C104戦利品紹介『冷蔵庫マグネット定点観察』/雑煮
冷蔵庫マグネット、略して「冷マ」。
単に「冷蔵庫の全面に貼り付ける(形状をした平たい)マグネット」はこう呼ばない。同冊子における定義では
「ポスティングされる薄手の広告マグネット」
としている。
筆者はこの「冷マ」を約十年間に渡って収集……といいたいところだが、紹介されている冷マのほとんどは「我が家に投函された」もの。これらは「広告」なので筆者(家主)の思いに関係なく、意図せず集まってきたモノだ。その数、約100枚。
それらをフルカラー・ほぼ実物大で紹介してくれている。ちなみに住居は東京都東部の集合住宅とのこと。てことは、自分もその辺に住んでいたら知らず知らずのうちに集まっていたのだろうか。コレクションするかどうかは別として。
その「冷マ」広告。中身はほぼ水道工事関係のものである。
水道工事といえば、TVCMでもおなじみの暮らし安心・クラシアンが浮かぶが、東京近郊の冷マにおいて圧倒的に強いのはイースマイルだった。冊子では13枚も紹介され、中でもハローキティを採用している点はポイントが高い。もちろんサンリオ公認なのでキティーちゃんグッズとしての価値もある(のか?)。
他にも「くらし水道サービス」「アクアサービス」「イーライフ」「家善(いえよし)」「しろくま水道社」「水ライフ」「水の救急隊」……初耳の業者さんが多い。これは南関東・一都三県を拠点にするトコが多いためだろう。しかし業者は違えど、マグネットのデザインはほぼ共通している。
・「水道修理」「つまり・水もれ」「水のトラブル」といった文体をデカデカと書く
・電話番号のフォントもそれとほぼ同じ大きさで、目立つ
・何かしらのキャラクターか、誰かしらの写真が載っている
そしてなにより
・格好良さを求めていない(野暮ったい)
点である。もちろん形状を工夫している業者もある。ただ長方形にするでなく、縦半分で横に2倍とか、すぐに駆けつけますとばかりに救急車を模ったものとか。しかしそれ以外の部分は先の3項目と同じであり、野暮ったいことに変わりはない。
なら、あえて上記と違うデザインの冷マを作れば、逆に目立つのでは? と思う方もいるだろう。しかし、そうでもないようだ。
以下は、同冊子の裏表紙である。冷蔵庫に貼られた大量の冷マ。その名称に相応しい箇所にある。
その中をよーく見てみると、
なんと声優:大橋彩香さんのライブ&イベントで配布された冷マグッズが貼ってあるではないか。もちろん狙って作ったモノで、冷マに目を付けるとは分かってらっしゃる。しかしいざ冷蔵庫に貼り付けてみると、
……少々目立ってないようにも見える。ネタとしては面白いが、絵面だけみるとややインパクトに欠けるのだ。筆者も「青空背景とダサポーズが水道冷マ感あり」としながらも、モノによっては「何かおしゃれ風になってしまった。ダサくあれ」と評している。
やはり狙ったグッズであれ、先の3項目は守るべきだったのだろう。
ちなみに「冷マ」の呼称を使い始めたみうらじゅんもまた、イベント等で冷マを作って配布している。こちらもやはり先の3項目は入っていない。ただ使われている写真は野暮ったく、オシャレさはない。犬を抱えているみうらじゅんとか、いとうせいこうと一緒にパンを食うみうらじゅんはさして格好良くない。
なので野暮ったいイメージのあるモノに、格好良くない写真を載せるあたりのセンスは良いが、やはりデカデカとしたフォントの連発が無いと「冷マ」としてはちょっと物足りなく感じてしまう。
ここは「祝・還暦」「1997年度新語・流行語大賞受賞!」「ない仕事、作ります」「ゴジラを盗んだ男」「仏像とスクラップの男」といった文面を並べ、あえてダサくするべきだったかもしれない。
冷マへのリスペクトもそう簡単ではない、ということか。