見出し画像

『メガロポリスサンシャイン/加山雄三』

 1980年リリース『その日からラプソディ』のB面曲。A面共に作詞は阿久悠。作曲は弾厚作、つまり加山さん御本人ですね。
 そんな加山さんの曲ですが、実はかつての伊集院光「アレコード」で紹介されてます。なぜ「アレ」なのかは、聴けば分かります。

 なんと加山雄三さんによるテクノポップ。

 調べたところによると、アレンジはシンセサイザー奏者の深町純。ピコピコテクノを効かせまくった伴奏に、ユニゾンさせた加山さんの歌声が重なる。それだけでも十分格好良いのに、力強く高音が伸びるサビの部分とか、よく聞くと「夢を道連れに」がかつての『旅人よ』を思わせるメロディーは、これぞ加山節といえるでしょう。アレはアレでも良いアレです。名曲。

 ……さて、なんでこの曲を紹介したかというと、偶然こんな曲を発見してしまったからです。

『人生障礙賽/葉振棠』

 なんと香港でカバーされてました。

 
 こちらも調べてみますと、歌手は葉振棠(イェ・ジェンタン)、英語ではジョニー・イップという名前で活動している方で、1944年のマカオ産まれ。70年代にバンドを結成して音楽活動を始め、80年代にソロデビューして以降は幾多のTVドラマで主題歌を担当する人気歌手となったそうです。ディスコグラフィーによると2021年にも曲をリリースしており、79歳を迎えた現在でも音楽活動を続けているようです。

 そして、この『人生障礙賽』は、3枚目のソロアルバム『太極張三豐』に収録された1曲。このアルバムがなかなか変わってまして、他の収録曲を見ると『為你粉飾生命』は『とてもちいさないのち/さだまさし』、『求你原諒』は『やわらかい心/杉田二郎』と日本人歌手の曲を計3つもカバーしてました。

 さて曲そのものを聴いてみますと……そもそも題名の『人生障礙賽』を直訳すると『人生は障害物競走』。メガロポリス要素が全くありません。
 ところが歌詞を追ってみると面白いことに。翻訳ソフト・DeepLを参考にして一番の部分をざっくり訳してみると、

人生いつだって障害がある
たとえ今日雪が降っても 春は必ず来ることを知っててほしい
未来は自分の手で切り開ける 名誉と努力は切り離せない
目を開けて待ってないで 幸せになる決心をするんだ

毎日が新しいレース 毎日が新しい障害
新しいスコアを書いて 毎日突破を願う
栄光が待ち遠しい
粘り強く努力を続け 信念を持たなきゃいけないんだ

この大会に参加できるのは誇りだ 誰が輝けるだろうか
勇気を大切にしよう 負けて当たり前だなんて思わないで

 随分と内容が違いますなぁ……と思ったけど、これってまさか
「サンシャイン(日の出)」
ってこと? 元々の歌も最後の部分は
「愛し合う二人ならいつの日にか空を飛び
 追いかけるよ蜃気楼 夢を道連れに」
となってますから、どこか希望に満ちてます。そのイメージを膨らました結果、こうなったのでしょうか。

 香港で作られたゆえ、伴奏やアレンジがどこかジャッキー・チェンの映画主題歌を思わせるのですが、それがまた歌詞の内容をなぞったようでもあります。

 いやはや、アレコードを追っかけてたらいつの間にか香港まで辿り着いてしまいました。これだから珍盤は奥が深い!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?