胡錦濤はとりあえず無事
10月28日、水利部部長や全国政協副主席などを務めた銭正英の葬式が行われた。22日に亡くなっていて、人民日報の一面には24日には掲載されていたのだが、気付いたのは葬式当日。
コロナ下の葬式は4例扱っているが、基本的に出席者が絞られていて、今回も現役の全国政協主席である汪洋が党中央の委託を受けて出席している。
いつもなら党大会と翌年に開催される両会議のはざまなので、常務委員級が一時的に増えて、どういう序列になるのかが気になるのだが、
となった。ちゃんと胡錦濤の名前があるではないか。お花も送っていて、今の所は政治的に変なことになっていないのが確認された。
胡錦濤は10月22日の党大会最終日に途中退場しているが、その現場は公式ではもちろん放映されていない。
この手のイベントは、習近平らの入場までスタジオに集められた専門家のトークで繋ぎ、入場のタイミングが決まると人民大会堂に映像が切り替わる。開会式もそうだった。ところが閉会式の今回は長時間nice boat映像だった。
人民大会堂に映像が切り替わると。「下面我们继续开会」(それでは、会議を続ける)と習近平が宣言する。うがった見方をすれば、何かで中断していて、再開したところから中継が入ったと思えないこともない。
最初から放映されていれば、開会式でも司会を務めていた李克強が、閉会式開始のあいさつをして、国歌斉唱をしているはずだ。その場面は映像として公開されていないのに、人民日報一面に使用されている写真は国歌斉唱の模様を撮影したものだ。
斜めからの引き映像、胡錦濤の席が隠れるよう主席台前のカメラマンと重なるアングルからの引き映像など、胡錦濤をどう映さないかを検討していた節がある。習近平以外の主席台に座る常務委員たちをアップで大写しにしたのは、映像が人民大会堂に動いてからさらに1時間後だ。
胡錦濤は他の代表と同じく中央委員などの投票は行なっていることが、新闻联播で確認されている。投票終了後、習近平が中央委員会、中央紀律検査委員会の誕生を宣言し、非共産党員の全国人大副委員長、全国政協副主席など民主党派のみなさんを来賓として入場させたようだ。
確かに、主席台の向かって右側は習近平の入場前には空席なのに、上記の紹介時にはしっかり埋まっていて、香港の689などが着座しているのがわかる。記者が会場に入ったのも同じタイミングなのだろう。
複数の動画が出回っているが、最初から回しているメディアはなかったようだ。いずれも胡錦濤の周囲がざわついて初めて動画や写真を撮り始めたと証言している。読唇術でもできればいいのだが、なぜかこの界隈は自分を含めて読唇術を身につけようとする人がいないので困っている。
真実を知っていそうな習近平や栗戦書たちが語ることはないので、さまざまな憶測が出てしまうのは仕方ないとは思うが、上記の流れを理解していれば、胡錦濤が不満を示すために退場を拒否したというのはまずあり得ない。
投票後にやればセンセーショナルだが実行力はない一方、事前に抗議していれば外部には見られないがある程度有効だからだ。
映像の最初から栗戦書は胡錦濤にずっと話しかけているが、胡錦濤の反応は薄い。なにやら返答はしているので、意思疎通はできていると思われるが、習近平が護衛に胡錦濤を連れ去るよう説明しているであろう時も特に目立った反応はない。
しかし、退場するよう護衛に組まれた右腕を引っ張られると拒否しているので、何らかの症状が出たのではと考えられる。
==参考消息==
https://tv.cctv.com/2022/10/28/VIDE3vAC2dwZABZ1wXPyEPwi221028.shtml
https://tv.cctv.com/2022/10/22/VIDEOl3pQjIdHCiofYe7B7Q1221022.shtml
https://www.youtube.com/watch?v=xCMV_ouwNLQ
https://www.youtube.com/watch?v=J92-jWyGQew
https://www.youtube.com/watch?v=jDx4XKFztTY
https://www.youtube.com/watch?v=-lNKaV0N4yY
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