パイロットになる方法
こんにちは、あらいぐま機長です。
今日はどうしたら僕みたいに愛くるしいパイロットになれるのか、その方法を説明します。
あまり馴染みがない職業なので特別な学校に行ってないとなれないんでしょう?とか、自分はそんなに頭が良くないからパイロットなんて無理だよ、なんて思っている人も多いと思います。
確かにその通り、特別な学校もあるし簡単なことではありませんが、この僕にもなれんだからきっと君もパイロットになることができます。
ちなみに僕は普通の4年生大学を卒業して、パイロットになりました。大学に入学する時点では自分が将来パイロットになるなんて、思ってもいませんでした。家がお金持ちとかそんなこともなく、父は普通のサラリーマンに母は専業主婦です。パイロットといってもたかが職業の一つ。なりたいと思えば、その道に続く門は誰にでも開かれています。
パイロットとは?
実は「パイロット」って言ってもさまざまな形があって、このnoteを見てくれている人はエアラインのパイロットに興味がある人が多いと思いますが、他にも自衛隊の戦闘機や輸送機、遊覧飛行や試験飛行のためのパイロット、ドクターヘリなどのパイロットもいます。仕事で飛ばなくても、自家用航空機のライセンスを持っていて、お休みの日に趣味で飛んでいる人もいます。
ざっとあげてもこれだけ出てきましたが、まだまだあるし、それぞれなるための方法は違います。当然、どれがいいというものではありません。将来、宇宙に行くための飛行機が出てきたならば、そのパイロットも職業としてのパイロットになっていくでしょう。夢がありますね。
それぞれのパイロットで必要となる知識や能力が違う部分、重なる部分があります。
航空力学といって、飛行機が空に浮かぶための仕組みの知識が必要だし、気象、これはお天気の知識となりますが、飛行機は飛ぶ時に天気の影響を大きく受けるので、天気についてよく知っておかなければ安全に飛行することができません。
しかし飛行機のシステムや操縦方法なんかは旅客機と戦闘機で全然違うし、当然ヘリコプターとも違います。だからそれぞれのパイロットによって勉強しなければならないことが異なってきます。
その中でも今日は主にエアラインのパイロットのこととして進めましょう。
5つの道
まずざっくりと日本でエアラインパイロットになる方法はこの5つの道があります。
・航空会社の自社養成パイロットの試験に応募する。
・航空大学校に入学する
・私立大学のパイロットライセンスコースのある大学に入学する
・アメリカやオーストラリアに自費でパイロットのライセンス留学を行う
・自衛隊でパイロットのライセンスをとり、エアラインに転職する
この中でどれがいいか?ということはありません。それぞれ、自分に合ったものを選択するのがいいと思います。
よくイメージとしてもたれていることで、パイロットは目が悪いとなれないんでしょ?とか、パイロットのライセンス取得には莫大なお金がかかるんでしょ?って思われていることがありますよね。
昔は目の基準は厳しかったのですが、今はかなり緩くなっています。行うには十分な注意が必要ですが、目の手術、レーシックだって規定上はオッケーになっています。
また費用に関しては、これはものによってはやはり高額の費用がかかります。しかし費用を抑えてパイロットになる方法もあります。順に説明していきましょう。
自社養成パイロット
まずは自社養成パイロット。略して「ジシャヨウセイ」って呼ばれることが多いのですが、これはANAやJALなどの航空会社が一般の大学生をパイロット候補生として採用して、会社のお金をかけて訓練を行い、その会社のパイロットとして育てるという制度です。
こっちからすればお給料をもらって莫大なお金がかかるパイロットのライセンスを取らせてもらえるというんだから、とっても美味しいシステムです。でも、だからこそ人気で、合格するための倍率は100倍を超えたりします。100人受けて、1人しか受からないっていうくらいの人気ぶりです。まじかよって感じですね。
また大手航空会社は毎年このパイロット候補生の採用を行っていますが、他のLCCや子会社になると景気によって採用をやったりやらなかったりするので、よく情報収集する必要があります。
今は時期的に応募が終わっていますが、募集要項は以下のようになっているので定期的にチェックしてみてください。他の会社も急に自社養成を始めたりするので、定期的にwebサイトを確認しておくといいでしょう!
ANA
JAL
スカイマーク
ピーチ
J-air
応募資格は会社によって違いますが、多くの場合は大学の新卒、準新卒が対象になっています。たまに高卒以上でOKとかの会社もあります。
大学もパイロットといえば理系が多いのかな?ってイメージをもたれることが多いですが、実はパイロットって文系の人の方が多いと思います。応募条件さえ満たせばどちらが有利ということもないと思います。
航空大学校
航空大学校は1954年に国が設立したパイロット養成学校で、日本最古の伝統あるパイロット養成大学です。
当時は税金でその訓練費をまかなっていましたが、現在は民営化され、航空会社負担でパイロットを養成しようということになっています。
学生自体が支払う学費としては300万円弱で、通常のパイロットライセンス取得にかかる費用が1500万円前後であることを考えるとかなり格安です。ということは、やはり人気が殺到してその合格倍率は高いです。年にもよりますが、10倍前後ではないでしょうか。10人受けたうちの1人が受かる。なんか感覚がバグってきちゃいますが、これだとさっきの自社養成よりはいけそうな気もしちゃいますね。
受験資格としては現在では大学に2年以上在籍した者でないと受験することができません。大学を2年で中退して航空大に行くとその分早くパイロットとして飛ぶことができますが、大学の学位を取得することができないのでこれは一長一短ということになります。
ここまででお気づきの人もいるかもしれませんが、パイロットの養成には莫大なお金が必要です。自分で海外にいってフライト訓練を受けて、パイロットライセンスの国家試験を受験するまでに、およそ1500万円が必要になります。これに加えて海外での生活費なども必要になるので、2000万円くらいは用意しておいた方がいいかもしれません。一般家庭にはなかなか難しいですよね。
上の二つの道ではその学費を別のところが払ってくれるので非常に魅力的な選択肢となります。が、その分人気が殺到してしまい、これに絞っていくとパイロットになれる可能性自体が低くなるでしょう。
そんな中、パイロット不足を解消するための政策として新たなチャンスが出てきました。
私立大学の飛行機操縦課
最近ものすごい勢いで伸びているのがこの私立大学の操縦科、パイロットコースです。
約10年前に東海大学から始まったと記憶していますが、この頃はこんな学費誰が払うんだって思っていた人が多かったです。しかし卒業生が大手航空会社にも就職している状況があり、人気が出てきて、今はいろんな大学が参入してきています。
僕がざっと調べたところでは東海大学、崇城大学、桜美林大学、法政大学、千葉科学大学、第一工科大学、工学院大学がパイロットコースを用意しています。他にもあると思うので、興味のある方は調べてみてください。
この道のメリットはやはり4年間で学位とパイロットのライセンスの両方を取得できることと、比較的門が広いことでしょう。自社養成パイロットや航空大学校は非常に狭き門であったため、これまではほんの一部のラッキーな人や、スーパーマンみたいな人にしかパイロットになることはできませんでした。
しかし私立大学はその学費の高さから受験できる人が絞られるため、応募の倍率としては現実的なものになっています。
その裏がえしのデメリットとして学費が高いのですが、大学にもよりますが2200万円前後かかるようです。
なかなかこの金額は一般家庭には出せませんよね。しかし現在はパイロットライセンス用のローンもあるので、検討の余地はあります。
さらに関連して高額な費用を払ってパイロットのライセンスをとっても、その後エアラインに就職できる保証はないこと、体を壊すなどでそもそもパイロットとして飛べなくなってしまうというリスクもあります。
これは他の道でも同じことではありますが、先行してお金を投資してしまっているということがデメリットになるでしょう。
今後、教育資金に余裕のある家庭にとってはパイロットになるために最も現実的な選択肢になってくると思います。
ライセンス留学、フライトスクール
次はライセンス留学。私立大学の操縦科ができる前はこれがパイロットになる一般的な方法の一つでした。今後は高校生以下の人は私立大学の操縦科、大学を卒業した後の人はこのフライトスクールという棲み分けになっていくのかなと思います。
国内外も含めるといろんなフライトスクールがあるので一般化するのが難しいですが、費用としては1800万円くらいかかるようです。やっぱり高いですね。
日本のフライトスクールと、提携しているアメリカやオーストラリア、ニュージーランドで飛行訓練を行うケースが多いのですが、アジアなどで探せばもっと費用は安く抑えられるかもしれません。しかし実績がないフライトスクールはその分リスクは高いと思われるので、悩みどころですね。
こちらも、高額な費用を払ってライセンスを取得しても日本でエアラインへの就職活動を行わなければならないので、業界の状況によってはパイロットになれないケースもあるのでそのリスクは考えるべきです。
自衛隊からエアラインパイロット
最後に番外編にはなりますが、自衛隊に入隊してパイロットになった後に、ライセンスを書き換えてエアラインに転職するという道もあります。
これは情報が少なくて僕もよく知らないのですが、自衛隊からエアラインに転職されているパイロットはたくさんいます。航空自衛隊と、実は海上自衛隊にもパイロットがたくさんいます。
しかし自衛隊の中でもパイロットになれるのはごく一部の人で、そこでの競争が激しいようです。
この場合も訓練費用を自分で出さなくてもいいというメリットがありますが、僕には自衛隊での厳しい生活は耐えられそうにありません。か弱いあらいぐまですから。
以上、パイロットになるための5つの道について説明しました。
どれもメリットデメリットがあるので、どれが自分に最適なのかよく考えて選ぶことが大切です。
どこからパイロットになってもあとは一緒!大空を飛ぶ感動は言葉にできないものがあります。