飴細工の基礎①
今回は飴細工の基礎についての記事です。
飴細工は砂糖の塊ですが、炊き上げる温度や使う材料によって様々な科学的な変化を起こしています。
材料の特性などを理解することで飴細工が分かり、上手に扱えるようになります!
飴細工の材料、配合について
こちらは一部の配合例になります。この配合が優れているなどということはありません。後に紹介する材料の特性などを知り、自分に合う配合を見つけましょう!
グラニュー糖の引き飴(例)
グラニュー糖 500g
水飴 120g
水 100g
酒石酸 耳かき1杯
パラチニットの引き飴(例)
パラチニット 500g
水飴 100g
水 100g
酒石酸 耳かき1杯
グラニュー糖の吹き飴(例)
グラニュー糖 500g
水飴 150g
水 150g
酒石酸 耳かき1杯
パラチニットの流し飴(例)
パラチニット 100%
飴は砂糖を165℃から180℃まで炊くことによって、飴状に変化させます。また、引き飴はそこから空気を含ませることで光を反射するようになり、ツヤが出るようになります。
しかし、光の反射の仕方は砂糖の種類で変わり、飴の硬さや粘度は配合と炊く温度で変えることができるので、材料などの特性を知り、自分に合う飴を炊けるようになりましょう!
飴の炊く温度について
ここでは飴を炊くことによって、飴がどのように変化していくのか学んでいきましょう!
砂糖を炊いていくとシロップ状になり、さらに165℃から飴状になりますが、カラメル化も同時に起こっていきます。
カラメル化は、グラニュー糖が160℃から色付きはじめ、パラチニットは180℃ぐらいから色付きます。ゆっくりと炊くと強く色づいたりするので、火力なども色の具合に影響してきます。
また、パラチニットは180℃ぐらいから色付くので、170℃まで炊く流し飴は綺麗な透明にすることができるため、流し飴ではパラチニットを使います。
他にも飴にはガラス転移温度というものがあります。ガラス転移温度とはゴム状態から固化状態にかわる温度のことで、簡単に言えば飴が固まる温度になります。
飴は空気を含ませて、綺麗な空気の配列を作り、素早く固化状態にすることで光を綺麗に反射する様になります。ゴム状態のものを引いたとしても空気の配列が崩れ、ツヤが綺麗に出ません。
そのため、ある程度硬さ、粘度のある飴を扱うとツヤが残りやすくなります。
そして、飴を炊く温度を上げるとガラス転移温度も上昇するので、硬くて粘度があるが、固化状態に素早くなり、ツヤが残りやすい飴になります。
しかし、硬さなどには好みがあるので自分に合う硬さを見つけ、炊き上がりの温度を変えていましょう!
材料の特性について
主に使う材料はグラニュー糖、パラチニット、水飴、水、酒石酸になります。他にも副材料はありますが、配合に大きな影響を与える5つの材料の特性を学んでいきましょう!
グラニュー糖とパラチニットについて
飴細工で扱う砂糖は主にグラニュー糖とパラチニットになります。
グラニュー糖の特徴はカラメル化が早く黄色がかった飴になり、パラチニットに比べガラス転移温度が高いので、「硬い」という印象を持ちますが、ツヤは残りやすいです。
パラチニットはカラメル化が180℃なので、空気を含ませると真っ白な飴になります。グラニュー糖に比べてガラス転移温度が低いので、柔らかく加工しやすいのが特徴です。
また、湿気に強いので流し飴には最適の砂糖です。
グラニュー糖とパラチニットでは、ツヤ感の違いもあります。グラニュー糖の方がエッジの効いた鋭いツヤ、パラチニットは少しマットなツヤが出ます。
どちらの砂糖も一長一短があるので、好みの砂糖を使いましょう!
水飴について
飴のなかに水飴を入れると硬く粘度が上がります。しかし、水飴が入ることで伸びが良くなり、ガラス転移温度付近でも曲げたりすることができるようになります。
そのため、引き飴に対して、吹き飴の配合は水飴の割合を多くして、形が変化しにくく、加工しやすくすることで作業性が上がります。
また、水飴が入ることで砂糖の再結晶を抑制することもできるので、飴が長持ちしやすくなります。
水について
水は科学的な作用はありませんが、量が硬さと比例するので、硬さに影響を与えます。
酒石酸について
酒石酸はショ糖を分解する力があります。その力により、飴を柔らかく伸びを良くし、再結晶を抑制することができます。
しかし、酒石酸は粒子が細かくダマになりやすいのでしっかり水に溶かして使いましょう!
また、少量で効果が大きいので量には注意が必要です。
以上が材料の特性になります。それぞれに役割があることが分かって頂けたでしょうか?それぞれの特性を活かし飴細工を上達させていきましょう!
今回は、飴の配合、炊く温度、材料の特性について説明させて頂きました。
シンプルな材料ながらガラス細工のようであり、輝きを放つ飴細工の魅力についてこれからも発信していきたいと思います。
では、また次の記事で会いましょう!