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「EMの孤独」から抜け出すための「相談する技術」

このnoteがめっちゃよかった!ので勝手にアンサーソングの巻。

EMにおける「自分と同じ役割を担う仲間が少ないこと」からくる孤独や悩みというのは、私自身も実感があります。

そして、EMが手探りで進める仕事には、おいそれと人に共有できないものも含まれます。人事考課に関わるもの、まだ全体に公開はできない組織設計の青写真。なにをやっているかを開示できないがゆえに、メンバーからは「何をやっているかわからない」と思われる。透明性が欠如したところからは信頼関係のほころびが生まれやすく、メンバーとの間に距離ができてしまうことがあります。孤独。

また、同じ組織のEM同士であっても交流が少なく、自身が抱えている課題は自身で解決しなければならないという状況になりがちです。孤独。

エンジニアリングマネージャーの孤独〜社内コミュニティのススメ〜より

規模の小さな会社ではCTOとEMの2名体制で始まることも珍しくなく、この場合「似た課題を扱う人」が周りにいないこともざらです。

一方、EMが複数人いる組織だったとしても、片方はリリース前の火消し作業に追われ、もう片方は安定稼働期で粛々とリファクタを続け……というように、それぞれのチームが抱えているフェーズや課題が異なっていると、「あれ、意外と共有できるお悩みってないかも……」ともなりがち。そして生まれる孤独。

(それなら社外に目を向けてみようと、私はコミュニティ「EMゆるミートアップ」を立ち上げたのでした)

EMに求められる役割は各社様々でありながらも、EMというポジションは社において絶対数が少ないことも多く、横のつながりを得たり知見の共有をしたりする機会をなかなか持てていないと感じたことが、立ち上げのきっかけとなりました。

#EMゆるミートアップ は何が「ゆるい」のかより

相談するにも技術がいる

自分ではどうしようもないくらい大きな壁にぶつかったときは、書籍を読んだり、信頼できる先輩や上司に「うまくいかない!助けて!」と泣きついたりできるはず。ただ、そこまでいかない「なんだかモヤモヤしている」「困っているけど相談するほどではない」と思っていることって、自分と上長の1on1においても、EM同士のつながりにおいても、意外とうまくアウトプットできないものです。相談事として顕在化させられていない状態ですね。

冒頭のnoteで紹介されていた「EM同士のリーンコーヒー」は、社内コミュニティの力を借りる形で、そういった「モヤモヤを一旦そのまま吐き出す」ことや、「モヤモヤを相談可能な課題へと昇華させる」、つまり「相談」のエクササイズにもなっているのではと感じました。

リーンコーヒー形式で話すことで、そこで話すテーマに対して主体的に関わる機運が生まれます。自立性をもって議論を深めていき、それをぶつけあうことで集合知になっていきます。

エンジニアリングマネージャーの孤独〜社内コミュニティのススメ〜より

「三人寄れば文殊の知恵」を好まない人もいる

ただしここで気をつけたいのは、「みんなで集まって課題解決をする」ことを好む人が多数派ではないかもしれない、ということ。私はコミュニティに助けられ・背中を押されて今があるので、課題解決のショートカットのために「周りを適切に頼る」というコマンドを多く取りがちな自覚があります。一方で、そうした活動に馴染みがない人にとっては「解は基本的に自分で出すもの」だし、独立性の高さが生む機動力を優先したくなる気持ちもよく分かります。どちらが正解、というわけではなく、手段には良し悪しがあり、考え方にもそれぞれの背景やバイアスがあるよね、ということ。

大事なのは、どちらともの強み・弱みを理解して、課題に応じて柔軟に手札を使い分けられることだと思っています。

「途中式の公開」が未来の自分を救う、かも

それでも、このモヤモヤ――言うなれば、答えに至るまでの「途中式」の状態を(社内外を問わず)アウトプットしていくことは、周りのEMやいつかできるかもしれない後輩、あるいは一度解いたことをすっかり忘れてしまった未来の自分のためになることもあるのではないでしょうか。

マネージャーは「いま、目の前の成果」だけを追うのではなく、チームの未来に向かって種を蒔くことも同時にやらなければならないロールだと私は考えます。それは結果の共有だけでなく、

  • 現状をどう捉えているのか、どこに違和感を覚えているのか

  • なぜそれをやってみようとしているのか

  • やってみたけど、なんかハマらないかも

といったプロセスそのものも共有していくことによって、誰かの役に立ったり、あるいは自分では思ってもみなかった方向からの助言を得て、更に物事を推進させられるようになったりするかもしれません。

というわけで、このnoteは私の「途中式の公開」でもあります。こうして生まれるたくさんの「途中式」を種に、議論をしたり参考にし合ったりしながら、よりよいプロダクト・チームを作っていきたいですね!

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