国家機構人事のできるまで
昨年10月に開催された第20回党大会の人事決定後にも出てきた『领导人员产生纪实』。
国務院、全国人大と全国政協といった国家機構の指導部人事が決定した今回も、どのように構成されたかを説明する文章が出てきた。
便宜上、今回出てきた纪实を2023年版、前回のを2018年版とした。原文と翻訳との併記なので、間違いがあればご指摘ください。
胡春華政協副主席は半年前に決まっていた
当たり前といえば当たり前だが、党人事と政府人事はリンクしていて、中央委員が決まってから政府人事を決めるわけではないことが明示されている。
最終案が固まったのは2023年2月の中央政治局会議だが、それまでにほとんど決まっていたのだろう。胡春華は2022年9月には自分の行く末を知らされていたことになる。
政治局委員や政治局常務委員から中央委員に格下げされた面々は、任期途中で兼任する職務を追われていたが、胡春華は任期を満了しながら降格をひたすら待つという男の中の男だった。
老化する指導部
朝日新聞が記事に取り上げていたこの記述は、下記の通り2018年版にも記載がある。5年前の当時は1950年生まれだったので、特段取り上げることではない。
なので、「「68歳定年制」の暗黙のルールは崩れたが、世代交代が進まないことへの不満に配慮し、例外はあるものの基準が存在することを示したとみられる」という推測は当てはまらない。それは党人事の話だ。
「老」はこの場合新旧の旧を指すが、当然老人の意味も含んでいるわけで、新指導部が若返ってないためにこの表記を避けたと考えられる。
同様の措置は下記でも見られる。
2023年に選ばれた幹部には若さがないということだ。「一部の領導経験豊富な同志」とは韓正を指すのだろうが、「複雑な問題を適切に処理できる同志」の記述は無くなっているので、そこは韓正には期待していないのだろう。王岐山との違いかもしれない。
王岐山も結局は冠婚葬祭担当になっていたし、習近平下の国家副主席はあくまで単なる名代との位置付けなのだろう。
若返りどころか老化したのは自ら認めていて、人大、国務院、政協の平均年齢はそれぞれ65.4歳、61.7歳、65.3歳で平均64.1歳(2018年は62.8歳、62.6歳、64歳で平均63.1歳)と公表されている。
秦剛の抜擢は説明なし
昨年10月の第20回党大会で中央委員、12月末に正部級の外交部部長となった秦剛は、そのわずか2ヶ月後に副国級の国務委員となった。
この説明は2018年版にもあるが、秦剛の人事とリンクしていないので、齟齬が発生している。
少数民族より少数な女性
政治局からは姿を消した女性同志。人大や政協を含めた党と国家の指導者まで範囲を広げても、铁凝(全国人大常務委副委員長)、谌贻琴(国務委員)、沈跃跃、苏辉、咸辉、秦博勇(全国政協副主席)と、69人中たったの6人という状態だ。
いるべきとしか書いていないので、8.7%でも文句は言えない。その内、手心を加えられている少数民族が2人含まれているので、純粋な女性枠は4人と言えなくもない。なお、少数民族枠は7人だった。
==参考消息==
https://note.com/aquarelliste/n/nce5e7273994c
https://note.com/aquarelliste/n/n27cdd107f7d3
http://www.news.cn/politics/2023lh/2023-03/13/c_1129430358.htm
http://cpc.people.com.cn/n1/2018/0320/c64094-29877081.html
https://news.mingpao.com/pns/中國/article/20230315/s00013/1678814754271/官媒披換屆過程-稱有人主動退位-昔強調「新老交替」-今提「班子建設」