今日の科学 6月25日
1882年6月25日は、東京馬車鉄道が開業した日。
東京市内の人々の足として開業した最初の鉄道は、レールの上の車両を馬が引く馬車鉄道でした。最初は新橋ー日本橋間の約2.5kmが開業し、同年12月1日には新橋ー上野・浅草間の全線が開通しました。最盛期には2000頭の馬と300両の車両を擁し、たくさんの人々を運びました。
江戸幕府が倒れ、明治の新政府ができたことにより、人々の生活は変化しました。その象徴的な存在だったのが、1872年(明治5年)に新橋ー横浜間を結んだ官製鉄道です。一方、市中の交通に目を向けて見ると、人力車や乗合馬車が営業開始していたものの、まだ徒歩が中心でした。
そのような中、東京の街中に馬車鉄道が登場し、人々の新たな足となりました。新橋から日本橋まで14分、日本橋から上野まで28分、上野から浅草まで18分、浅草から新橋まで32分で、ぐるりと回っていたそうです。
馬車鉄道は人々に歓迎され、開業翌年の1883年は390万人、6年後の1888年に755万人と利用者が多く、たくさんの利益を上げました。しかし、運行本数が増えるにつれて、道路の痛みが激しくなりました。さらに、馬の糞尿により衛生面での問題も起きました。
1890年代になると東京の鉄道の電気化の機運が高まり、1903年に東京馬車鉄道は東京電車鉄道として新たなに開業し、新橋ー品川間が電化しました。その翌年には全ての路線が電化して、馬車鉄道は20年ほどで姿を消し、電車による本格的な都市交通へと転換していきました。
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