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駆逐艦雪風、二度目の映画化

 陽炎型駆逐艦・八番艦:雪風。
 1940年に竣工され、太平洋戦争では数多の海戦に参加しながらも、大きな損傷もないまま終戦を迎えた「幸運艦」ですな。もっとも幸運というよりは、ずっと無事だったがゆえに他の戦いにも駆り出され、それこそ全滅覚悟な作戦(大和が沈んだ坊ノ岬沖海戦も含む)に参加しながらもなお無事に帰還できたり、空襲を受けたり魚雷を食らいそうになる大ピンチに遭いながらも、突然のスコールや不発魚雷、さらには神回避までしていた武運艦だった、という方が正しいでしょう。

 自分は艦これで知ったくちです。ゲームではここぞ、という時に投入する切り札的存在でもあります。夜戦時において強力な雷撃を敵ボスに叩き込む姿は、まさに駆逐艦の真骨頂。なおキャラデザインのしずまよしのり氏によると「史実では60隻くらいの友軍艦の最後を見届けた船」だという点を踏まえて「見ることしか出来ない」アイテムとして双眼鏡を持たせたとのこと。そうなると、雪風だけでなく誰一人として轟沈する姿を見せるような真似はしたくないね。無論、アイテムの応急修理女神(※轟沈から一度だけ復活可能)を使ってゴリ押し、てのは可能ですけど、復活出来ると分かっていても心臓に悪いですからね、あれは。

 それはさておき、数多の戦いに参加して生き延びた船、というなら「雪風の乗員を通じて描いた戦争」の物語がもっとあってもいいのでは? と思ってましたよ。1964年には松竹でこんな映画も作られてますが、映像作品としてはこれくらい。

 そこへ「終戦80年」と銘打って雪風が映画化です。どういう風の吹き回しでしょうか。もしや『ゴジラ-1.0』での大活躍に触発されたとか? しかしニュース記事によると撮影は今年の5~6月頃に終えており、今はポスプロの真っ最中だそうです。となるとゴジラはあまり影響してないか。実際どうなのやら。

 さて物語はどうなるでしょう。VFXを駆使して雪風が描かれるのは間違いないとして、やはりドラマパートですよね。監督の山田敏久氏は始めて名前を聴く方ですが、経歴としては『聯合艦隊司令長官 山本五十六』や『空母いぶき』で助監督を務めてたそうで、その二作品で監督を手掛けた長谷川康夫氏が脚本だそうです。となると長谷川監督の門下生か。
 それら過去作の評価からすると……うーん、どうなんでしょうね。気になる一本ではあるけど「史実に基づいたフィクション」てのはどの史実をどう描くのか。大戦時には艦長が三度交代したそうですが、歴代艦長のエピソードを、全部竹野内豊のものとしてまとめる、てな感じですかね。

 ゴジラと旧日本海軍が戦った映画の後にコレですから、どうしてもハードルは上がってしまうか。かといって期待するなというのも変な話。続報を待ちましょう。

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