感想ではない何か
(『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』本編の内容には全く触れていないつもりですが、観る前に作品の雰囲気を感じるのは嫌だという方は自衛してください!)
小学校6年生の時、通っていた学習塾の廊下に初号機のフィギュアが飾られていた。
思わず「初号機だ…」と私が呟くと、塾の先生が「エヴァ知ってるの?」と嬉しそうに聞いてきた。
「名前だけは」と言うと「面白いよ。今年の秋に劇場版があるから」的な感じでオススメされた。
これが私とエヴァンゲリヲンの出会い
だったと思う。
当時の私は深夜アニメにハマり始めたばかりで、2ちゃんねるやらニコニコ動画やらの影響でエヴァンゲリヲンという名前だけ知っていた。
興味を持ったタイミングでちょうど新劇場版の公開がスタートしたから、同世代の子がまだ知らない作品に触れたかったから、塾の先生と共通の話題ができて嬉しかったから、
きっとそんな理由で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を観た。
話の半分も理解できなかったけれど、かっこいい映像と音楽と最後に少しだけ映った渚カヲルくんだけで十分楽しむことが出来た。
2年後『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が公開される。
前作をネタにして友達に布教した私は、友達と一緒にそれはそれは素敵なオタクライフを送っていた。
素敵すぎて誰と一緒に映画を観に行ったのかも、どんな流れでエヴァコラボのプリクラを撮ったのかも忘れてしまっている。
ただ、同級生の男子と教室でヤシマ作戦ごっこをした事はめちゃくちゃ覚えている。中三の記憶。
高校に進級後『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開された。
中学生のうちに何とかTVアニメ版の内容を履修することができた私は、Qの公開が楽しみで仕方がなかった。
そろそろ渚カヲルくんの出番だと思ったから
私はカヲルくんの次のセリフを覚える程観たし、パンフレットも購入したし、ネットの考察記事も読み漁った。
学校でピアノ連弾シーンの良さをあつく語れば語るほど友人からの視線は冷たくなっていった。
そしてこの後の展開に思いを馳せながら完結編の公開をずっと待っていた
ずいぶん長い間、待ったと思う。
私がエヴァと出会った当時、年上だったシンジくん達はまだ14歳のままだった。
その間に私は大学に進学してアニメ研究をすることになり、旧劇場版と漫画(通称、貞本エヴァ)を履修、ついでに箱根の空気を何度か吸いに行った。
そしてついに先日、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開された。
ずっと公開されるのを待っていたはずなのにいざその時が来ると、この映画を見たら私の中のエヴァが終わってしまう感覚が怖くてチケットの購入を見送っていた。
だけど映画公開初日に街中でエヴァの話をしている人とすれ違ってしまい、ネタバレされる前に自分の目で見たいと思ったから公開3日目に観に行った。
上映前後、劇場内がひどく静かで妙な緊張感が漂っていたのがとても印象的だった。
観てよかった、待っててよかったと思った。
あの日私にエヴァを教えてくれた塾の先生も、私の布教を受け入れてくれた友人たちも、一緒にヤシマ作戦ごっこをした同級生も、いつかこの映画を観るのだろうか。
もし、もう観たのであればぜひ語りたいと思った
連絡先も知らないけど
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