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【ラジオ】アレコード備忘録 10/27放送分

 本年内のオンエアも残りわずか、今日は何が流れるか? 早速レビューしてきましょう。
 にしても保利透さんが紹介した戦前の元祖デブタレント・岸井明氏の話は気になりますね。経歴だと、円谷英二が特撮を手掛けた『エノケンの孫悟空』にも出演。もちろん役は猪八戒。ミュージカル(オペレッタ?)仕立ての作品だから適役すぎるくらい。さて曲の方はどんなやら。

・「僕は二人前/岸井明」

 題名からしてデカい人だと分かるが、作詞もご本人。伊集院さん曰く「これはデブあるある。戦前からこの問題は何一つ変わってません!」。あるあるどころか悲壮感や哀愁も漂っている。「♪僕は何でも二人前、そのくせ懐に入るサラリーは一人前」てのは上手いし「♪でもお嫁さんは一人でいい」と陽気さで締めるのも楽しい。確かに戦時中は飯で苦労しただろうなぁ……

・「お嬢さんの犬/岸井明、平井英子」

 こちらはコミックソング。一緒に歌っている童謡歌手・平井英子さんは何と今年に他界されていた。なんと御年104歳! 岸井さんと同じく気になりますね。
 「お嬢さんの犬」……なぜそういう犬をテーマにしたのかな? と思ったら聴いてナルホド、何とも微笑ましいじゃありませんか。お互いの心がすれ違う様子にアララ勿体ないと思いきや、最後は犬無しで二人仲良く散歩、というオチ。よかったねぇ、ってせめて犬も連れてってあげようよ。恋のキューピッドはある意味このブルドッグだぜ?

・「家(うち)へなんか帰るかい/岸井明」

 当時の洋楽をご本人が翻訳してカバーした一曲。帰るかい、というか女房の尻に敷かれてて家に帰りたくない男が酒呑んで強がってる様子はホント上手い。あと「ディズニーっぽさが入ります」って『三匹の子豚』かよ! オリジナル曲を知らないので何とも言えないけど、カバーして編曲する際にあえてこの豚を選んだとしたらセンス良すぎ。

・「爆弾ぶし/美ち奴」

 戦争が長期化してた頃の歌だそうで……なるほど歌詞の最後が全部「大和魂込めてやる」なあたり察しが付く。そして何より浪曲『森の石松』のパロディを敵国全てに吹っかけてる点もまた。
「アメリカだってねぇ、ルーズベルトよ、爆弾食いねぇ」
 おいおい凄いこと言うなぁ、と思ったらチャーチルと蒋介石にも吹っかけてるよ! あ、こりゃやっぱり普通じゃない。こんな歌がリリースされる時代の空気(=雰囲気)って想像付かないわ……

 本日はほぼ岸井明特集だったけど、最後になかなか凄い空気の曲が入ってきた。微笑ましい様子が吹っ飛ぶね、爆弾だけに。
 ではまた来週。



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