シン・ウルトラマンと「中の人」を改めて語る。
今まで「ネタバレあり」と前置きしてきましたが、大ヒット御礼舞台挨拶に合わせて各種情報が解禁されたようです。なのでもう隠すことはないですね。オリジナルでフジ隊員がああなったように、長澤まさみもまたああなったのです。
巨大化に関しては初見時に書いたレビューの通り「発生可能上映だったら拍手喝采してるレベル」の衝撃がありました。
「浅見君が現れた?!」からビル街の場面に移った瞬間「え、まさか?」と思わせてからの巨大長澤まさみ。おい嘘だろ?! と思いつつも、長澤まさみが本当に全く意思を感じさせない(意識を支配されてる)様子を見せてていた。この演技力も含めて良い画でした。
なお、長澤まさみはゴジラシリーズの『東京SOS』と『FINAL WARS』で小美人役を演じています。つまり特撮作品で小さい人と大きい人を両方演じたわけです。なお元ネタになったフジ隊員役の桜井浩子さんは『ウルトラQ』第17話「1/8計画」で1/8人間に、つまり小さくなっているのですね。小型化と大型化、そんな点まで共通するヒロイン役はそうそういません。
加えて「 #メフィラス構文 」がトレンドに入るほどの盛況ぶり。印象的な台詞を生み出し、かつ広めさせたのなら本作は十分成功といえます。
ただ「私の好きな言葉です」の対義語は「苦手な言葉だ」。ここを「嫌いな言葉です」と誤用している人も散見されるので注意しましょう。細かい話かもしれませんが、ちょっとした間違いがいつの間か人口に膾炙したりするんです。例えば林修先生の一言「いつやるの?今でしょ!」も正しくは「いつやるか?今でしょ!」。ちょっとしたことですが気になったので。
なのでメフィラスにとって「好き」の反対は「苦手」。はい、ここテストに出ます。
さて以前「あなたとトクサツ」というテーマに対し「中の人」について語りましたが、後のインタビュー記事で自分はこう語りました。
そして本作のエンドクレジットでは初代ウルトラマンの「中の人」=古谷敏さんが「モーションアクター」としてしっかりと表記されてました。御本人だったんかい! と驚くと同時に嬉しくも感じました。ガワは変われど中の人はちゃんといたし、オリジナルを活かすどころか再現だったというのがたまりませんね。
パンフレットにあった樋口監督のコメント「思い付く動きを全部撮った」てのはこれでしょう。しかしただ「あの時の動きを再現した」だけでは終わらず、公開延期の折にまた撮影があったそうです。「感情的な動作を追加したい」とオファーを受け、監督から絵コンテを見せてもらい「青空を見てください」といった指導でまた演技したとか。
モノマネや完コピではなく御本人にウルトラマンを演じてもらう。ここまで来るともはや「再現」ではないでしょう。オリジナルから55年以上経った今、古谷さんがふたたびウルトラマンとして演技をしている。そんな事が可能なのか、と驚くしかありません。
ガワは違っても中の人という概念は残っていると書きましたが、リアルな(※現実に存在する)着ぐるみやスーツを着用しない、従来とは違う「中の人」のありかたに一抹の寂しさを覚えてもいました。しかし今回ばかりは別。モーションキャプチャーだからこそ出来た芸当です。伝統的技術では無くなったのを嘆くのでなしに「どう変化していくのか」と見守るのも一怪獣ファンの務めでしょう。
と、書いたものの……「39話分のアクション台本」の部分は、感情も表現したいこだわりよりも、完全に庵野・樋口両監督の趣味だろうと思えてなりません。高原竜ヒドラにスペシウム光線を打とうとして躊躇い止めるアクションも撮った、って本編関係ないじゃない! 御本人のそれが見たかったんでしょそれ!
と同時にモーションキャプチャーのところには庵野監督の名前もクレジットされてて「あんたもかい!」と。古谷さん曰く「怪獣を演じた」との話ですが……よっぽどやりたかったんですね。
あんたたち、本当に究極のヲタだよ(褒め言葉)。