庵野秀明監督が、ヤマトを作る!!
……といっても、自分はヤマト直撃世代でもないしほぼ観てもいないから、内容を語りようがない。のですが、一つ世代が違うだけでヤマトへの思いが凄く違うのは分かります。
20年以上前、自分はとある特撮オフに参加してました。
土台となったのは唐沢なをき氏の特撮エッセイ漫画『怪獣王』。なをさん公式サイトの掲示板に集まった有志の方々が立ち上げたオフです。通称「KTE(怪獣王東京宴会)」。
それぞれで特撮ネタを持ち寄り、一緒に鑑賞して楽しむというユルユルとしたオフでした。ここでお初の鑑賞となった作品も多いですね。それこそ『ウルトラセブン』12話や『サンダーマスク』なんかは……一方でメジャーなのを改めて観ると面白いなぁ、てのもありました。まあ、そういう集まりだったわけです。
メンバーはずっと年上の方ばかり。なをさんとほぼ同世代(1961年産まれ)の方が多く、それこそ70年代の特撮ヒーロー番組をリアルタイムで観ていた。で、その世代の人達にとって『ヤマト』は特に刺さるわけです。ちょうど中学生ですからねぇ。
で、とある方がこんな映像をこさえてきました。
「宇宙戦艦ヤマト矛盾追求ビデオ」
TVシリーズ全26話を穴が空くほど観ていると、どこか変だぞ? とツッコミを入れたくなるトコがあるのだと。それを編集してきたというのです。
ヤマトは未見でしたが……これまた上手に作ってあるんですよ。
・「デスラー総統の顔は何色?」
ガミラス帝国の人々は青白い顔をしてますが、実は初期の数話だとデスラーだけが肌色で描かれていたのですね。しかし話が進むにつれ、気が付いたら青白くなっていたのです。おまけに変わった瞬間までしっかり描かれていたという。おそらく色指定のミスを直したのだと思いますが。
・「ヤマトの錨はどっち側?」
左舷の錨を下ろしていたと思ったら、数カット後にはなぜか右舷から錨が下りていた。これも指示ミスでしょうねぇ。
・「コスモゼロとブラックタイガー」
コスモゼロがブラックタイガー隊を率いて出撃したと思ったら、帰還時にはなぜかコスモゼロ隊の後ろに一機だけブラックタイガーがいた。これまた指示ミスでしょう。
・「ヤマトの艦橋に窓はいくつ?」
性格には5つらしいのですが、これまた時と場合によっては4つだったり3つだったりしている。これも……って挙げたらキリがない。
まあ実際、原因はそうだろうと思えるものばかり。ですが、こうなってしまったのも無理はありません。
ネタ上映後に聴いた話によると、いうまでもなくメカ描写が非常に多い作品だったため、製作元のオフィス・アカデミーでは作画でエラい苦労をしたのだとか。スケジュールはいっぱいいっぱいで、何と放映する当日の午前中にその日の分を完成させたら、スタッフは出来上がったフィルムを抱えて新幹線に乗り、製作元のよみうりテレビ(大阪)に届けていたそうです。どんだけカツカツだったんだ、これ。
今だったら万策尽きたとか総集編だなんだと言えますけど、当時にそんなことが出来てたらどんなによかったか。先の矛盾追求は、当時のスタッフが必死こいて作っていた証だったのです。笑っちゃいけませんね。とはいえこのビデオのおかげで、何となくではありますが少しだけヤマトとの距離が縮まったような、そんな気さえしました。
とまあ、ファンの人がこういうネタを一本作って、これが通じてしまうくらいに熱狂する人々を生んだアニメ作品が、これまたヲタク四天王と呼ばれる映像監督の手によってリブートされる。ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーときてついにヤマトですか。世代としては唐沢なをきさんとほぼ同じですね。やはり、中学~高校ぐらいの時にハマった作品は後々まで影響を及ぼすもののようで。
とりあえず退院おめでとうございます。それと無事の完成を祈ります。