今日の科学 8月7日 物理学者ジョン・クロムウェル・マザーが生まれた日
1946年8月7日は、アメリカの物理学者ジョン・クロムウェル・マザーが生まれた日。マザーは、1989年11月に打ち上げられた宇宙背景放射探査機COBEの責任者の1人。1000人以上の研究者や技術者が関わる巨大プロジェクトを率いました。2006年にノーベル物理学賞を受賞 しました。
宇宙に関する知識は時代によって変化しています。ニュートンの時代は、この宇宙は永遠に変化しないと考えられていました。そういう宇宙であれば、はじまりもなく、終わりもありません。しかし、1920年代に宇宙が膨張していることがわかると、宇宙に対する見方は一変します。
その後、ジョージ・ガモフが、宇宙は超高圧で超高温の火の玉のような状態からはじまったというビッグバン理論を唱えます。発表当初、この理論を信じない人もいました。しかし、アノー・ペンジアスとロバート・ウィルソンが、ビッグバンのなごりである宇宙背景放射を発見したことで、ビッグバン理論は、宇宙の始まりを説明する理論としてたくさんの人たちに信じられるようになりました。
宇宙背景放射は、宇宙のあらゆる方向から同じような強さでやってくるマイクロ波です。宇宙背景放射探査機COBEは、宇宙背景放射を精密に測定するために打ち上げられた観測衛星です。COBEの観測によって、宇宙背景放射はあらゆる方向からほぼ一様にやってくるものの、ほんのわずかなエネルギーのムラがあることがわかりました。
COBEは宇宙背景放射を精密に測定し、宇宙の誕生や歴史などを考える精密宇宙論の扉を開きました。マザーは、COBEの打ち上げを提案した物理学者のジョージ・スムートと共に2006年にノーベル物理学賞を受賞しました。
宇宙のはじまりに関する研究は現在もたくさんの研究者によって続けられています。現在は、この宇宙には、誕生直後にインフレーションという状態があり、その後、ビッグバンが発生したというインフレーション宇宙論が信じられています。