口語定型詩「子育て世帯への給付金でガタガタ言うな」
もう何もかも嫌なんだ
全て面倒臭いんだ
1時、2時まで働くか
21時寝の3時起き
どれだけやっても終わらない
最低限の仕事だけ
やっとの思いで進めている
残業しているわけでなく
業務量過多でもないが
日中働ける時間
10時から17時まで
わずか7時間ばかりだけ
やるべきことは山ほどに
やりたいことは谷ほどに
降っては湧いてくるタスク
電話が急に鳴り出して
「保育園の鈴木です」
熱が出ましたお迎えを
できるだけすぐ頼みます
連れて帰って来てみれば
大して熱はないけれど
お腹が空けば泣き出すし
うんちが出ればオムツ替え
理由わからず泣きわめき
俺の時間は消えてゆく
優先順位の最優先
子どものことが最重要
仕事について見てみれば
緊急度×(かける)重要度
どちらも高いものだけを
進めて時間が過ぎてゆく
緊急度低く重要度
高いところに本当の
考えるべきことあれど
尻に火がつく時までは
手がつかぬまま放置する
もとより人の二倍、三倍も
働いてやっと人並みの
成果を出せる人間の
そこから時間を奪ったら
残るは30歳(みそじ)になってまで
半人前の無能だけ
右脳はもはや機能せず
クリエイティブな仕事など
時間なくしてできぬのだ
本はしばらく読めもせず
中高生の自分には
とても見せられない姿
毎日分厚い小説の
単行本を一、二冊
読みながらバスに揺られてた
読書家ゆえに辿り着く
「国語を仕事にしてみたい」
仕事になれば読書家の
名残などない忙しさ
忙しくとも読書する
人はいるから本なんて
俺にとってはその程度
長男が俺にもたらした
未来と夢を見る力
世界が君を中心に
回り始めて俺の宇宙
公転速度は加速した
君に誇れる父親に
なるため幾らでも急ぐ
生き急いで世界一
なる道探して夢語り
勉強もして行動し
発信しては挫折して
立ち上がりまた歩き出し
日進月歩前を向き
プライベートも仕事でも
充実の日々過ごしてた
次男が俺にもたらした
自由 平穏 成長欲
世界の中心が二つでき
公転軌道が歪みだす
歩みは止まり歩こうと
思っていつも邪魔入る
RSウィルス、胃腸炎
手足口病、名もつかぬ
風邪の数々、夜泣きして
夜の作業も止めてくる
0歳だから仕方ない
1歳だから仕方ない
これはいつまで続くのか
子供が一人だったなら
子供がいない家庭なら
独身だったらできたのに
「もっとできたはず」が無数
残業できなくなりまして
景気も悪くなりまして
貰うお金は減りまして
体調も悪くなりました
子育て世帯を支援せよ
子育て世帯を支援せよ
年収年千万になりゃ
10万円がはした金
感じる富豪になれるのか
全ての子どもとその親を
可能な限り支援せよ
日本の人口増えていく
未来を目指す政治家は
第三子いる家庭には
ベーシックインカム送れ
不妊治療をする夫婦
費用全額免除せよ
無事に子どもが産まれたら
さらにご祝儀を与えよ
子どもいることがハンデか
そんな社会でいいのかよ
娯楽飽和したこの国で
誰が望んで子を作る?
昔は子どもも働き手
共に住む祖父母、親戚が
地域が支える村社会
その時代に戻るのは
最早困難個人主義
絵本を読んでとねだられて
読みたいと思いつつ同時
こんなことしてる場合かと
気持ちが湧いてきてしまう
緊急度低く重要度
高いのが絵本読み聞かせ
この一冊が一冊が
子どもの将来築いてく
それなのに常に頭では
仕事のタスク積み上がり
手をつけられない分からない
2021年が終わる
地獄のような年だった
死んでもいいと帰り道
路上に飛び出すサラリーマン
7年前は轢かれても
仕事辞めたいと思ってた
今は死ぬことできないが
軽い癌になりマンションの
ローンがなくなれば楽
そんなことさえ思ってる
もう何もかも嫌なんだ
全て面倒臭いんだ
でも
それでも子どもいいぜって
俺は断言してやるよ
子どもと嫁がいない日々
そんなの考えられないよ
一度人生やり直す
機会を与えられたとて
同じ妻と子と出会う
それは約束してやるよ
三回人生やり直す
そんな機会があるならば
二回は全然違う道
選んでしまうだろうけど