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キャプテンウルトラ第20話「スペクトル怪獣シャモラーあらわる!!」

 動画のコメントにもあるが、ヒッチコックの『裏窓』少女版であり、ウルトラマンのジラースでもある。加えて『メカゴジラの逆襲』の真船博士も入ってるか。

 幼い頃の怪我がもとで車椅子生活を送る少女・ユカリ。アステロイド星のマンションで暮らし、父親が宇宙船のパイロットゆえ留守番も多いが、彼女にも楽しみがある。シルバースター・アカネ隊員との定時交信と、楽しそうな街の様子を眺めることだ。ある日、ユカリは向かいの屋敷に住むおじさんが、いつも大量の果物を買ってくることに不信感を抱く。
 気になった彼女が父親の特殊カメラで屋敷の天窓を覗くと、そこには怪獣の姿が! ユカリは大急ぎでカメラに収め、警察へと通報する。おじさんはシャモラーと呼ばれる怪獣を密かに育て続けていた。自分の考えを人間達に証明してやる、と呟きながら……。そして博士の屋敷に警官の捜査が入ったものの、シャモラーによって殺されてしまう。怪獣の成長を喜ぶ一方、警察が来たのは誰かに目撃されたからだと気付くおじさん。
 そしてユカリの元に、仕事の合間を縫って父親がやって来た。本当なら嬉しいはずの再開も、彼女は屋敷のおじさんと怪獣が気になってそれどころではない。次の航海ではシルバースターに立ち寄る、という父親にユカリは撮ったフィルムを託し、アカネ隊員に必ず届けて大急ぎで現像してほしいと頼む。
 やがてシルバースターの一同は怪獣の写真に驚く。そこでムナカタ博士はかつての同僚・イワフジ博士の存在を思い出した。優れた頭脳の持ち主だが、人間よりも怪獣のほうが優秀だとする「怪獣主義」を唱え始め、あまりの異端ぶりにその職を追われたのだ。もしも彼がその野望を諦めずにいたら、その野望が何者かによって露見したと気付いたら……! キャプテン達はアステロイド星へ急行する。
 時を同じくして、ユカリの監視はとうとうおじさん=イワフジ博士に気付かれてしまった。ユカリが危ない! 急げキャプテン!

 先に挙げた三要素を全部ブチ込み、たった25分足らずの話として成立させてしまうとは。高久進による脚本の熟れた感が凄い。それでも欲を言えば、車椅子の少女ゆえの結末があるものの、そのきっかけをもう少しピンチの場面と合わせても良かったか。
「あ、キャプテンだ!!」
のはずみでああなった、てな展開も観たかった。二重の意味でキャプテンのおかげ、てなことになるし。

 そして気になるのはシャモラーと博士。自分の理論を分かろうとしない人類への復讐、てのは後の真船博士にも通づる(※誤解されがちだが、あの映画で真船博士が学会を追われたのは『恐竜生存説』ではなく『恐竜をコントロールすること』だ)。とはいえ人類よりも怪獣の方が優秀だとは、相当な怪獣信奉者でもあるような。何が博士をそうさせたのか? 怪獣の持つ強大な力そのものと、特殊な能力に惹かれたのだろうか。

 ただシャモラー自体は、博士が一から育て上げられるような個体であり、巨大化装置を使ったからこそあのような怪獣になったとも言えなくない。おまけに好物は果物。それから察するに、もしやシャモラーは本来草食性で、大きくなっても2メートル程度の生物にしかならない怪獣だったのか。

 スペクトル光線も実際は護身用で攻撃のためではなかった。それを博士が「コイツは利用出来る」と考えた。だからこそシャモラーに「暴れる練習」をさせ「手足なんぞ使うな!お前にはスペクトル光線がある!」と叩き込ませた……てな想像も出来てしまう。

 しかし待ち受けていたのはあの無惨な結末。シャモラーの野生的要素が蘇ったか、はたまた巨大化のショックなのか。そこに触れても良かった、てのは流石に欲張りすぎかな。

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