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最近の記事

「入党前の重大な誤り」とは

 9月16日、広東省恵州市紀律検査委監察委は、市公共資源公益センターの仲愷ブランチセンター党組書記・主任だった陳育霞の党籍を剥奪したと発表した。  陳が犯した党紀違反には理想や信念を失い、初心の使命に背いた、などのおなじみフレーズに紛れ、「入党前に犯した重大な誤りを隠した」というものがある。  澎湃が「『入党前に犯した重大な誤りを隠した』とは何か」と取り上げるくらいだから、珍しいのだろう。澎湃は「党に忠実であり、誠実であり、言行一致であることは党章が規定する、党が必ず実行

    • 秦剛の中央委員辞任

       7月18日、第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が閉幕した。  目を引くのは秦剛が中央委員の辞職を申請し、中央委員会がこれを受理して解任した点だ。  「秦剛同志」と記載されているので秦剛は現時点で中国共産党党員であるし、党内の処分も発表されていないのでいまのところ党内外の職務が無くなった以外は無傷の状態だ。  中央委員を「辞める」というのは記憶にない。中央紀律検査委の調査を受けた結果、中央委員会が「解任」するケースしか思い浮かばない。  第14期から調べてみ

      • 未来五年

         6月27日、北京市第13回共産党代表大会が開催され、大会を主催した書記の蔡奇による活動報告が北京日報によって報じられた。蔡奇は北京市における新型コロナウイルス対策についてこう説明したと伝えられた。  これからの5年間は、原文では「未来五年」だ。発言は2022年6月。当時はゼロコロナ政策の真っただ中だったので、継続するのは当然ではあるのだが、あと5年もこのままかよ、という声が聞こえてきたのか、ほどなく「未来五年」を削除した記事に差し替わっている。流石に他の都市で5年続けると

        • 魏鳳和と李尚福の党籍剥奪

           6月27日に開催された中央政治局会議で、李尚福の前の国防部部長の魏鳳和に対する処分が発表された。なお、李尚福も同時に処分が発表された。  2人は共に党籍剥奪、第20回党大会代表資格の取り消し処分、軍籍剥奪、上将階級取り消しという最大級に重い処分を受けた。  先日わざわざ延安で習近平が軍関係者を集めて中央軍事委政治工作会議を開催し、綱紀粛正は未だ道半ばとぶち上げたのは、この処分が決まっていたからだろう。   魏鳳和失脚の予兆は確かにあった。まず、副国級以上のまま引退した

          一般市民の李克強への評価はなかったことに

           まず訂正から。  前々回(李克強の死去)、核心が亡くなった時に出る『告全党全军全国各族人民书』(全党全軍全国各族人民に告げる書。以下告げる書)、総理、全国人大常務委委員長、全国政協主席経験者の逝去に際して出される訃告(訃報)、それ以外の常務委員経験者以下の逝去時に出される生平(生涯)というランク付けですが、認識が思い切り間違っていました。  今回、李克強の生平に、共産党以外の評価が見当たらないというRFAの記事を受け、読み返したところ告げる書、訃告と生平は別物であること

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          李克強の葬式

           李克強の葬式が、八宝山革命公墓にて11月2日午前に執り行われた。  なぜか明言されていないが、参列者の予定的に午後だとつじつまがあわないので午前だと断定する。 あくまでも突然死  継続的に治療か療養していれば、使われるのは「抢救期间」(救命活動中)ではなく「病重期间」(重病で入院中)だ。つまり、李克強の死は突然だったということになる。公式では。 夫婦でトップバッター  李鵬の葬式や、鄧小平の寡婦・卓琳の葬式に江沢民が夫婦で参列したことはあった。花も夫婦での連名だっ

          李克強の葬式

          李克強の死去

           27日未明、李克強が休暇中の上海で心臓病を発症し亡くなったとの報道があった。「李克強同志逝去」という記事の全文は以下のとおりだ。  訃告は後で出されるとのことなので、簡単な内容になっている。  李克強を含めた総理、全国人大常務委委員長、全国政協主席経験者クラスは、党中央、全国人大常務委員会議、国務院、全国政協名義で訃告が出される。ここ10年だと、李克強以外では万里や喬石がこれに相当する。  鄧小平や江沢民ら核心クラスは、中央軍事委員会が名義に加わり、「告全党全军全国各

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          習仲勲はもっと偉くなっていた

           10月15日は習仲勲の生誕110周年記念日だった。  1996年に出された『中共中央办公厅、国务院办公厅关于举办已故党和国家领导同志诞辰纪念活动的通知』で、いわゆる党中央の記念行事について、どう催しを開くべきかが規定されている。  同通知の3年前、1993年に生誕100年を迎えた毛沢東は間に合わなかったが、10年ごとに党中央が記念活動を開催すると規定している。110年、120年の際はいずれも当時の総書記が重要講話を行っている。  党大会の冒頭で毛沢東に続いて哀悼の意を

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          秦剛の処分は思ったより重いかもしれない

           外交部長を解任されただけでは、傍証が無さすぎてなんとも判断に困っていた。これが人力資源社会保障部長や民族事務委員会主任、もしくはどこかの省委書記ならここまでの騒ぎにはならなかった。  外交部長は他の閣僚より海外との往来や露出が多い。コロナ期間中も休まず外遊を続けていた3人のうちの1人である外交部長だから、急ぎ首をすげ替えたのだというのはなんとなくわかる。  体面を気にしないのであれば、王毅を外事弁主任のまま外交部長の仕事をさせて、適当な時期に外交部長を交代させるだけでよ

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          河北省は北京の捨て駒

           8月1日、河北省トップの倪岳峰書記は、台風被害を受けた邢台市、保定市、雄安新区を視察した。  保定市を視察時、倪岳峰は「北京と雄安新区に隣接する保定市は、水害防止の負担が非常に大きい激務である」という趣旨の発言をしている。保定市の北部に位置し、北京市南部に隣接する涿州市が、永定河などの河水放出を受けて水没したのは間も無くのことだ。 (涿州市は保定市の一部)  視察時に「坚决当好首都“护城河”」との発言が出たことが話題となった。「断固首都の『周囲の堀』にならなければならな

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          秦剛外交部部長の解任

           6月25日、スリランカとベトナムの外相や、ロシアの副外相と会見したのを最後に、秦剛外交部部長の動向が伝えられなくなった。  7月4日には上海協力機構の元首理事会を欠席している。  過去の元首理事会には、習近平のお供として中央弁公庁主任、中央外事弁主任、外相が揃って同席しているので、この会議には秦剛が出席して当然なのだが、実際に出席したのは蔡奇(中央弁公庁主任)と王毅(中央外事弁主任)のみだった。  勤勉なウォッチャーならこの時点で秦剛に異変ありと気づいたことだろう。も

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          習遠平も偉くなっていた

           習遠平をご存じだろうか。  習近平の弟で、自分より二回り若い嫁をもらっているというけしからん男だ。  2014年、深圳特区報へ寄稿した父・習仲勲をテーマにした文章の後半で、「2005年,我和张澜澜恋爱了」(2005年。私は張瀾瀾と恋に落ちた)から始まる、気持ち悪い自分語りでその事実が明るみとなった。  張瀾瀾の現役時代は教養不足で知らないのだが、それなりに顔を知られた芸能人で、2008年の春晩後に突然姿を見せなくなったので当時は騒ぎになったようだ。  遠平は寄稿文で

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          陳希は良き同志なり

           陳希は第19期政治局委員、中央書記処書記、組織部部長、中央党校校長だ。  中央党校校長は共産党党員中堅幹部の養成機関であると同時に、2018年に「深化党和国家机构改革」の一環で、公務員の養成機関である国家行政学院を事実上吸収している。  两块牌子というやつで、党と国家機関の看板が1つずつかかっているが、実際は党の機関になっているのだ。  また、組織部は同改革で国家公務員局を吸収し、党員のみならず政府機関の人事も掌握するようになった。  1993年以降、実際の業務は常

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          国家機構人事のできるまで

           昨年10月に開催された第20回党大会の人事決定後にも出てきた『领导人员产生纪实』。  国務院、全国人大と全国政協といった国家機構の指導部人事が決定した今回も、どのように構成されたかを説明する文章が出てきた。  便宜上、今回出てきた纪实を2023年版、前回のを2018年版とした。原文と翻訳との併記なので、間違いがあればご指摘ください。 胡春華政協副主席は半年前に決まっていた  当たり前といえば当たり前だが、党人事と政府人事はリンクしていて、中央委員が決まってから政府人

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          政協副主席にならなかった人の話

           第14期全国人大、全国政協が閉幕し、習近平3期目の陣容が固まった。特に驚いた人事はなく、事前に予想できたり、漏れ伝わってきた通りの人選だった。  第20期は全国政協副主席を兼任する閣僚級はいなくなった。替わりに、全国政協常務委員を兼任する閣僚が複数誕生した。宋濤、易鋼、李小鵬の3人だ。  いずれも、政協委員に選出された時点では副主席を兼任するものと考えていたが、そうはならなかった。  共通するのは、3人とも第20期の中央委員に選出されなかったところだ。中央委員は正部級

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          胡春華政協副主席誕生祝賀会場

           18日、第14期全国政協会議の委員名簿が発表された。常務委員序列第4位の王滬寧が委員に選出されており、全国政協主席に就任するのはこれで確定となった。  その他で目を引いた人選を、人事の方向性で4種類に分けて紹介する。 A:上がり人事  Aは従来からある副国級の上がり人事で珍しいことではない。王勇は国務委員を二期務め、今年67歳なのでおかしい人事ではない。  おかしいのは、総理、副総理が全交代となった国務院の方だ。国務委員にしても、肖捷以外は交代が確定している。  

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