帰ってきたヒトラー
amazon primeで視聴できる映画の中に
「帰ってきたヒトラー」という映画がある。
これは2016年に日本で公開。
僕も2017年にDVD化されたとき、レンタルで借りて見たことがある。
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内容は、
第一次世界大戦の70年後、テレビ局で働く主人公はかつてのナチス軍総統アドルフヒトラーにそっくりな男を見つける。
あまりに似ている彼をモノマネ芸人としてテレビに出演させるが、その男は謎の理由でタイムスリップしてきたヒトラー本人だった。
PCやテレビなど未知の道具に悪戦苦闘するヒトラー(本物)だが、そのスピーチは現代においても共感の声を多く集めお茶の間のヒーローとしてのぼりつめる。
しかし、とある事情でヒトラーが本物であると気付く主人公。
ヒトラーの危険性を危惧した主人公はそのことを周りに伝えようとするが…
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TUTAYAで準新作として並んでいたこの映画のパッケージを見て感じたのは、コメディ映画よろしくヒトラーを小馬鹿にして笑いをとる内容かなと思った。
実際パッケージの裏の解説も、よくあるギャグコメディ調の謳い文句を掲げていたのでたまにはこんか映画も、と興味半分で借りてみた。
しかし、映画を見てみるとかなりの衝撃作だと感じた。
①ガッツリとした風刺映画だった!!
映画の始めは思った通りのコメディ調だった。
タイムスリップしたヒトラーがクリーニング店の店員を召使いだと思い洗濯させるため店の中で服を脱いだり、脱いだはいいが洗濯中に着る物がないためポロシャツにジーパンを着せてその風貌とのギャップにクスリとさせられた。
しかし、話が進むにつれてヒトラー総統のカリスマ性が露わになってくる。
彼の演説にバラエティ番組に観覧しに来たお客さんのみならず視聴者も虜に。
やがて彼は町へ繰り出し、現代の縮小したナチス政党へ乗り込み現党首の情けなさに激昂。
現代のドイツ人に対する想いもスピーチしていく。
この映画はもとは2012年に発行された小説をもとに製作されている。
小説はドイツの歴史学者が執筆し、映画も2015年にドイツで製作・公開されているというので当時は驚いた。
②映画内の表現の仕方も今どき!!
バラエティ番組に出演したヒトラーのことを見ていた人々は色めき立つ。
テレビに出た彼のことを伝えるために動いたのがなんとYouTuber達だった。
ネットの動画配信サイトを介して配信主たちが次々とヒトラーのことを批評する。
さらにはMAD動画(編集・合成された動画)まで作られその一般大衆への影響力と浸透力を物語る。
これを見たとき、世界では映画上の表現として「これはYouTuberが喋っている」ことが成り立っていることに衝撃を受けた。
情報を伝えるために新聞という表現、テレビという表現、そしてインターネットとしてYouTuberという表現を映画を見る人が理解できると考えて組み込んだのだろう。
その構成の今どきさがとても面白かった。
「笑うな危険」
副題にある通り、最初はMr.ビーン的なコメディ調で進んでいくがやがて話は現代に立ち向かおうとするヒトラーの風刺表現が織り込まれてくる。
ラストシーンも衝撃的。
オススメ映画の一本。