陳希は良き同志なり
陳希は第19期政治局委員、中央書記処書記、組織部部長、中央党校校長だ。
中央党校校長は共産党党員中堅幹部の養成機関であると同時に、2018年に「深化党和国家机构改革」の一環で、公務員の養成機関である国家行政学院を事実上吸収している。
两块牌子というやつで、党と国家機関の看板が1つずつかかっているが、実際は党の機関になっているのだ。
また、組織部は同改革で国家公務員局を吸収し、党員のみならず政府機関の人事も掌握するようになった。
1993年以降、実際の業務は常務副校長が取り仕切るにしても、中央党校校長は中央書記処常務書記が兼任してきた。胡錦濤や習近平も名を連ねている。
第19期の常務書記は王滬寧だが、彼は中央党校校長を兼任せず、宣伝部門に専念した。大改革でパワーアップした組織部部長と党校校長を兼任する陳希が、習近平と人事問題を直接やっていたということになる。
組織部副部長に引っ張って5年間修行を積ませていることからも、陳希を組織部部長に据えるのは既定路線だったと考えられる。今となってわかることだが。
第20回党大会で政治局委員から外れた陳希は、同じく政治局委員で穏当に引退を迎えた楊潔篪や郭声琨らと同様に、特に公表もされることなくポストを開け渡すのだろうと考えていた。
ところが、陳希は党大会の後もずっと組織部部長のままだった。
地方トップの党委書記交代が発表される会議には、大抵組織部副部長が派遣される。政治局委員が兼任する党委書記の交代には、組織部部長が立ち会い、発表するのが慣例だ。
だから、中央書記処書記で兼任ポストが埋まらなかった李干杰が組織部部長となって、全国を駆け回るのだと思っていた。
陳希はそんな期待を裏切り、上海をはじめ10ヶ所の省・直轄市で人事交代の発表を行った。12月7日から9日にかけてなどは、浙江省、重慶市、天津市、貴州省と効率を無視した全国縦断だか横断をしている。すごいの一言だ。
なお、新旧のどちらかが政治局委員であるケース以外に、前任者が諶貽琴でも陳希が出向いていた。諶貽琴は当時中央委員でしかなかったが、この3月に国務委員となりめでたく副国級となっている。
党大会直後は新コロ対策で、省を跨いだ移動は政治局委員クラスでもなかった。政治局委員の李干杰を温存するために、一時的に陳希が代行しているのかと考えていたが、新コロ対策が大転換した12月7日以降も続投しており、違和感を覚えた記憶がある。
その後もいくつかの会議に出席。席次から閣僚級にはあるだろうと推測されたが、4月7日に中央党校校長のみの肩書きで活動しているのが確認された。ようやく組織部部長を下りたのだ。
陳希を習近平がどうしてそこまで信頼するのかはわからない。清華大学党組書記だった当時、剽窃博士論文を通してくれた、というだけでは説明がつかない。
==参考消息==
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-03/21/c_1122570517.htm
http://www.news.cn/2023-03/29/c_1129475626.htm
http://www.ahdx.gov.cn/col27/93560
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