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三重県・長島温泉の近くではナイルテラピアがルアーで釣れて楽しいけど気をつけないといけないコトもあるよって話

東京都は緊急事態宣言があけてほんの少し外出しやすくなりましたが、全国650万人の釣り人の皆さん、いかがお過ごしですか? 釣り、行けてますか? 

noteは自分語りをするメディアなので↑の問いかけに対する読者諸兄姉の回答を待たずに「私は」という話を始めますが、ここしばらく釣りらしい釣りはほとんどしていませんでした。せいぜい近所の釣りOKな池がある公園でフナや小物を息子と一緒に釣るくらいで、本格的なルアー・フライフィッシングにはとんとご無沙汰。ZEALの古いルアーを中古釣具店で探し回ったり、日本国内ではまず投げる機会がないような巨大マスキーベイトを通販で購入してみたりと、釣りに行きたい欲を物欲に変換して発散するばかりです。

そんな今日この頃、名古屋に行く用事ができました。これはチャンス! とばかりに妻から現地で一泊する許可をもらい、名古屋での所用を済ませた後は三重県・桑名駅まで移動して駅近くのビジネスホテルに宿泊。そして翌朝、駅前から出発するバスに乗って目指した先はコース全長2,479mの世界最長ジェットコースター"スチールドラゴン2000"を擁する遊園地・ナガシマスパーランド……なんですが、目的はひとりで遊園地に出かけることじゃありません。バスを降りたら遊園地へ向かう他の乗客を尻目に、いそいそと釣り竿を取り出します。ナガシマスパーランドは遊園地と温泉が両方楽しめるリゾート施設として有名ですが、その周辺に張り巡らされた長島用水と呼ばれる水路は、日本では数少ない「ナイルテラピアが釣れるスポット」として釣り人の間で知られているのです!  

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▲ナガシマスパーランドのすぐ前はテラピアの魚影が濃いし足場も良好だけれど全然釣れない。完全にスレきっていて反応しない個体ばかり。

ナイルテラピアは名前から想像される通りナイル川原産の外来魚ですが、ブラックバスやレインボートラウトと異なり、釣りの対象魚として輸入されたわけではありません。「イズミダイ」の別名が示すように(※当然ですが鯛とは全くの別種です)もともとは食用魚としての普及を期待されていましたが、鮎など一部の例外を除き淡水魚を常食する文化の無い日本では定着しませんでした。今は養殖場から逃げ出したり、閉鎖的な水系に放されたりした個体が、一部の好事家たちから釣りの対象魚として親しまれています。

そんなテラピアですが、もともと温暖な気候に生息していた魚ですので、ジャパニーズスゴイサムイウィンターの低水温に耐えられません。水温10度を切る場所での繁殖は世界中のどこでも記録されていないそうです。日本国内においてはほとんどの場所で、仮にある程度まとまった匹数が放流されたとしても、冬が来た途端に全滅してしまうでしょう。

が、常に高水温がキープされる温泉地や、沖縄であれば話は異なります。三重県は長島温泉、大分は別府温泉、そして沖縄本島……などなど、通年のあいだ近隣河川の水温が一定以上高い状態で保たれる温泉地では、テラピアが今でも繁殖を続けています。そして、植物プランクトンから生きた小魚までなんでも食べる雑食性のテラピアは、エサでもルアーでも釣れる面白いターゲットなんです!

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▲長〜い背びれがテラピアのチャームポイント。

ずいぶんと前置きが長くなりましたが、今回訪れた長島用水でのテラピアフィッシングについての話です。何を使っても釣れますよ、と言われるとやはりルアー愛好家としてはトップウォータープラグで食わせたくなりますので、最初は小型のペンシルベイトやポッパーを中心に投げていましたが……ノーバイト。その後も水路に沿って移動しながら、マイクロスプーン、スピナー、メバル用ワーム、果ては食パンなどなど手を変え品を変えてキャストし続けますが、釣りを始めてから3時間以上経ってもアタリひとつありません。水路には常に魚っ気があり、歩いていると足元からテラピアらしき魚体が逃げて行ったり(テラピアが人の気配に驚いて逃げる様はまるで渓流魚のようです)、フナや鯉がゆうゆうと泳いでいる姿も見られるのですが、どうも皆さんわたしがお届けするプレゼントには食指が動かないようです。

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▲長島用水に注ぐ温排水。このようなポイントがあたり一帯に点在する。

これはひょっとしたらボウズもあり得るかも……と不安になりつつ、それでも諦めずにキャスト&リトリーブを繰り返していると、メバル用ワームのジグヘッドリグにチェイスが! しかし足元まで巻いてみると、追いかけてきた個体はせいぜい5〜6cm程度の幼体で、1/16ozジグヘッドの針すら大きすぎて咥えこめないようでした。ふつうならこんな小魚は無視して次のポイントへと向かうのでしょうが、筆者は節操がないので釣れる魚はなんでも釣ります。 スナップからルアーを外し、タナゴ用仕掛けを装着。これまで使っていたワームを米粒の半分ほどにちぎって針先にちょんと付け、足元に仕掛けを垂らすとすぐに結果が帰ってきました。体側に走る黒い縞模様に長い背びれ……超小型とはいえ、初ゲットのナイルテラピアに興奮です!

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▲全長6cm程度の小さな個体。ヒレの先端が赤みを帯びていてキュート。

その後も立て続けに2匹の幼テラピアが掛かりましたので、再びルアーでの釣獲を目指します。タナゴ仕掛けで釣りをしている間、テラピアたちはなんとなく大きな物体に水が強く押されることを怖がっているような印象を受けましたので、ルアーは軽量かつ超低速でもゆらゆらとウォブリングするヘリンのフラットフィッシュF3を選択。水路の下流に向かって投げ、ゆっくりリトリーブしてくると、数投目でルアーを引ったくるようなアタリが! 20cmほどの元気なテラピアが釣れてくれました。

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▲やっぱりヒレがカッコいい! 煮付けにしたらちょうどよさそうなサイズ。

長島用水には全長50cmを超える大型のテラピアも生息していますから、写真のテラピアはまだまだ小型なのですが、狙った通りの釣り方で1匹釣り上げられたことでかなり満足。三重から東京までの長い旅路を考慮して……というかこの時点で釣りを始めてから6時間ほど食事も摂らずに歩き回っていてヘトヘトだったので(笑)、切り上げることにしました。学生の頃は朝から晩まで食事や休憩の僅かな間も惜しんでルアーを投げ続けたものですが、おっさんになった今のわたしは「ボウズじゃなきゃいいや」という大変低い意識の持ち主です。これを若い頃の情熱を失ってしまったと悲観するか、足るを知ったのだとポジティブに捉えるかは難しい問題ですけれど、ともあれ早めに釣りを切り上げたことで、名古屋で味仙の台湾ラーメンと立ち飲み屋の天ぷらに舌鼓を打つ時間を持てたので結果オーライとしておきます。次回は長島の温泉にも浸かってみたいですね!

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▲名古屋の立ち飲み屋にて。独り飲みなんて2年ぶりくらいだろうか。感激。

さてさて、ここからは長島水路でのテラピア釣りに興味がある方へ向けての補遺を記します。まず大前提として、長島温泉の周囲を流れる用水路は「地元民の生活用水」であり、釣り人のために掘られたものではないということを肝に命じてください! いきなり強い調子になってしまいましたが、長島用水は住宅地や農地の中を流れる細い水路ですので、県外から訪れた釣り人が騒いだりゴミを残したりすることは直接的に住民の迷惑となりますし、トラブルが起こればあっという間に釣り自体を禁止されてしまうでしょう。

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▲生活に密着した長島の水路。釣りをさせてもらえることに大感謝!

また、水路をまたぐ橋の多くは「その上に立って釣りをすること」が禁じられています。細い水路でリトリーブコースを長く取るにはできる限り岸と並行に投げたい=橋の上から水路の流れと並行にキャスティングしたい、という気持ちを抱く人もあるかもしれませんが、それはルール違反です。ショートキャストしかできなくたって、魚に気配を気取られない抜き足差し足忍び足ができれば問題ありません。自身の気配を殺す技術を鍛えましょう!

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▲こんな看板がそこかしこに立てられるまでに何があったか想像してね!

マナーを守り、欲をいえば飲食店や小売店にお金を落とすなどして地域に貢献することで、水路でのテラピア釣りという独特の文化を長く伝えていきたいですね。わたしが訪れた際にはおそらく近隣住民と思われる父子が楽しそうに釣りをしていましたし、この光景が末長く見られますように!

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▲遠くにジェットコースターを眺めながら細い水路でテラピアを狙う、という不思議体験ができるのは長島用水だけ!

最後になりましたが、筆者が今回の釣りで使用したタックルを以下に記します。管理釣り場のトラウト釣りや、アジ釣り、メバル釣りに使用するタックルより少しだけ強めのものが合いそうな印象を受けました。バス釣りでライトリグを投げるようなタックルもぴったりかと思います。要は3〜5g前後のルアーをピンスポットに投げられるタックルであれば大丈夫かと。また、ボウズ逃れ用の保険としてタナゴ釣り用の仕掛けセットも持参することをオススメします。

ロッド:6フィート3インチ ライトアクション 先調子 スピニングロッド
リール:小型スピニングリール
ライン:PE0.8号+ナイロン6lbsリーダー
ルアー&エサ:エリアトラウト系プラグ、メバル用ワーム、食パンなど

テラピア釣りの専用ロッドは存在しませんので(少なくとも日本国内では。ゲームフィッシュとしてはかなり面白いですし、原産地では売られているかもしれません?)、すでにお持ちの道具のなかからライトなものを選んでくださいね。それと、可能であれば不意の大物に備えて柄の長いタモを持参するのがオススメです! 筆者は「ついで旅」でしたからフィッシュグリップしか持って行けませんでしたが、水路での釣りは足場から水面までに落差があることも多いので……もし抜き上げられないほどの大型テラピアが掛かっていたら、泣きを見たかもしれません(笑)。

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▲本文では触れなかったが鯉も釣れた。狭い水路でのファイトはドキドキ!

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