
カレンダーボーイ:6日
いつものスーパーのレジで支払いをしていると、しぐれが何かを見ていることに気がついた。
視線の先を確かめると、ウサギのキャラクターの塗り絵が壁に貼り出されていた。自由な線とのびやかな色は幼児ならではの奔放さで、微笑ましい限りだ。
「この子にもお願いします」
岳が言うと、レジスタッフがにこにこ笑って、しぐれに紙を渡してくれた。
「え、でも……」
眉間に縦皺を寄せたしぐれは、それでも特設カウンターに行って、クレヨンを手に取った。口をちょっと尖らせて、そっとウサギを塗っていく。線をはみ出したり、塗り方にムラがあったりして、意外にかわいらしい。
「赤ちゃんが塗るから和むんですよ、こういうのって」
お前も十分赤ちゃんだぞと言いたいのは堪えた。岳は大人だ。
だが、違和感がある。なんだろうか。
「お前、左利きだったか?」
そう言うと、しぐれがニヤリと岳を見た。
カレンダーに同梱するおはなしの一部です
カレンダーは12月中旬のお届けです
こちらは金具がある都合上、他の本との同梱はできません
ご了承ください
いいなと思ったら応援しよう!
