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映画館の思い出とプラネタリウム

✨KONIKA MINOLTA PLANETARIA TOKYO✨
まず英字の綴りが長い。それはさておき。

 昔々『日比谷映画街』という言葉がありました。先ごろ閉館が発表された丸の内TOEIから線路を挟んで宝塚劇場くらいまでの一帯ですね。その頃はシネコンなんてものはなく各映画会社やエンタメ関連の会社が劇場を持っていて、それぞれ封切り映画を上映していました。映画館だけのための建物みたいな贅沢な使い方をしていてね。たしか、今のような大型の複合商業ビルは少なかったんじゃないかと思います。オフィス貸しくらいはしていたかもしれないけれど。
 毎週金曜の夕刊、テレビ欄の下には週末の映画広告が並び、そこには主な映画の上映館とタイムスケジュールが乗っていました。邦画ならだいたい2本立て。1本だけで上映される大作洋画の特別感ときたら。で、そこを見て作品と行き先と時間を決めてね。大ヒット作なら2時間以上も前に行って窓口でチケットを買う。なんでそんなに早いかといえば当時の座席指定は特別料金だったので。チケットを買って、そのまま並んで入場を待つんです。購入後にのんびりしてると人気作には“次の回”の列の他に“次の次の回”の列ができちゃうんです。だから早く行く。早く行って、さらに早いものがちで好みの座席を抑える。まあ、立ち見で良ければチケット買ってすぐに入ってもいいんですけど。立ち見は立ち見で、なんだか「立ち見してまで観ているカッコつけ感」があってわりと好きでしたけどね。そういえば、ナウシカなんかは人気がありすぎてギリギリまで人を入れてたので、通路に体育座りで鑑賞した記憶があります。同じ鑑賞料金払ってるのに(笑)

 で、そんな映画館に行くこと自体が祭で楽しかった時代、さっそうと登場したのが有楽町マリオンでした。
以降、若い頃に観た映画の大半はここで観ることになりました。渋谷や新宿、上野、池袋と映画館はたくさんあったんですが、行動範囲上、日比谷一択。ちょうど通学定期券で行ける所にあったのでね。連れとの待ち合わせはマリオンのからくり時計下。1Fでチケット買ってエレベーターで最上階まで上がって、白い清潔感のあるピカピカのお洒落なフロアに出てね。わあ〜素敵!と思っても、次回待ち列は地味な階段下に伸びていたのでした😅
 そんな思い出の地、有楽町マリオン。「若い頃、どこで遊んでた?」と言われると日比谷から銀座あたりって答えになるのですが、なにも豪遊してたわけじゃなくて、映画一本観て、ファーストフードでなにか食べて日比谷公園でおしゃべりするという安上がりな日々だったということです。
 その後、郊外にもシネコンができ、ネットの座席予約システムもでき、映画のためだけに都心まで行かなくても良くなり。生舞台だけは劇場なので日比谷に行くこともありますが、マリオンにはとんとご縁がなくなってしまいました。あんなに行ってたのにね。ゴメンよ。で、数年前、ミッドタウン日比谷ができて東宝さん関係がお引越ししてからできたのが、今回行った✨KONIKA MINOLTA PLANETARIA TOKYO✨さん。都心に突如現れたプラネタリウム施設です。とはいえ、すでにサンシャインとスカイツリーには同じコニカさんのプラネタリウム施設がありますが。

 さて、特に予定のなかった或る週末。わたくし、唐突にこのプラネタリウムのことを思い出しました。天気はお出かけ日和だし何処かへは行きたい。ちょっと時間を潰すにはいいんじゃないかな?そんなきっかけです。
 調べてみると上映自体は一日に何回もされており、チケットも取りやすそう。心配だったのは、カップルだらけでお一人様はお邪魔なんじゃないかということでしたが、大変人気のある声優さんがナレ担当されてるプログラムもあると知り、じゃあお一人様で満喫しに来る方も一定数おるじゃろ!と安心した次第でもあります。本当に好きなことは一人で堪能したいという方も必ずいらっしゃいますから。
 で、今回体験したのはそのツダケンさん担当のイタリア星空散歩ではなく、森崎ウィンさん担当のアラビアンナイトヒーリング〜星が舞う夜〜。森崎さん……『レディ・プレイヤー1』においてガンダムで行かれた方ですね!

 PLANETARIA TOKYOには現在2つのドームがあります。8Kシアターで床から天井まで隙間なく画像が投影されるドーム1。こちらは施設内カフェで購入した飲食物の持ち込みも可能で、まるで星空の下で野外イベントに参加しているかのような感覚が味わえる、らしいです。そして今回のプログラムが上映されるドーム2。寝転がれるソファシートがあったりしますが、数は限られています。なので大半は一般シート。ですがそれでも深いリクライニングが効いた座り心地の良い座席が用意されています。パンフレットによるとこちらのドームは音響が特に自慢のようですね。SOUND DOME®。なるほど。

 チケットの買い方はふた通り。ネットか施設窓口か。(価格はシートタイプやプログラムによりまちまち)
今回は窓口で買いましたが、その場合も、その場で座席指定できました。ここがいいですと座席表上で指差せば取ってもらえます。ヒーリングプログラムということでアロマが流れますが香りは大丈夫ですか?など確認された上でチケット購入。一般シートは余裕があるようでしたので、急なお立ち寄りでも問題はない感じです。チケットはレシートにQRコードが印字されたもの。ネット購入の人はスマホ画面に表示されたもの。いざドームに入る際には入口で読み込みを行います。
 
 ということは。この施設、ドーム入口前まではチケットなしでもどなたでも入れちゃいます!実際、カフェやショップは自由利用可でした。星空やプログラム内容をテーマにした綺麗な色のドリンクやスイーツが楽しめますし、ちょっと気の利いたグッズやおみやげ菓子、プログラム用に調香されたアロマオイルも買えます。カフェはお店仕様というほどではなく売店的な感も強いですが、ロビーにはソファなどもあるので時間待ちなら十分。ドーム1なら持ち込みできますし。ノンアルのカクテルも用意されていました。

 さて、いよいよお時間10分前。QRコードをピッとしまして入場開始です。中はターコイズグリーンを基調とした落ち着いた空間で、最前方にペアのソファシート、一般シート数列を挟んで中程に投影装置本体とシングルのソファシート、あとは一般シートという具合でした。購入前に少し調べたところ、プラネタリウムの場合は投影機本体が目に入らず、ドーム下方が気にならないような位置がよろしいというので、今回は投影機から通路を挟んで2列ほど後ろの左寄りを選択して着席。それでもちょっと端が気になる瞬間はあったので、もう少し後ろがいいのかも。ソファシートならその辺も計算されているのでしょうが空きがなくてね……悲しみ。
 
 プログラムはドバイの町並みから始まりました。子供の頃に見たプラネタリウムの印象だと「この季節は〇〇な星が見られます。それでは南の夜空を見てみましょう」とか言って始まった気がするのですが、ここはドバイから。まるで『世界の車窓から』を観るかのように、夕刻の市場に祈りの時間を告げる合図が響きます〜みたいなとこから入ります。そこからカメラは路地を抜け、静かな砂漠へ、という流れ。映し出される満天の夜空はすごく綺麗です。これだけ数多くの星があってもオリオンの三連星はとても目立つし、シリウスやプロキオンは言わずもがなよく輝く。すごいなぁ。アロマのいい香りもあって、しばしまったり。プログラムは星を紹介しつつ、時に地上に戻って美しいモスクを紹介し、刻々と変化する幾何学模様を映し出し、サンドアートによるアラビアンナイトのお話を語り……まったく飽きるということはありません。やがて空が白んで砂漠は夜明けを迎えますが、いや正直、もう少しやってもらっても良かった。 てか、やって。

 というわけで予想の数倍良かったのですが、これは是非お一人様での体験をおすすめします。日常で気づかないうちに高まっている頭の緊張をほぐすには、ちょうど良い45分間でした。思い出の地で新たな楽しみ。再発見というやつですね。