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自分の為にパン・ペルデュ

娘、健やかに成長

出産してから2ヶ月半が過ぎ、娘は母乳を飲みすくすくと成長している。
上の子の時は、完全母乳ではなかったのだけど、今回は母乳の出も良く
ミルクだと、哺乳瓶の消毒など面倒なのもあって、完全母乳。
そのおかげなのか、体重も既に出産前の体重に戻っていて、順調なスタートを切っているようだった。

ところが、ちょうど2ヶ月を過ぎた頃、5歳の息子が学校から様々なウィルスをもらってきて、我が家はこの冬、嘔吐下痢の風邪、咳のひどい風邪、コロナっぽい症状の風邪と、家族でかなりきつい風邪っぴきを経験した。

体の不調は、心の不調につながる

産後2ヶ月を過ぎた頃、体調不良で学校に行けない息子を1週間程見つつ、赤ちゃんの世話もして、自分の絵を描く時間は皆無、家事をするだけで精一杯という状態になった。今期3度目のきつい風邪で体も疲れ切っていた。
つらそうにする息子を見るのも辛いが、子供の風邪をもらうと毎回本当に辛い。しかもフランスは日本の風邪薬のようなものがなく、植物療法や免疫力を高めるサプリなどはあるが、咳止めも蜂蜜とハーブ由来の自然なものが多く、熱冷ましの薬だけが頼りになる。(緊急病院に行かなきゃ行けないような症状の時は流石に抗生剤が出されることもあるよう。でも夫曰く、流行りの風邪の特効薬は無いとのこと)

まるでエアーポケットに落ちるかのように絶望感に襲われる

私はフランスで生活することを夢見て来たけど、今回は本当に辛くて、なんで私はこんな状態になってしまったのだろうと考えるようになってしまった。息子を見ているのも、赤ちゃんの世話も、結局手が塞がってしまうだけで、日がな子供と最低限の家事をするだけの生活を数日続けると、こんなに希望がなくなるものかと、今少しマシになったメンタルの自分がその時の心境を振り返ると、まだ怖くなる。
疲労と刺激の無い日々と産後のホルモンバランスの乱れで、私は産後うつ状態になったのだ。

第一子の時はここまでメンタルが落ちることはなかったし、今までの人生でもこんなに気持ちが沈み、もうこの先楽しいことは一つもないんじゃないかというような絶望感も感じることはなかったと思う。
しかも腕の中に可愛い娘を抱いていたり、しっかりしてきた長男がこちらに笑顔を向けてきても、心が真っ暗で、食欲も落ちていた。
そんなある日、夫に、今日はどうだった?と聞かれて、「つまらない一日だった、というか今、本当に退屈で仕方ない」と真顔で返した。

夫はそんな私にギョッとすることもなく、「君は本当に辛い状況の中にいるよ、だから2人目を産んだ後に離婚する夫婦は多いんだ」と答えた。
私は、その言葉に悲しくなるわけでも、焦るわけでもなく、ただただ真っ暗闇の中にいて、表情を作ることもできなかった。
ここまで、本当になんの疑問もなく、自分は幸せだなぁと思っていたけど、人の心の中に嵐がやってきて、そこから出れなくなるようなことは、自分にも起こるのだなぁと思った。

心の病って本当に辛いんだ

私の仲の良い友人には、ADHDや躁鬱で苦しんでいる子がいる。
そんな友人の話をよく聞いていたから、理解はできている気でいたけど
こんなに辛い気持ちなんだと思った。
子供を2人持つことは、兄弟と幸せな時間を過ごした自分にとって
最もやり遂げたいことの一つで、とにかく産み出すことはできたけど、
人生は甘いものではなく、この障害物だらけのコースをいかにご機嫌に
いかに心の闇に支配されることなく健やかに進んでいけるか。


なんとか再浮上した当機。とにかく幸せであれ、自分。


今回はなんとか医療機関に頼ることなく抜け出すことができた。

漢方の不安神経症に効く粉薬は1服だけ飲んだ。クラシエの半夏厚朴湯というもの。海外生活を始めてから、たまに不安が強くなることがあり、前回の帰国の時に買っておいた。備えあれば憂いなし。

また、どん底のタイミングでたまたま人にあう用事があったのも功を奏した。
息子のバカンスに合わせて義母が来ていて、2人で冬のセールの買い物に行ったり、週末は夫が同僚を家に呼んで、BBQをする行事が入っていた。
刺激のある週末を過ごした。そして今週は義母が上の息子を連れて家に帰ってくれて、週末まで息子を預かってくれて、娘だけを見ていればいいようにしてくれた。
正直、その期間の最初の方はうつ状態だったので、人に会うのも本当にしんどかったけど、自分の内面は夫以外には伝わらないように振る舞って、人の中にいるうちに、心が軽くなって来て、悩みの沼の底に着いた感覚がした。

1人で家で子供を見て家事をしての生活、対人ストレスは無いけど、こんなに心が追い込まれるなんて思わなかった。家族を優先したり、睡眠がしっかり取れていなかったり、39歳という年齢が重く感じられたり、いろんな要因が絡んで出た結果なんだけど、とにかく家族のためにも、しっかりしなくては。

自分の心を守るためだったらなんだってしなければと思う。
自分が幸せでいることは周りも幸せにする。
心を病むことの辛さを知ったので、もう同じようには病むまいと心に誓った。

そんなわけで今朝は自分のためにPain Perduを焼いた。
益子の陶器市で買ったお気に入りのお皿に乗せて。
ブリオッシュで作るそれはふわふわでシロップなしでも十分美味しい。パリのレストランで働いていた時の思い出の味だ。ひとくち食べたらジワっと涙が出た。涙が流せるのは元気な証拠だ。





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