Netflix「イカゲーム 」「なぜ君」とKindle Paperwhiteで読んだ『テクストの快楽』のある一節
世界中で大ヒットしているNetflix「イカゲーム 」と、
衆議院議員総選挙後、話題が再燃している「なぜ君は総理大臣になれないのか」。
これらの作品に共通する部分をフルモデルチェンジした「Amazon Kindle Paperwhite(第11世代)」のKindle Unlimitedで読んだ『寝ながら学べる構造主義 (文春新書)』(内田 樹 著)で見つけた。
"「テクストとは『織り上げられたもの』という意味だ。これまで人々はこの織物を製造されたもの、その背後に何か隠された意味(真理)を潜ませている作られた遮断幕のようなものだと思い込んできた。今後、私たちはこの織物は生成的なものであるという考え方を強調しようと思う。すなわちテクストは終わることのない絡み合いを通じて、自らを生成し、自らを織り上げてゆくという考え方である。この織物──このテクスチュア──のうちに呑み込まれて、主体は解体する。おのれの巣を作る分泌物の中に溶解してしまう蜘蛛のように。」(『テクストの快楽』)"
哲学者ロラン・バルトの『テクストの快楽』の一節である。内田 樹は蜘蛛の巣の例えがwww.=World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ)の予見していたと続けている。
「イカゲーム 」の"だるまさんが転んだ"は、ネットミーム化して増殖し、「なぜ君は総理大臣になれないのか」は「なぜ君」と訳されて、ツイッター上でドキュメンタリー映画を見た見ないに関わらず、主人公・小川淳也の主義主張を論評するときの形容詞的に使われる。
つまり「イカゲーム 」も「なぜ君」もデジタル上の蜘蛛の巣に呑み込まれて、主体=伝えたいことは解体されている。もはや作品を見た見ないとは関係なく、変容と増殖を続ける。
『ファクトフルネス10の思い込みを乗り越えデータを基に世界を正しく見る習慣』という書籍が数年前からベストセラーとなり、日本でも100万部を超えた。果たして、主体が解体され、変容と増殖されたデータは、本当にファクトフルネス=事実に満ちているのだろうか?
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