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キャプテンウルトラ第21話「電波怪人ラジゴン星人あらわる!!」

 テレビ放送で衛星中継が実用化されたのは1960年代半ばで、本作の数年前。そこから「テレビは放送衛星が主流になる」という未来絵図を予測したとすれば結構な先見性である。実際、21世紀の初頭にはもう衛星放送による多チャンネル時代を迎えていたのだから。

 金星上空にある通信衛星K-2号が、謎の宇宙人によって乗っ取られ消息不明となった。金星の電波網は完全に混乱し、警察やテレビ局といった各種機関はその対応に追われるが、それと時を同じくして金星にある団地の片隅で謎の殺人事件が発生。しかしこれを先の通信衛星消息不明と結びつけるものは誰もいなかった。
 一方シルバースターでは両者を重く見ており、ムナカタ博士は犯人の目的を探るべくキャプテンらを金星へと出動させた。事件現場を見聞したキャプテンはその状況から、犯人は電波ケーブルと呼ぶべきもので絞殺したと推測。もしも犯人が電波の使い手ならば、次に狙われるのは……!
 後日、後継機・K-3号が打ち上げられると電波網は回復し、テレビ放送も再開。だがテレビ局に謎の宇宙人が潜入し、スタッフを次々と殺害していく。宇宙人の名はラジゴン星人。通信衛星K-2号消失とかの殺人事件は、全てこの星人による金星征服計画の序章だったのだ。
 ラジゴン星人は改造を施したK-2号でK-3号を破壊し、金星の電波を乗っ取った。キャプテンらは放送局へ急行するも、星人の手によってキャプテンとアカネは電波ケープルで拘束されてしまう。そしてラジゴン星人は改造したテレビカメラを通じて電波に乗り、自らの分身を大量に出現させた。ありとあらゆる家庭に置かれたテレビの画面から、次々と現れるラジゴン星人に人々は大パニックに陥ってしまう。
 キャプテンとアカネはハックの機転によりどうにか難を逃れた。だがラジゴン星人を倒そうにも、相手は大量に分身を産み出すためキリがない。そこでキャプテンは決死の作戦を思い付き、イチかバチかの賭けに出た!

 今や衛星を用いずとも「ネット配信」という新たな通信網が確立され、おかげでこうやって毎週のように作品の感想を書けるようになった。であれば、今の時代にラジゴン星人が出現したのなら、間違いなくどこかしらのサーバーを乗っ取って、世界に自らの分身をバラ撒いていたに違いない。仮にNetflixを押さえてしまえば190ヶ国だ。世界征服など難しくはなかろう。

 そんな敵に対抗すべく、なんとキャプテンがラジゴン星人の装置を逆に利用し、自らの分身を大量に生み出して戦う。このアイデアの良さよ。テレビから飛び出たヒーローとはまさにこのことか。

 テレビ画面からラジゴン星人、そしてキャプテンが飛び出してくるビジュアルは、合成でなしに巨大なブラウン管テレビのセットを造っての撮影。この辺のアナログさがたまらない。ただ電波ケーブルの表現方法は実にシンプルで、普通に光る輪っかを用意するという……もしも当時の円谷プロだったら、こういったビジュアルも全部合成やアニメーション作画していただろう。あの会社ならやりかねない。

 今さら気付いたが、本作の世界観だと火星・金星はもう地球人の移住先になっているのだな。そんな未来予想図もあったのだね。

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