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XRISM、ファーストライトを公開

2024年1月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)はX線分光撮像衛星(XRISM)の最初の観測データ(ファーストライト)を公開した。XRISMのファーストライトは、これまでのX線観測衛星の観測結果とは一線を画すものとなり、プロジェクトに参加している研究者を驚かせているという。

XRISMは2023年9月7日8時42分11秒(日本時間)にH-IIAロケット47号機にて打ち上げられたX線観測衛星で、現在、地上から高度550kmの場所を円軌道で飛行している。X線観測衛星というと少し硬い感じがしてどんなものかイメージしにくい人もいるかもしれないが、簡単にいうとX線を集めて天体を観測する「X線宇宙望遠鏡」だ。

X線はレントゲン撮影などに使われている電磁波で、日常生活では肉眼(可視光)では見えない、体の内部など見るのに使われている。天体を見る場合でも、可視光とはまったく違うように見える。X線は電磁波の中でも波長が短く、エネルギーが高いため、数千万度から数億度というとても高い温度ですさまじいエネルギーを発生させる場所から放射される。そのため、超新星爆発、中性子星合体、ブラックホール、銀河の衝突など、激しい天体や天文現象を観測するために利用されることが多い。

でも、X線は大気に吸収されるため、X線を使っての天文観測を地上ですることはできない。そこで、人工衛星を打ち上げ、宇宙空間で観測されるようになった。ちなみに、宇宙で実際にX線が観測できることを示したのは、リカルド・ジャコーニ博士らのグループ。彼らは1962年にガイガーカウンターを搭載した観測ロケットを打ち上げ、強いX線を放出するさそり座X-1を発見し、X線天文学の嚆矢となった。

XRISMは日本が打ち上げた7機目のX線観測衛星で、軟X線撮像装置(Xtend)と軟X線分光装置(Resolve)の2つの観測装置を搭載している。

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