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「ぼくは宇宙に行ってみたい」(1300文字)

ISS(国際宇宙ステーション)に滞在していた宇宙飛行士古川聡さんを乗せた宇宙船が昨日地球に帰還した。
そのライブ中継を夕飯を摂りながら観ていた。
とんでもない金額を注ぎ込んだ巨大プロジェクトである。
関わるすべてのスタッフが緊張し、そして誇らしげだった。
――むかし種子島でH2Aロケットの打ち上げを取材したことがある。
プレスルームに詰めて、数分おきに受信するメールを見詰め、パソコンに状況を打ち込みながら自分もクルーの一員になったような高揚感を覚えていた。
やがてJAXAのスタッフがやってきて、明るく賢げなブルーの背景の手前に立ち、質問タイムとなり僕は挙手してこんなふうに尋ねた。
「H2Aロケットはなぜオレンジ色なのですか?」
印象的なボディの色になにか意味があるのかと思っての質問だった。
子供向けの雑誌の取材だったから子供たちが知りたそうなことを訊ねてみたに過ぎない。
けれどもスタッフは緊張した面持ちを崩さずにいくらか言い訳じみたトーンでこんなふうに応えた。
「ファッショナブルに装いたいというような気持ちは微塵もございません。オレンジ色は塗ったのではなく剥き出しになっている燃料タンクに吹き付けられた断熱材の色なのです」
この応えに僕は感じた。1円も浪費していませんよ、とJAXAはexcuseをしているのだ。
ことほどさようにミッションには大人の事情が絡み付いている。
に、してもだ!
と昨日の中継を観て僕は思った。
宇宙ステーションに半年も滞在したのち帰還したクルーたちは無前提に素晴らしい。
そして彼らを支えたスタッフたちも文句なく素晴らしい。
いかなるexcuseも大義名分も必要としない。
プロジェクトの遂行者は絶賛されてしかるべきである。
焼け焦げた着陸船の、映画でもなんでもないリアルを目撃して本当に久しぶりに感動してしまった。
戦争だの経済的な競争だの、そういういろんな人間的な醜さのすべてをひっくり返して余りある人間の誇らしさが感じられてしまって言葉が出なかった。
宇宙に行きたいです――ってのは僕の、幼い頃の夢……だけではなく、入社試験の面接で嘯いた大人の戯言でもあったわけだが、その後も「ペプシを飲んで宇宙に行こうキャンペーン」に葉書を100枚も送ったりする程度に愚かしくも宇宙に行きたがり、昨今ではかつてZOZOTOWNのボスであったところのあの人に激しく嫉妬しちゃったりもしてきての昨夜、もう僕は宇宙になんて行けっこないよなあ、って諦めつつもやはり手に汗握り米粒を頬に張り付かせながら食い入るように帰還中継を見ちゃったってんだからもうなんていうかどうしようもなく宇宙が好きなんであるよなぼかぁ。
月着陸プロジェクトの今後に激しく期待なんである。
戦争なんてしてる場合じゃないぜ、人類諸君!
目指せ、フロンティア!


――みたいな記事のしめくくりとしていくらかナルシスティックに、あひろちゃん小学二年生のみぎりのポエムをここに掲載しちゃうのである。

読んでくだせえ。タイトルはズバリ「宇宙」!

『宇宙』

地球の外は宇宙だ。

宇宙の外は天国だ。

天国の外には

もうなにもない。

ぼくは宇宙に行ってみたい。


外からここを眺めてみたい!

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あひろ
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