成され始めて「最後尾はこちら」札が。「空耳アワー研究所」さんの最新刊ではあるが、大元となる『タモリ倶楽部』終了となれば求めに来る人は多かろう、と予想した通りだった。

 このような同人誌を発行するに至ったきっかけは以下の記事が詳しい。

 昔から気になっててやり続けていたことが、たまたまメディアでやっていたそれと合致したというべきか。これが偶然か、はたまた運命なのかは分からないが、結果として著者がし続けてきたことは膨大な空耳データベースとして残されるようになった。空耳のフレーズからその該当部分が曲の何分何秒頃なのか、かつどの盤に収録されているかまでを網羅するなど、よほど好きでない限りは続かない。
 そして著者は「あとがき」でも同様の言葉を寄せて総括している。

「(前略)タモリイズムを引き継いだ我々が、新たにニッチで面白いことを発見していく時がきたのかもしれませんね。」

著者:河原田剛氏のあとがきより

 実に響く一言である。何かニッチだけと面白いと思えるものが、まだまだ世の中には転がってるのではあるまいか? ただし決して気負いをすること無く、しかし好奇心を持ち続けながらのんびりとこの世を暮らす。自分はこういう生き方に憧れる。
 記事内では、SNSが発達する前はメインストリームとサブカルチャーで二極化していたが、今やその垣根はなく様々なコミュニティが存在していると書かれている。しかし現在、当のSNSではただ世の中の嘆き節を語るようなところも少なくない。そんなところに首を突っ込むよりは、タモリイズムを心の片隅に抱きながら日々過ごしていく方が、ずっと心身共に健康でいられるような気がしてならないのだ。

 自分はどこまでタモリイズムを実践できるか……などと構えてしまうのも良くないのだろう。「ただ生きている中でおもしろいことが見つかった」のであれば、まずは生きよう、のんびりと。これでいいのだ。

 最後に著者のコミケ初参加は1996年。年表からすると今の有明に移ってからになる。そこから増補・改定を繰り返しつつ27年、本当にお疲れ様でした。また増補される時は来るのか。それまでのんびり待つとしますか。


 と、ここでフト思い出して本棚を漁ると過去の空耳アワー辞典があった。発行は2003年冬コミで「12周年」とある。両者を比較してみよう。

これが20年前の同人誌。表紙の文字を見ると……

 かつては「歴代空耳番組作品集」という枠もあり、他のテレビ・ラジオ番組に存在した「空耳アワーのようなコーナー(※空耳アワーの誕生以前から開始された番組もあるためパクリではない場合もある)」のネタや、所長やウェブサイトに寄せられたものまで紹介していた。これは根っからの「日本語みたいに聞こえる洋楽」好きでないと出来ないだろう。その度合いには頭が下がる思いだ。
 さて今回の冊子はというと、 

見た目は20年前とほぼ同じに見えます
両者の厚さを比較すると……?

 ほぼ同じに見える。しかし、20年前は1ページに付き最大8つの空耳ネタを紹介していたのが、最新刊では14個! もう、ギッシリだ。
 なお、それでもクイーンのネタだけで4ページは使っている。どれだけ日本で愛されてるんだよ、クイーンは。

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