給料あさり7個 限界潮干狩り
「明日は干潮何時?」
「11時です」
「行くか」
「行きましょう!」
最近職場の先輩とよく潮干狩りに行く。
潮干狩りは1人でも行くし結構好き。
浜名湖へやってきた。
浜名湖は海と繋がってる汽水湖なので貝が採れる。
天気は曇りで絶好の潮干狩り日和だ。
平日なので潮干狩りは全然いない。釣り人が少しいるくらい。
潮干狩り開始。ダイソーで買った熊手とスコップで貝を探していく。
一つアサリを見つけるとその近くに何個もいることが多い。
だけど最初の一個が見つからない。
貝を見つけなければ単なる砂遊びをしていたおじさんになってしまう。
先輩の方を見るともう5個くらい集めてた。焦る。
20分ほどしてようやく最初の1つが見つかった。
家族連れがやって来た。親2人と子供3人。
父親が浜辺に折り畳みチェアを広げて座る。
他の4人は熊手を片手に貝を探し始める。
「今日のご飯はあさりしか無いから頑張っていっぱい獲るぞ!」
父親が言うけど彼は何もせずただ椅子に座ってるだけ。
これは昭和スタイルなのか令和スタイルなのか。
無心で砂をかきかき。
縄文時代のことを考える。
貝採りすぎて無くなるなんてことはなかったのかな?
現代はスーパー行けば食糧いくらでも手に入るけど当時は稲作もまだ無いから貝とかどんぐりを食ってたはず。
現代で潮干狩りやる人は趣味でちょろっと採ってく程度じゃんね。
縄文人たちがメインの食料としてお腹満たせるだけの量を毎日採ってたらあっという間になくなってしまう気がするけどそんなことはなかったんだろうか?
浜名湖周辺では縄文時代の遺跡が見つかっており結構人が住んでいたらしい。
浜松市博物館では蜆塚古墳といって貝殻が高く積み上がった地層の断面図が見られて面白い。
あさりは現代人が食べてもすごく美味いけど縄文時代にはとんでもないご馳走だったんかな?
関係ないけどお酒を飲んだ翌朝に飲むアサリの味噌汁は最高だよな。
2時間ほど経ち貝を5個ほどゲットする。
「移動しすぎじゃね?コロコロ場所変えてたら良いもん採れないよ」
先輩が言う。もう20個くらい採ってそうだ。
これは貝の採り方を指南すると同時に飽き性な自分に対する批判なのではないかと0.3秒くらい思った。
結局2時間半いて7個しか採れなかった。
本当はもう少し多く手に入れてたけど2cm以下のものは捕まえては行けないのだ。
先輩は20個採ってた。
しかし先輩は確かにたくさん採ってたが家族のことを考えるとそれでようやくトントンなんだよな。
独り身の自分と違い先輩は家族3人分採らなければいけないから大変だ。
縄文時代のお父さんもこんな感じだったかもしれない。
綺麗な海水を入れて砂抜きしたり糞を出させる。
あさりは食材のイメージが強いけど生き物だからな。
夜中も寝てるとバケツの中でゴソゴソ動くし可愛い。
こうしてお世話をしているとなんとなく愛着が湧いてくる気がする。
でも次の日作ったアサリの酒蒸し美味しかった。