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書きたい思い

今、次の本を書き上げたのですが、書いていてわかったことがあります。

ここにはたくさんの人の作品が投稿されていますが、その中で実際に出版している人はどれくらいいるのでしょう?
とても上手な文章が多いし、どれも書いた人の個性が出ているし、一つ一つが作品になっています。
けれども、なかなか出版まではしないようです。

もう三十年近くフリーライターの仕事をしている友人がいるのですが、彼が自分の名義で出した本はたった一冊です。

この本は、彼が大動脈瘤破裂で入院した時の闘病記なのですが、これ以外に名前が出ている書籍は他にありません。
彼に直接会った時に、今後また本は出さないのか聞いたのですが、その質問の答えには、なんとなく言葉を濁していました。

彼がこの本を書いた動機は、あとがきに書かれています。

 家族が看病の記録を残したものはいくつかあるが、破裂した本人が記録しているサイトはあまりない。それだけに余計にこの本を世に出しておきたくなった。知名度もなく、効果的な宣伝もできないため果たしてどれだけの人が読んでくれるかわからないが、必要としている人の目に触れてくれれば嬉しい。

かなりのボリュームのこの本も、ブログに書いていたことをまとめたとはいえ、プロが書いたちゃんとした本としては、たったの199円で売られていて、しかも一切宣伝らしいこともしていないので、これで収入の足しにすることは考えていないようです。

そうすると、本を出版するってどういうことだろう? と考えます。

私自身が書いた「破産のススメ」だって、やはり苦しんでいる経営者の役に立つように、救いになるようにと思って書き始めて出版しましたし、普通に出版社から出版した人に聞いたら、頼まれたから書きましたとか、どうも自分のために出版したということではない感じです。

プロのライターも、仕事として「このネタでよろしくね」と依頼されれば、仕事だからいくらでも書けるのかもしれませんが、自分自身の名義で出版するというのは、もしかしたらそれとは別のことなのかもしれません。

実際、出版するのは簡単です。
書いたものをアップすればとっても簡単お手軽に、数時間もすればAmazonのKindleストアから出版され販売になります。
売れるかどうかは別、というよりそう簡単には売れませんが、この際売れる売れないはともかく、出版する人はもっといても良さそうです。
でも文章を書く人の中でも、実際に出版する人の割合はとても少ないように感じるのです。

どうしてだろう? と思いながら自分の本を書いているうちにはっきりとわかりました。
それは、自分の中にある何かが、出版に値するほどの強い意欲を持てることでないと、それこそ最初の一冊目を書いて出すことはできないのだと。
出版という、今では低くなったハードルを越えるにも、強い思いがなければ越えることができないのだと気がつきました。

はじめは面倒なのかな? 億劫なのかな? それとも売れる売れないを考えたら馬鹿馬鹿しいからかな? それとも出してボロクソな評価だったら立ち直れないとか、そういうことなのかなと思ったのですが、そういうことじゃないんだなと思いました。
まあそういう側面もあるのでしょうけど、多分そうじゃない。

「本当にこれが書きたい」

「きっと誰かの役に立つはず」

そんな思いにはプロもアマチュアもなくて、
思いの強さは、それで儲かるかどうかも関係なくて、誰かが止めたって止まらない。
そして最初のハードルを超えた時には、もう少し小さな力でも跳べるようになって、先に進める人もいるのかな。
今の自分がそんな感じです。


「出版のススメ」という本を書きましたが、書きたい思いは強いけど、出版はしたいけど、イマイチよくわからなくて動けない人のために、ほんの少し背中を押すような本になっています。
出版の際は、よろしくお願いいたします。



サポートする代わりに、こんな本を書いたり、こんなことをしている奴がいるよーって触れ回っていただけると助かります。