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若くて優秀の賞味期限

日本人だけなのか、人類全体なのかはわからないが、人は最年少合格!最年少上場!最年少優勝!、とにかく人は最年少が大好きだ。

「若い」ということはそれだけで価値があるのである。

僕も23歳でナンバーナインの取締役になった。今の時代は10代の社長も沢山いるのでそこまで若くないのかもしれないけれど、一緒に起業した関係者は全員、僕よりも年上だった。30歳前後で、皆、僕よりも圧倒的にキャリアがあった。

そんな中で、若くして成果をあげると「若くて優秀」として評価をいただけることが多かった。

でも、いつからか「若くて優秀」ではなくなった。しかも、突然に。

どうして「若くて優秀の賞味期限」突然やってくるのだろう。

誰か優秀と言われるとき、年下から言われることは少ないと思う。言ってくれる人よりも自分の方がほとんど「若い」と思う。

「若い」と将来は期待はされているが、すぐの結果は期待されていないことも多い。つまり、期待していない人が期待以上の結果を出すと、晴れて「若くて優秀」が爆誕するのである。

ただ、継続して結果を出していくと、結果を出すのが当たり前になる。そうすると、普通に結果も期待される人になっていく。結果、あるとき、「賞味期限切れ」となる。

事実、自分からみても大概のことはできるし、驚かなくなり、最悪なんとかなるという心持ちになってきている。若くて優秀な人は、皆、「賞味期限切れ」を噛み締めながら、若くないと感じ、自分の進むべき方向性に悩むのだと思う。

「このままでいいのか?」と。

ここから抜け出す方法は、とても簡単だ。

仕事でも趣味でも、新しいことを始めればいい。

年齢に関係なく、新しいことをやれば若くなれるのである。でも、多くの人は、サンショウウオのように自分のコンフォートゾーンから出られなくなるのだ。

もし、コンフォートゾーンから抜け出したとしてもまだ悩み続けると思う。

究極的な解決には人からの評価をすべて無視する。自分がこうしたいとワガママな存在になる。これに尽きる。

しかし、案外ワガママというのは難しい。特に優秀と言われてた人ほど難しい。

一度得た評価を捨てればいいと頭では分かっていても難しい。だって人間だもの。

一流のワガママは、そのワガママが社会から受け入れられる限りにおいてカリスマとして扱われる。でも、カリスマになるには才能がいる。そもそも、カリスマでいる人は最初からこんなことで悩まない。

考えてみて、自分の中からワガママが出てこないなら、無理に出してもうまくいかない。

ワガママになれないならどうしたらいいのか。「このままでいいのか?」の病から抜け出すにはどうしたらいいのだろうか。

新しいことを始めるのに加えて、「誰かに奉仕する。」これに尽きると思う。期待に応えるのではなく、従業員、漫画家、読者、「誰かのため」を続ける。他者からの評価は関係なく、自分のプライドとして「誰かのため」になることを、改めて初心に戻って、坦々と淡々と続ける。

そういったことができなければ、賞味期限が切れた若さが腐り、精神をも腐敗させ、人間として朽ちていくのだと思う。若くして結果を出した人が没落していくとき、調子にのったからと片付けられることが多いが、人から評価され続け、誰かに依存した結果、自分を見失っていくのではないかと思う。

若くて優秀であるために働くのではなく、誰かのために働いて、ナンバーナインのミッションである「すべての漫画を、すべての人に。」に少しでも近づいていきたい。

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