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プラモ作りのハードルが下がったからこそ、の話

 こんなポストが流れてきた。「航空機の模型を買ったら、接着剤や塗料が必要だなんてハードルが高すぎる。今時そんなプラモがあるんですか?」というレビューに対する、実に容赦のない一言である。

こいつ絶対プラモデル作るの向いてないからやめた方がいい笑

 これを「プラモデルを知らなさすぎる」と語るのは簡単でしょう。ガンプラは接着剤・成形色を分けて塗装要らずが売りだったりしますけど、塗装とかデカール貼りもあるのが模型ってものでしょうよ、と。
 ましてや自分がかじった艦船模型だと、着色済で接着剤不要、なんてモデルの方が珍しい。フジミ模型が販売している「艦NEXT」シリーズくらい。ただこれもパーツを色分けしてはいるものの、パーツ自体は細かなモノも多く、細部にシールを貼ってディテールアップしたりと、やはり工程はかかるみたいですね。塗らなくていいけど決して楽ちんではない、という。

 とはいえ、普通の艦船模型よりお値段こそ張りますが「接着剤不要」「塗装せずともサマになる」というアドバンテージはかなり大きいんですよ。

 実は、接着剤や塗料が放つ独特の香り、すなわち溶剤の匂いを嫌う人って案外いるんですね。自分が知らないだけで。
 疫禍の頃に艦船模型作りを復活させた際、大洗の模型工房(大洗工廠)のご主人とお話した時も「もし水性で塗りたいのであればアクリジョンはどうですか?」と勧められました。これはラッカー系にも劣らないほど乾燥が早いけど、水性なので後始末が水洗いだけで済んでしまう。おまけに独特の匂いもほぼ無いというスグレモノ。
 なので、仕事も第一線を退いて暇が出来た世代の方々が、昔取った杵柄とばかりに趣味のプラモデルをやりたいけどご家族から
「子供がいるんだから、シンナー臭いのはやめてよ、アタシも嫌だし」
と言われてやりづらい……という方にオススメしたい、と。

 そうか、自分はともかく別のところにハードルがある人もいるんだなぁ、と思ったものです。

 先の模型を買った(そしてAmazonでレビューした)方は、本当にガンプラしか知らないのでしょう。しかし一方で、自分はガンプラに一切手を出したことがありません。そもそもガンダムを知らない自分が買うはずもない。だから「最近のガンプラは塗装どころか接着剤も不要」だなんて、模型に手を出してなかったらまず知ることもなかったでしょう。
 アンタこそ認識が古いままだったでしょ? と言われたらそうだねぇとしか。自分の知らない側、違う側にいる人達の認識ってのをただ笑うだけでは話が進みません。今は模型の間口が広がった、だからこそのエピソードなんだろうな、と。

 ただコレだけは書いておきたい。
 ……箱の説明書き、ちゃんと読んだ?

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