大迷惑 〜単身赴任①〜
その時大迷惑が頭の中で鳴り響いていた
私は、石川県の能登地方に住んでいる。本当にのどかでいいところだ 。
10年前に結婚して、娘も2人出来てそれなりに楽しく暮してる。
2年前の夏に、私の実家をリフォームして、二世帯住宅にしたばかり。夢にまでみたマイホームとはいかなかったが、一つの達成感があった。
私の勤め先も同じ町内にある工場だ。
こう言っては何だが、あまり業績は良くない。だが、潰れる気配はなく、なんとなくこのままの流れで生きていくのかな〜 なんて、のんきにおもっていた。
だが、親会社が一大決心した。
今作っている製品をやめて、これから受注が見込めるであろう製品に切り替える。
その為に系列会社に順次研修に行ってほしいと。
緊急朝礼が開かれ、会社の現状、将来のビジョン、新しい製品の説明などなど説明されたが、いきなりの話しで頭が追いつかなく、全然話しを理解出来ずにいた。
そして個人面談の時
「君、山形の工場に研修に行ってもらう事に決まりました。」
? ? ? 決まった? 山形? ??!!
まさに悪魔のプレゼントだ
拒否権無し
無理矢理 3年の過酷な一人旅
この時私の頭の中では軽いパニック状態で、何から考えていいかわからなくなっていた。
そして、突然頭の中でエフェクトが効いたギターが鳴り響き、指揮者の奥田民生が無茶苦茶にオーケストラに指揮している絵が頭の中にループした。やっぱりパニックだ
こいつはまさに大迷惑
それでも少し時間がたてば頭が落ち着いてくる。
嫁さんはどんなリアクションをするのか?
毎日娘達と会えなくなる
車で何時間かかる?
そもそも山形どこやねん?(山形民の皆様すいません)
何とか回避する方法は?
色々な思いが溢れてきた。
逆らって会社を辞めたら住宅ローンが払えないどころか生活出来なくなる。
アリ地獄だ
いやいや、1番辛いのはやっぱり家族と離れなければいけない辛さだ。
娘は小学5年生と保育園の年長さんで、
幸い何とかパパを好きでいてくれている子達の、毎日の成長を見ることが出来なくなる。嫁さんとも今の所関係は良好だ。
今は通信ツールが進んでいるから、昔ほど寂しい思いはしないかもしれない。けど、些細な日常を見ることが出来なくなってしまう。
朝の寝起きの悪さ、ご飯を食べる所、テレビを見ている所、笑ってる所、怒られて落ち込んでいる所
帰省時や電話でわざわざ話さない、些細な出来事、その日常感が僕はすごく好きだった。
この悲しみをどうすりゃいいの?
誰が僕を救ってくれるの?
僕がロミオ 君がジュリエット
こいつはまさに大迷惑
君をこの手で抱きしめたいの
君の寝顔を見つめてたいの
涙涙の物語
ユニコーンが1989年にリリースした
「大迷惑」
当時私は12歳ながら年上の従兄弟の影響でこの歌が好きだった。テレビのスピーカーから直接カセットテープに録って繰り返し聞いた。
その歌の状況に30年後自分がなるとは
何の因果か?
あの時点でこの未来は決まっていたのか?
当時自分の部屋で、アホみたいに歌ってる自分を神様が見て笑っていたのか?
この間カラオケ行った時にも、アホみたいに歌っていた自分を見て大爆笑だったろう
今、書いてる時点でもう腹は決まっている。
行ってやろうじゃないの
山形に向かう車中で飽きるまで「大迷惑」をリピートして大熱唱しようじゃないの
「大迷惑」の歌詞にある
枕が変わっても
やっぱりやるこた同じ
ボインの誘惑に 出来心
と、いくのだろうか?
無いな…
また山形行って落ち着いたら
続編を書いていこうと思います