体育は好きか嫌いか、と聴かれたら……
場合によるよな、としか。
コメントを読んでいると、体育の「授業」に対する積年の恨みが伝わってきて辛い。かつ、自分も確かに嫌なことはあったので気持ちは分かります。
鉄棒は苦手だった。いくらしっかり握ってても、それが前転でも後転でも、自分から上下感覚を無くすというか「自分の意志で落下しに行く」感覚がどうやってもダメでした。
上下感覚といえば床運動もそうですが、これは普通に出来ましたね。跳び箱はなかなか飛べなかった記憶あり。小学校の時だと5段くらいは行けるけど、6段が自分の鬼門だった。それ以上行くと先の「落下しに行く」に通じる部分があって、どうしても思い切って飛べなかったような気がします。
当時はこの恐怖感を誰も理解してくれず、間違いなく弱虫扱いされてたのが嫌で嫌で……今でこそ文章で表現できてますけど、当時の自分がこの感覚を上手いこと言語化出来てたら、少しは違ったのでしょうか。いや、ただの言い訳扱いされてたか。だとしたら体育嫌いは周りの人間のせいだな。
あと水泳も全然ダメでした。暑い日に風呂場で行水するのは大好きだったけど、プールは浅いところでないとどうにも。これも「足元に何も無い」とか「顔面を水に覆われる」感覚が嫌いだったのでしょうな。ただコレに関しては、小学校高学年に入ってからスイミングスクールに3年間だけ通って、どうにか泳げるくらいにはなれた。こっちは克服できた、といえるかも。
一方で走る方はまあまあだったし、縄跳びはそこそこ出来てたのであまり嫌な記憶が無い。なので本当に場合による、なんですよ。
ただ、否応なしに身体を使う状況下に置かれたことはあります。
自衛隊です。ここに2年程所属していた時、最初の6ヶ月、前・後期訓練は本当に体力勝負でした。
運動部といえば中学の卓球部だけで、後はろくすっぽ運動なんかしてない自分が、ただでさえ身体を資本とする職業に入ったもんだから、どうなったからお察しの通り。入隊直後の体力測定では、腕立て伏せや腹筋、懸垂なんかろくに出来やせず、
「俺って、こんな非力だったのか……」
と悟ることに。本気でガッカリしましたもの。
それでも続けられたのは、やはり周囲の応援といいますか「皆で協力し合うのが大切なんだ」と口煩いくらいに叩き込まれた、自衛隊教育の賜物だった気がします。誰かしら非力だと思える人をからかおうものなら「そんな風に他人を馬鹿にするな!」と一括されるのがオチ。励まし合ってナンボな教育環境だったんですよね、あそこは。
そして入隊から二ヶ月半後、改めて体力測定を行うと
「いつの間に、こんな?!」
と自分でも驚くほど体力が付いてました。同じ区隊のメンバー内では平均以下でしたが、全く出来なかった懸垂を5回、6回と続けられるようになると、やはり嬉しかったですよ。そうやって達成感を得られると、自信にも繋げられるわけで。
……だとすると、学校の体育は何だったんでしょうね?
体育の授業そのものはあって然るべきなんですよ。ただ「苦手」と思っているものを「周囲の人間に晒されてしまう」感覚に対して、少しでもいいからフォローしてやってほしいですよね。子供がその苦手な感覚を言語化するのは難しいし、ましてや周囲(大人ではなく子供同士)がその思いをどこまで理解し合えるでしょうか。何せ、苦手ではない部分に関していえば、自分にもいろいろと思い当たる節がありますから。
あと、先のコメントを読んでると「体育は元々軍事教練がベースだ」とか言われてますが、だとすれば自分が自衛隊時代に体感した「仲間同士で助け合う」のはどこへ行ったんでしょうな? 子供だからこそ、そういうのを教えて欲しかった……