中央委員の顔ぶれを考える

 某工作室代表にがぶり寄られてからはや5年。時の経つのは早いもので、次の中央委員会が始まってしまった。

胡春華の格下げ

 政治局常務委員、政治局委員から中央委員への格下げというのはそう滅多に起こるわけではない。1987年以降で胡春華を含めて4例しかない。

 楊汝岱、李鉄映はともに66歳で政治局委員を退任して、政協副主席、人大副委員長に就任しており、いわゆる降格とは違うので除外した。

 胡耀邦は学生運動への対応が甘かったことがきっかけで、長老たちの猛攻撃に遭い総書記を解任されたが、政治局委員への格下げなので、これも除外した。

 胡啓立、張春賢、劉奇葆はいずれも在任当時の失政で格下げとなっている。

 胡啓立は趙紫陽ほどではないが、第二次天安門事件で学生寄りの姿勢を取ったため、第13期四中全会で常務委員からヒラ委員に格下げとなった。

 張春賢は任期を待たずして新疆自治区委書記を解任されている。宣伝工作に不満を持たれていた劉奇葆とともに、第19期は中央委員に格下げとなった。

 なお、人大副委員長も、政協副主席も、政治局委員と同じ「党と国家の指導者」なので、まだメンツは保たれている。

 新疆での統治が好評だったのに、海外からの批判を受けるとこれまた張春賢と同様に任期途中で解任し、中央委員はおろか、完全引退させられた陳全国と比べるとなおさら扱いの良さが目立つ。

 胡春華は中央委員に格下げとなったが、上記の4人と並ぶほどの失点があったわけでもない。担当していた農業や貧困対策、貿易もソツなくこなしていた。張春賢や陳全国のように途中で解任されるわけでもなく、今も副総理としてお仕事をしている。

 それでも格下げなのだ。胡春華は張春賢や劉奇葆クラスの失点があったということになる。

陸昊より若い人

 陸昊は第18期中央委員会に当時最年少の45歳で中央委員入りし、50歳となった第19期も連続して当選。5年経過したのにまだ最年少だったことを思い出す。

 今期は流石にもっと増えると思ったが、年下は4人しか増えなかった。

 中央委員は1962年から1964年生まれが半数を占めるようになり、第21期の政治局委員は数人がここから選ばれるのだろうが、5年後は1964年生まれでも65歳で習近平の後を継げるような年齢ではない。

 となると、今の中央委員会に習近平の後継者はいないと考えるのが妥当だろう。5年前にも同じ内容を書いていて進歩がないが、中央委員会に変化が見られないのでどうしようもない。

 なお、40代の中央委員が出なかったのは2期続けてとなる。第15期は李克強が42歳、第16期は周強が45歳、第17期は胡春華と孫政才が44歳で当選するなど、40代が複数当選していた。

少数民族並みの女性

 退任確実の孫春蘭に代わって、貴州省委書記の谌贻琴が来るのではとの観測もあったが、政治局から女性はいなくなった。

 元々中央委員会に占める女性は少なく、第20期は11人。13人いた第17期を除けば一桁だが、誤差の範囲だろう。少数民族は人口の1割以下だったはずなので、女性は少数民族以下の希少な存在である。

==参考消息==
http://www.gov.cn/xinwen/2022-10/22/content_5720882.htm
https://note.com/aquarelliste/n/n99513bdb477e
https://note.com/aquarelliste/n/na058549bf73d
http://aqurelliste.seesaa.net/article/456866525.html

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