I HaveとYou Have
こんにちは、あらいぐま機長です!
今日は、2人のパイロットがどのように操縦業務を分担しているかについてお話しします!
飛行機に乗ったことがある方なら、コックピットに2人のパイロットがいることはご存知ですよね。現代のハイテク飛行機は、2人のパイロットで操縦するように設計されています。
必ず「機長」と「副操縦士」がコックピットに入るんですよ。
長距離の国際線では、3人や4人のパイロットでフライトを行うこともあります。3人や4人いると交代で休憩を回せるのでフライトがずっと楽になるんですよね!
しかしそこで「機長と副操縦士、どっちが操縦しているの?」って思ったことはありませんか?
飛行機の操縦桿は機長席と副操縦士席の両方にあります。そして操縦桿は左右が繋がっていて、力の強い方が勝つようになっているんですよ。
僕は非力なあらいぐまなので、副操縦士と力比べしたら完敗しちゃいますね!
でも実際には、2人で力比べをして操縦することはありません。2人で役割を分担しているんです。これを「2マンコンセプト」と呼びます。2人のパイロットはコックピットの中では常に「PF」と「PM」の役割を決めます。
PF(Pilot Flying)は操縦を担当するパイロット。
PM(Pilot Monitoring)は、PFの操縦をモニターして、間違いがないか監視する役目です。
そして、PFとPMが交代する時には「I Have Control」とコールするルールになっています。ドラマとかで見たことがある人もいるかと思います。
これについてもう少し詳しく話していきましょう!
PFとPMの役割とは?
まず、今日覚えていただきたいのは「PF」と「PM」という言葉です。この2つの役割は、パイロットにとって非常に重要です。
同期と話していて、「大失敗して、その後ずっとPFをさせてもらえなかった…」なんて愚痴をこぼす副操縦士は多いんですよ。僕も昔そんな経験がありますよ!
PFは、フライトごとに決めます。たとえば、1日に2本のフライトがある場合、1本目は機長がPFを担当し、副操縦士がPM、2本目は副操縦士がPFで機長がPM、という感じです。
PFは、離着陸をはじめ、フライト中の意思決定を担当します。飛行高度の選択や、積乱雲をどう避けるか、シートベルトサインを消すタイミング、さらには客室乗務員にサービスをお願いするタイミングまで決定します。機内アナウンスもPFの仕事です。
一方、PMは何をしているかというと、これも結構忙しいんですよ。まず、PFの操縦をモニターし、アドバイスを行います。たとえば高度やスピードがずれていたら、「Altitude!」「Airspeed!」と声をかけて、修正を促します。
PMの業務と重要性
PMは、操縦だけでなく、外の状況にも気を配ります。積乱雲が近づいているのにPFが気づいていなければ、「あの積乱雲を避けませんか?」とPFに提案しなければいけません。
さらに、ATC(航空交通管制)のやり取りもPMの業務です。管制官との交信や、飛行計画の調整、フライトコンピューター(FMC)の操作など、PFの意図を聞きながら操作を進めます。このようにして、2人のパイロットが共通の認識を持ちながらフライトを進めるんですよ。
FMCの操作を間違えると、飛行機が全く違う方向に飛んでしまうこともあるため、慎重に進めなければなりません。だからPMの役割も非常に重要なんですよね。
PFとPMの交代のタイミング
またフライト中に、PFとPMを交代することもあります。たとえば、PFが機内アナウンスを行う時や、客室乗務員と話す時です。話しているとどうしても操縦への注意が散漫になるので、交代して安全を確保します。
その際には、必ず「You have Control」とPFが言い、それを受けてPMが「I Have Control」と言います。このコールは、どちらが操縦を担当しているかを明確にするための世界的なルールです。
コックピットには2人しかいないのになんだかわざとらしいなぁーって思うじゃないですか?
でもこのコールはとっても重要なんですよ。これが原因で昔事故が起こってしまったことがあるくらいなんですよ。
非常事態の教訓と安全性
この「I Have Control」「You Have Control」のコールが重要になるのは、非常事態です。
トラブルが発生すると、2人ともその対応に集中してしまい、操縦がおろそかになる危険があります。
実際に1972年にマイアミ国際空港で発生した事故では、ランディングギアのトラブルに気を取られ、操縦がおろそかになって墜落してしまった、という事故がありました。
この事故では2人のパイロットが両方ともトラブルシューティングを始めてしまって、『操縦者不在』の状態になってしまったんですよね。
オートパイロットが入っていればそれでも墜落することはありませんが、この事故ではトラブルシューティング中にオートパイロットが外れてしまって、パイロットがそれに気づかなかったんですよね。
今の飛行機は、オートパイロットが外れると大きな警告音が鳴るようになっているので、このような事故は防げる仕組みになっていますが、それでも「I Have」「You Have」は欠かせないルールになっています。長いフライトをしていて疲れてくると『あれ、今どっちが操縦持ってるんだっけ?』ってなることはちょくちょくあるんですよね。特にオートパイロットが入っていると操縦桿に触らないので、余計にわからなくなってしまいます。
まとめ
パイロットにとって、PFとPMの役割分担は極めて重要です。特に、副操縦士にとっては、操縦中に安定しない状況で機長から「I Have」とコントロールを引き継がれると、少し凹むこともありますが、それも成長の一環です。
機長になった時には、副操縦士の立場を理解し、安全なフライトを提供できるように、テイクオーバーの判断をしっかりと行うことが大切です。
今日は「I Have Control」と「You Have Control」、2人のパイロットの業務分担についてお話ししました。パイロットの世界は奥が深いですが、こうした役割分担があるからこそ、安全なフライトが成り立っているんです。
それでは、次回のnoteもお楽しみに!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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