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インボイス問題に関する記事への疑問と、山田議員へのエール。

 こんな記事を見かけたが……さすがに(細かい点ではあるが)異を唱えさてもらう。

 初めて議員に会えたのは9月1日。人からの紹介で、インボイス問題やサブカルチャーに詳しい自民党の赤松健議員・山田太郎議員への陳情が実現した。
 「赤松さんはインボイス反対を公約に参院選で当選されました。自民党の党議拘束があるからインボイスを止めることは難しいとしても、延期に向けて動いてもらえるのではと期待していたんですが……」(甲斐田さん)
 緊張しながら初めて訪れた議員会館。「要望書を渡すだけだと、読んでもらえないかと思って」甲斐田さんは開口一番、3ページにわたる長い要望書を読み上げた。
 両議員とも“陳情初心者”に優しく、1時間半にわたって話を聞いてくれた。ただ、インボイス延期への期待は裏切られたという。「『延期は無理だよね、法律に書かれているから』と山田議員の秘書さんに言われて……衝撃でした」(甲斐田さん)。

上記記事より

 この部分には異論がある。まず、山田議員は2019年の段階からすでに動いているうえに、それを踏まえてこの動画の1:00:00~あたりから観てほしい。「もう1年しかない。世論の動きに訴えかけねばならない」と訴えている。そして先の団体「VOICTION」と今年の9月1日に面会し、彼ら団体のTweetも紹介しているのだが……

 下記のがそれに該当する。この時に「法律に書かれているから延期は無理だ」の発言も出てきたのだろう。VOICTIONのメンバーにとってこれは相当な衝撃だったとみていい。だからこそ「まだまだやるべき事が沢山あることがよく分かった」のだし、なおかつ議員に陳情や面会を求める際には「データとエビデンス」が必要なのだと痛感させられたのだろう。

 では山田議員側が塩対応だったかというと、そうではない。議員の活動を見る限り「クリエイターにフリーランスが多い中で、現行案のまま薦めてしまうとあまりにも影響が大きすぎる」し「だからこそ『現行のままでのインボイス制度』には反対」し続けていた。しかし「現状は本当に厳しかった」のだ。下のTweetで補足されていたのは感謝したい。

 加えて、ここが一番重要だと思われるが、11月11日の政策調査会でインボイス制度の見直し(廃止含む)を積極的に発言し「ここままでは問題がある」ことを提言書としてまとめようとしていた。無論山田議員だけが動いていたわけではでなく、各中小企業から見直しや延期、反対の声がこの時点で多く寄せられ、それを受けてか委員会内では見直しや反対の方が大勢を占めていた(山田議員曰く8:2)……が、その翌週に実施された委員会でいきなりひっくり返されてしまう。突如として賛成派が増え始め、山田議員他数名が孤軍奮闘状態にされたのだ。

 たった一週間でこれとは、財務省も相当根回しが上手い……ズルいといえばそうだが、トンデモなく壁が厚くて高いのを思い知らされる話だった。そして18日の税制調査会では「空気読めない奴状態」になったものの、インボイス制度については改めて税調で議論するという約束を宮沢税調会長に取り付けた、というのが今までの流れである。

 この話を聞いた時は自分も衝撃だった。VOICTIONの方々も「延期は無理だ」と言われて衝撃だったかもしれないが、最前線で戦ってきた山田議員にとってはどれだけのものか……議員もここは明確に「負けは負け」と認めている。しかしその現況を踏まえてこう語っている。

「仮に進んじゃうんだったら何が出来るかを両睨みでやらないと。(自分も)与党にいて責任持ってる人間だからね、『反対!反対!』といって押し切られたらしょうがない」

 だからもう「進んでいる状態のものに、どこまで自分たちの意見を一つでも多く差し込めるか」のフェーズに入ってるのだろう。となると、ただ「反対」という0:100理論では戦えない。つまり「今更止められないなら、せめて我々の声を出来る限り反映させたものにして欲しい」と訴えるのが現実的な線なのだ。どうしても譲れない部分があるならそこで粘る。
 なので、データやエビデンスの重要性を記しながらも「法案が通っているから……」と山田議員秘書の声を紹介するような記事は、むしろ冷や水を浴びせるようにしか見えてならない。そこはもう少し考えて欲しかった。

 あと山田議員のTweetに「撤退戦」などと言い放った方もいたようだが、これぞ0:100理論である。これをリツイートして、自分の目に止まるようにしてくれた方もおそらく同様の考えをお持ちなのだろう。
 そのRTしてくれた方だが、以前にも著作権法改正案を全会一致で可決成立した際、それを報告した山田議員のTweetに対し
「全会一致して当たり前」
 と引用RTまでして呟いていた。
 これには正直呆れた。「スクショまで有罪になるのか?!」とまでされた著作権法改正案について、まだ国会議員でもない頃に自民党内で散々もめたのをどうにか止めさせ、当選後には法案のすり合わせを任されてようやく「これなら支障はない」というレベルにまで持っていった議員の努力をよくそうも軽々しく言えるなぁ、と思ったものである。いずれにせよ、先のRTも含めて御自身の意見を発して下さったその方にも感謝させてもらう。
 あとだれが行ったか忘れたが、赤松議員に対し「ハードルは越えるもの」と呟くのもどうかと思う。それも0:100理論と何ら変わらないし、自分はむしろそういった意見にガッカリさせられた。ハードルを無くせるのが一番だとしても、今のフェーズからすれば「どこまで高さを削れるか」もまた重要だろう。

「自分たちの声を聞け!」
「では具体的にどこをどうすれば?」
「反対だ!」
「それじゃよく分かりませんよ」

 いつまでこういう戦い方ではダメなのだ。山田議員は「負けは負け」だと発言したが、皆さんの期待に答えられなかったとしっかり認める点を自分は評価したいし、これからも応援する。0:100な考えではなく、きちんと理屈で戦う人だとなおさら思えるようになったからだ。自分にはこういう戦い方や考え方も出来そうにない。だからこそ、である。

 コミケでお会いできたら、せめて応援の一言をかけてあげたい。

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