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3年ぶりの龍勢祭

毎年、10月の第2日曜日は秩父市吉田地区にある椋神社で秋の例大祭がおこなわれる。それにあわせて、その日は椋神社に龍勢を奉納することから、龍勢祭とも呼ばれている。龍勢というのは、簡単にいうとロケット花火のようなもの。龍勢の起源には諸説あるが、秩父の山間でロケット花火を飛ばすお祭りが長年おこなわれているというのは、おもしろい。近年はアニメの題材にもなったりして、注目度も上がっている。

例年は朝から夕方まで30ほどの龍勢が打ち上げられ、たくさんの人が見学に集まっていた。だが、新型コロナウイルスの流行によって、2年もその光景を見ることができなかった。今年(2022年)は流行が落ちついてきて、3年ぶりに龍勢が打ち上げられることになった。ということで、当日、私も行ってきた。

これまでの年は右側の空き地になっているところなどに桟敷席が設けられていたが、今年は設置されず、少し寂しい感じになったが、龍勢の打ち上げを見るために、たくさんの人たちが集まった。

今年は感染拡大防止のために、例年の半分ほどの17だけ。打ち上げ場所の目の前につくられていた桟敷席も設置されなかった。龍勢は1日かけて打ち上げられる。地元の人たちや龍勢の奉納や製造に関わる関係者などが桟敷席に集まって、わいわいとお酒や料理などを囲みながら龍勢が打ち上がるのをゆったりと見るのも、龍勢祭の醍醐味の1つだったが、今年はそれができない。でも、打ち上げができるだけでもうれしいものだ。ただ、見学するだけの私でもそう思うのだから、関係者の喜びはひとしおだろう。

龍勢は竹の軸(矢柄)に火薬の入った容れ物をつけ、空に飛ばす。先端には背負い物とよばれるしかけが取り付けられていて、空中で落下傘、グライダー、唐傘などが開き、花火が破裂する。龍勢が発射台から打ち上がるだけでなく、空中で落下傘、グライダーなどがしっかり開き、舞い降りるかどうかも大きな見どころになる。

龍勢の構造を解説するイラスト。吉田龍勢保存会のウェブページより。

noteでは動画をそのままはることができないので、スマホで撮影した写真をいくつか貼って、会場の雰囲気をお伝えする。

会場の一角に設けられた口上櫓。1つ1つの龍勢が打ち上げられる前に、奉納者は龍勢の打ち上がり方、背負い物の説明、龍勢にこめた思い、奉納者や製造流派などを独特の節回しで述べ、椋神社に奉納する。
龍勢櫓(打ち上げ台)に向かう龍勢。人の大きさと比べると、その流れがわかるだろう。
龍勢櫓から龍勢が飛び出した瞬間。
空に向かってぐんぐん上がっていく。
空中で落下傘が開き、花火も破裂し、いっそう華やかになる。
楠神社の本殿。お参りもしてきましたよ。
本殿脇のテントではお守り、お札などとともに、龍勢を模した縁起物が。龍勢だけに「家運隆盛」「商売隆盛」の願いがこめられている。私もあやかって、1つ分けて頂きました。

今年は久しぶりに龍勢を見ることができて、嬉しかった。来年以降はもっと盛大に開催できることを願っている。

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荒舩良孝
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